中国への「日本産水産物」輸出再開で合意、福島や茨城など10都県は含まれず

2025年5月30日(金)11時38分 読売新聞

農林水産物や食品の輸出拡大に向けた関係閣僚会議で発言する林官房長官、右は小泉農相(30日午前、首相官邸で)=川口正峰撮影

 政府は30日午前、中国への日本産水産物の輸出再開に向けた手続きについて、中国側と合意したと発表した。対象は37道府県の水産物で、福島や茨城など10都県は含まれていない。輸出は業者の再登録作業などを経て、数か月程度で再開される見通しだ。

 2023年8月に始まった東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を受け、中国政府は日本産水産物の輸入を全面的に禁止していた。林官房長官は閣議後の記者会見で、「我が国にとって重要な輸出品目である水産物の中国向け輸出が再開されることは、大きな節目だ」と歓迎した。

 ただ、処理水放出の前から中国が輸入を禁止してきた太平洋沿岸などの10都県の農林水産物は今回の措置の対象外で、林氏は「引き続き規制撤廃を中国側に求めていく」と強調した。

 輸出再開の手続きは、28日に北京で開かれた日中両政府の局長級協議で合意した。具体的には、処理水放出以前に輸出を認められていた日本の製造・加工施設の再登録作業を今後進めるとともに、初回の輸出再開時に安全性を確認するため、放射性物質「トリチウム」の検査証明書の提出などが新たに求められることになった。

 中国政府は処理水を「核汚染水」などと呼んで海洋放出に激しく反発したが、23年11月の日中首脳会談で、対話を通じた問題解決を目指す方針で一致。24年9月には、原発周辺の海水などのモニタリング(監視)を拡充した上で水産物輸入を再開することで両国が合意した。

 国際原子力機関(IAEA)の立ち会いの下で中国側が海水などの試料採取や分析を進め、安全性に問題がないことを繰り返し確認してきた。

 かつて中国に輸出していた食用水産品は、ホタテやナマコが主力だった。小泉農相は記者会見で、「ナマコなどは中華系市場の需要が高い。迅速かつ円滑な輸出の再開に向けて、官民一体となって取り組みたい」と語った。

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