復旧まで3年の市役所火災に市幹部「まるで連立方程式」…本庁舎修繕に億単位、仮庁舎建設ならさらに出費

2025年5月29日(木)7時0分 読売新聞

火災後、立ち入り禁止となっている白岡市役所(22日、白岡市で)

 火災に見舞われた埼玉県白岡市役所の復旧に、市が頭を悩ませている。本庁舎の修繕に億単位の予算が必要な上、「仮庁舎」を造るとさらに出費が増える。復旧までには「約3年かかる」(市幹部)とみられている。(住友堅一)

 6日深夜に発生した火災では、本庁舎1階の約800平方メートルが焼けた。すすは2〜4階の執務室にも入り込み、本庁舎は閉鎖されたままだ。

 市は今後、1、2か月かけて庁舎の損傷具合を調査する。庁舎全体の建て替えは免れそうだが、損傷が大きければ建物の基礎部分に補強工事が必要になる。その後、修繕工事の設計に1年、工事に2年かかる見通しという。

分散も検討

 市役所業務は現在、近くの市生涯学習センターと市保健福祉総合センターの2か所で継続している。両センターを使っていた市民サークルなどは、別の公民館などへの「避難」を強いられている。

 市は当面の仮庁舎を確保したい考えだが、市職員約250人が執務できる広さの民間ビルは市内にない。本庁舎から西へ約7キロ離れた市立大山小学校校舎(今年3月で閉校)の活用が検討されているが、仮庁舎にするにはトイレ改修やエレベーター新設などが必要になる。

 本庁舎近くには水道課庁舎や分館、公民館などの市有施設がある。市はこれらを使って分散型仮庁舎の可能性も検討している。ただ市役所窓口が各地に分かれるため、市民は不便を強いられることになる。

支援金募る

 復旧費の確保が最も難問だ。市は国の交付金のほか、火災保険金を頼りにするが、当面は市債を発行し、賄う見込みだ。今年度当初予算時点で市債残高は既に118億円あり、さらに膨らみそうだ。

 市は9日、ふるさと納税の仕組みを活用した支援金の受け付けを始めた。返礼品はないものの、22日までに105万6000円が寄せられた。藤井栄一郎市長は「庁舎が火事になり、皆さんにご心配いただいている」と謝意を示している。

 庁舎の修繕に、仮庁舎の建設。それらに必要な巨額な予算の確保。市幹部は「まるで連立方程式のよう。複雑すぎてどこから手を付けていいのか」と話している。

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