【東大生の「なぜ?」の習慣】「不甲斐ない」という言葉は「不」と「ない」で二重否定なのに、どうして「マイナス」の意味になるのか?

2024年6月27日(木)6時0分 ダイヤモンドオンライン

【東大生の「なぜ?」の習慣】「不甲斐ない」という言葉は「不」と「ない」で二重否定なのに、どうして「マイナス」の意味になるのか?

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みなさん、「不甲斐ない」という言葉について考えてみたことはありますか? 「なんでだろう」と思ったことはありますか? 話題の1冊『「思考」が整う東大ノート。』の著者であり、現役東大生の西岡壱誠さんによると、東大生は世の中のいろんな物事に対して「なぜ?」と考える習慣を持っていて、これが思考力のアップにつながるのだそうです。本記事では、「不甲斐ない」という言葉に対して、東大生ならば感じる「なぜ?」について西岡さんに解説していただきました。

Photo: Adobe Stock

「不甲斐ない」は二重否定なのに、なぜ「マイナス」の意味なのか?

 みなさんは、「不甲斐ない」という言葉を使ったことはありますか?

「頼りない」「情けない」といった意味ですよね。「なんて不甲斐ない奴なんだ!」なんて使います。でもじつはこの言葉、ひとつの謎があるのです。

「不甲斐ない」って、「不」と「ない」という2つの否定が入っていますよね。

 こういう言葉って、二重否定と呼ばれていて、通常はプラスの意味になります。

 例えば、「願わない人はいない」と言ったら、「みんなが願う」という意味です。「飲まずにはいられない」と言ったら、「飲む」という意味ですよね。

「マイナス×マイナス=プラス」というのは数学でも当たり前の話。通常は、二重否定が使われたら肯定的な意味になるものなのです。

 しかし、「不甲斐ない」って、「頼りない」というマイナスの意味ですよね。

 普通はプラスの意味になるはずなのに、なぜか悪い意味になります。

 なぜ「不甲斐ない」は二重否定なのにマイナスの意味になるのでしょうか?

「不」ではなく「腑」だった?

「不甲斐ない」という言葉は、「不」「甲斐」「ない」という3つに分けることができます。そしてこのうち、「甲斐」という言葉は聞いたことがある人も多いと思います。

「甲斐性がない」というと「頼りない、情けない」という意味になり、「奢ってくれないなんて、甲斐性なしだ」なんて使い方をすると思います。

 つまり、「不甲斐ない」と「甲斐がない」は、同じような意味なのです。そう考えると、この「不」って何!? と思いますよね。

 じつはこの「不」には、かつて「腑」という漢字だったという説があります。「腑甲斐ない」が昔の表記だったというわけですね。

 ということは、「腑」と「甲斐」がない、と言い換えることができます。この腑というのは、臓腑の腑です。

 つまり、人間の身体で重要な役割をする臓器のことを指しているわけですね。

「腑抜けたやつ」という言い方があります。これは、「臓器がないやつ」「肝っ玉がないやつ」というところから転じて、「度胸のない、臆病者」という意味になります。ということは、「腑がない」というのは「臆病な人」のことを指すことになります。

 不甲斐ないは、二重否定ではなく、「腑と甲斐がない」=「腑がなく、甲斐もない」という意味になるわけです。

 そこから転じて、「度胸もなければ、甲斐性もない、そんな情けないやつ」という意味になったのだと推測することができます。

 さて、ひとつの「なぜ?」をきっかけに、ここまで話を展開することができました。「なぜ?」と考えることの価値を感じていただけたのではないかと思います。

「疑問を持つこと」を習慣にしよう

 みなさんはこれまでの人生で「不甲斐ない」に対して、「なぜ?」と思ったことがあったでしょうか? 

 もしなかったとしても、大丈夫です。今後は「なぜ?」と考えることを習慣化してみましょう。

 そして、その疑問の原因や理由を深く考えたり、調べたりしてみてください。

 東大生は、いろんな言葉や物事に対して「なぜ?」と考える習慣を持っている人が多く、また、「なぜ?」を起点にして授業が展開されることもよくあります。

「疑問を持つこと」が習慣化すれば、あなたの思考力も自然と高まっていくことでしょう。

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