エルニーニョ現象 秋にかけても発生しない可能性が高い

2020年7月10日(金)15時7分 tenki.jp

日本の天候に影響を与えるエルニーニョ現象・ラニーニャ現象。6月の時点では、いずれも発生しておらず、平常の状態となっています。この後も秋にかけて、平常の状態が続く可能性が高くなっています。

6月の実況

気象庁は10日、エルニーニョ監視速報を発表しました。
6 月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は −0.8度で基準値より低い値になりました。太平洋赤道域の海面水温は、西部で平年より高く、東部で平年より低くなりました。海洋表層の水温は西部で平年より高く、東部で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年並みでした。
このような海洋と大気の状態は、一部にラニーニャ現象時の特徴も見られますが、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態となっていることを示しています。

今後の見通し

太平洋赤道域の東部に見られる海洋表層の冷水は、東部の海面水温が平年より低い状態をしばらくの間は維持すると考えられます。エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が秋にかけて基準値に近い値か基準値より低い値で推移すると予測しています。以上のことから、今後秋にかけてラニーニャ現象が発生する可能性もありますが、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続く可能性の方がより高くなっています。

西太平洋熱帯域及びインド洋熱帯域の状況

6 月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値でした。今後秋にかけておおむね基準値より高い値で推移すると予測されます。
6 月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より高い値でした。今後夏は基準値より高い値か基準値に近い値で、秋は基準値に近い値か基準値より低い値で推移すると予測されます。

エルニーニョ現象・ラニーニャ現象とは?

太平洋の熱帯域では、貿易風と呼ばれる東風が常に吹いていて、海面付近の暖かい海水が西側に吹き寄せられています。一方、東部の南米沖では、海の深いところから冷たい海水が湧き上っているため、太平洋赤道域のの海面水温は西部で高く、東部で低くなっています。海面水温の高い太平洋西部では、大気中に大量の水蒸気が供給され、積乱雲が盛んに発生します。これが、平常時の太平洋赤道域の状態です。

<エルニーニョ現象>
エルニーニョ現象が発生している時は、東風が平常時よりも弱くなり、西部に溜まっていた暖かい海水が東側へ広がるとともに、東部では冷たい水の湧き上りが弱まります。そのため、太平洋赤道域の中部から東部では、平常時よりも海面水温が高い状態になり、積乱雲が盛んに発生する海域も、平常時より東へ移ります。
エルニーニョ現象が発生すると、日本付近では、夏は気温が低く・日照時間が少なくなる傾向があります。一方、冬は気温が高くなる傾向があります。

<ラニーニャ現象>
ラニーニャ現象が発生している時は、東風が平常時よりも強くなり、西部では吹き寄せられる暖かい海水の層がより厚くなり、インドネシア近海の海上では積乱雲がより盛んに発生します。一方、東部では冷たい水の湧き上がりが平常時より強くなります。そのため、太平洋赤道域の中部から東部では、平常時よりも海面水温が低くなります。
ラニーニャ現象が発生すると、日本付近では、夏は気温が高くなる傾向があります。一方冬は気温が低くなる傾向があります。

tenki.jp

「気象庁」をもっと詳しく

「気象庁」のニュース

「気象庁」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ