日本産のブランド品種守るため、苗や種の無断輸出の刑事罰を拡大へ…独占生産期間も延長
2025年5月29日(木)13時0分 読売新聞
首相官邸
政府は、海外で人気が高い果物などの日本産ブランド品種を守るため、種苗法を改正し、無断輸出などで刑事罰を科す対象を拡大する方針を固めた。近く改定する農林水産物や食品の輸出拡大に向けた実行戦略に明記する。
現行法が禁じるブランド品種の無断販売・輸出に加え、無断輸出のために苗などを保管する行為も新たに刑事罰の対象とし、事前摘発を可能にする。新たな戦略では、「我が国の果樹などの競争環境を守るため、海外流出の抑止に向けて苗木の厳格な管理を進める必要がある」とした。
日本産の果物を巡っては、高級ブドウ「シャインマスカット」などブランド品種の苗や種が無断で海外に持ち出される被害が相次いでいる。
新品種の開発者の権利を保護するため、権利者の独占生産期間も延長する方針だ。延長幅は今後検討するが、現在の25年(果樹は30年)から50年程度に延ばす案が出ている。来年の通常国会での法改正を目指す。
政府は2030年に農林水産物・食品の輸出額を現在の1・5兆円から5兆円に引き上げる目標を掲げている。新戦略では、大規模輸出に向けたサプライチェーン(供給網)の構築支援や、日本食の魅力発信につながるアニメ作品を表彰する「日本食・食文化海外普及賞」(仮称)の新設も明記する。新戦略は30日の林官房長官をトップとする関係閣僚会議で決定する。