家庭を壊さずに恋愛気分を楽しみたい…既婚者合コンで「友達以上配偶者未満」を探す46歳女性の"本音"

2024年3月28日(木)14時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kohei_hara

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日本人の平均寿命が延びる中、50〜60代はどのように過ごしているのか。フリーライターの中山美里さんは、ディスコイベントや既婚者合コンなどで新たな出会いを求める男女を取材した。著書『ルポ 高齢者のセックス』(扶桑社新書)より、一部を紹介する——。(第1回/全2回)
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■クリスマスも正月もディスコで踊る56歳男性


都内と近郊で行われるディスコに足を運ぶだけでなく、自らもディスコイベントやアウトドアイベントを頻繁に主催するヒロさん(56歳)に話を聞いた。


「十数年前までは中高年が遊べるディスコは都内で数軒しかなかったけれど、徐々に増えて、今では大箱のクラブでも80年代のディスコミュージックを流すディスコイベントをやるようになっている。本当に増えたなって思う。名古屋に静岡、大阪や北海道……地方にも俺ら世代が遊べるハコがある。年末のカウントダウンはディスコで迎える予定だけれど、クリスマスも正月も踊り場だよ。特に離婚しちゃって一人の人とか、寂しいからみんなで祝いたいんだろうね。それに20代とか30代前半くらいの若い子の間で、昭和ってちょっと流行ってるみたいね。『ハマチャチャのステップを覚えた〜い』なんて言ってきて、僕ら世代と一緒に遊んだりするんだよ。それも楽しいんだよね」


小さなディスコのイベントでも70〜80人が訪れるというから、相当盛り上がっている。ちなみに夜ではなく、昼から夕方に開かれるイベントもあるという。


■3歳年上のシングルマザーと即日ホテルへ


「みんな若くないから疲れちゃうのよ。だから、会場も席がないとダメ。ちょっと踊ったら座って酒飲みたいでしょ。で、隣の席が空いていたら誰か座るでしょ。そこでちょっとした出会いになったりしてる。話が弾んでも夕方にイベントが終わっちゃうから『この後、もう一軒どうですか?』となっていく。そんな感じだから、イベントによってはシャンパンが飛ぶように出るよ」(ヒロさん)


まさにバブル世代らしい姿だが、このようなディスコイベントで、実際に出会いにつながることもある。52歳になるナオキさんが現在交際するシングルマザーで3歳年上の彼女と出会ったのも、ディスコイベントであった。


「きれいな人だなと思って、自分から声をかけました。向こうもこちらも友人と来ていたので、イベントの後に4人で飲み直し、離れがたくて3次会、4次会と朝まで飲み、その日のうちにホテルに行きました」


■「残りの20年は好きな女性と生きていきたい」


ナオキさんには妻がいるが別居中。現在は離婚に向けて妻と話し合っており、引退後の第二の人生を彼女とスタートさせたいと考えている。


「僕の場合、中年の思春期というのでしょうか。若い頃に出会った妻とは結婚生活の中で価値観が合わなくなっていった。それに、セックスはもともと合わなかった。こっちはフェラチオしてもらったりとか乳首を舐めたりしてほしい。でも、それを要求してもしてくれない。こっちはクンニもしているのにね。なのに、だんだん向こうが拒否するようになっていって、セックスレスになっちゃった。


夫婦喧嘩をした時って、セックスがあれば仲直りができるんだろうけど、そのきっかけも掴めない。価値観も合わず会話もないのに、子供がいるから夫婦を続けている……そんな生活が続いていた時に、彼女と出会ってしまった。子供に対する責任はあるので経済的な面をきちんとするから、離婚してほしいと言っています。僕の人生の残りって20年くらいでしょう? これまでの20年は妻と結婚して子育てをしてきた。残りの20年は好きな女性と、好きなように生きていきたいなと思ったんです」


ナオキさんは、50代という世代を“二度目の思春期”と言った。大人になることを目前に控え生き方に悩む一度目の思春期、そして二度目の思春期では老年を目前に控え、「今までの生き方で良かったのか。これからどう生きればいいのだろうか」と悩むのだと。


■友達以上配偶者未満を探す「既婚者合コン」


ディスコでは、踊りたい人のためのイベントが開かれているだけでなく、既婚者合コンと呼ばれる既婚者も参加できる中高年向けの出会いイベントや、婚活イベントも行われている。若い時にディスコやクラブに足を運び、一緒に踊れば友達になれたという人には、とても楽しく相手を探せる場所になるだろう。


友達以上配偶者未満で、いわゆる彼氏・彼女ではない存在が欲しい人にとっては、「一緒に遊べて話もできるHありの人」を見つけられる場所の一つになるかもしれない。


筆者は「既婚者合コン」に実際に参加し、主催者に話を聞いた。


■異性に「きれいだね」「素敵‼」と褒められたい


平日に都内のレストランで行われていたランチ合コンには、男性が9人、女性が8人の計17人が参加していた。年齢層が高めの会を選んだため、女性は40代後半〜50代後半、男性は50〜60代。30代は男女ともにいなかった。主催者の男性は言う。


写真=iStock.com/AsiaVision
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AsiaVision

「ほとんどの方は、『家庭を壊さずに恋愛気分を楽しみたい』と秘密をスリリングに味わっています。中には真剣な出会いを求めている人もいるかもしれませんが、ごく稀ですね。ほとんどが、今の生活を変えたいとモヤモヤを抱えていて、それを突破する一つの方法として、出会いの場に足を運んでいる感じ。


ちょっと突っ込んで話を聞くと、『結婚したらモラハラ男だとわかった』『長く付き合って結婚したからトキメキがない』『長く単身赴任で独身のような生活をしている』などいろんな人がいますね。出張先で合コンに参加して、出張の時にデートを楽しむ男性もいます。皆さん共通しているのが女性や男性として見られたいこと。『きれいだね』とか『素敵‼』って褒められたいんですよね。女性は、ご自身も働いていたり、ご主人の稼ぎが良かったりして、生活に不安がない方が多いのも特徴です」


ただし、中にはマナーの悪い人もいるという。


「相手を取っかえ引っかえして、恋愛ゲームを楽しむ人もいます。ぶっちゃけ言えば、ヤリ目的で1回したらおしまいというタイプです。また、マルチや保険の勧誘をする人もいるので、それも要注意ですね」(主催者)


■検索ワードは「中高年 50代 出会い」


一方で常連もいる。相手ができるとしばらく来なくなり、別れるとまた参加するというスタンスで、通い続けているそうだ。ただ、雰囲気が色っぽく変わってくるというから、配偶者にバレないのかと心配になる。


実際、配偶者にバレることを気にして、平日ランチタイムに行われる合コンに参加する人もいる。筆者が潜入したのは、このランチ合コンだ。


参加者に話を聞いてみると、男性は「有休を取って参加した」「自営業なので時間に融通が利く」「平日に休みがある」の3パターンで、女性は「有休」の他に「パートなので融通が利く」「専業主婦」だった。


探し方はネットで見つけた人ばかりで「テレビや雑誌で既婚者合コンを知って検索をした」というパターン、「中高年 50代 出会い」などの検索ワードで既婚者合コンが引っかかってきたというパターンがあった。


■「不倫をしたいという気持ちはない」


女性の中には「不倫をしたいという気持ちはないけれど、参加費が安く、いろいろな人と話ができて、社会が広がりそうだ。もしかしたら、話の合う女の友達もできるかもしれない。知人から既婚者合コンの話を聞き、好奇心で参加した」という人もいた。


既婚者向けの合コンやパーティの情報がまとめて掲載されているホームページもあり、それを見ると日本全国で行われていることがわかる。多くはテーマが設けられており、「平日昼間に会える専業主婦」「おひとりさま限定」などがあり、年齢層も区切られている。参加費は、ランチタイムの場合は男性が5000円程度で、女性は1500円ほど。夜だとやや高めで、男性が8000円、女性は2000円くらいだ。


「主催者の仕切りが上手だと、連絡先交換やマッチングが非常にスムーズです。また、参加メンバーによって、会の空気やノリも大きく異なりますね。二次会への流れを上手につくれるかどうかによっても違います。二次会は、さらに仲良くなれることが多いですね」(主催者)


■男性からチヤホヤされると自己肯定感が上がる


既婚者合コンを利用して、交際を経験したことのあるナミさん(仮名・46歳)は次のように話す。



中山美里『ルポ 高齢者のセックス』(扶桑社新書)

「どっぷり恋愛したいというよりは、割り切ったライトなお付き合いをしたいので、そういう方と付き合ってきました。ご飯を食べて、楽しかったから、ついでにセックスもするかって感じ。フィーリングが合って、優しくて、面白い……というように一緒にいて楽しいことが大事なんです。だから、見た目が良くてつまんないのもNG。それから、『彼女になってください』みたいなのも重いんですよね。私は、昔から男性好きなので、お話をしてチヤホヤされると気持ちいいし、まだまだいけるかなと自己肯定感が上がるんです。お互いにそういう感じで付き合えればいいなと思っています」


いい人に出会えればいいけれど、それだけではなく、日常の中では出会えない人と話したい、人間関係を広げて楽しみの幅を広げたいと考える人が男女ともに多くを占めるように見受けられた。


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中山 美里(なかやま・みさと)
フリーライター
1977年生まれ。東京都出身。編集プロダクション・オフィスキング所属。高校卒業後、ショーダンサー、出版社アルバイトなどを経てフリーライターに。雑誌やウェブで性をテーマに取材・執筆を行う。処女作『16歳だった 私の援助交際記』』(幻冬舎)がベストセラーに。主な著書に『ネット風俗嬢』(リンダパブリッシャーズ)、『漂流遊女『漂流遊女
(ミリオン出版)、『高齢者風俗嬢』(洋泉社)、『副業愛人』(徳間書店)など。2022年にAV女優などの仲間と一般社団法人sienteを発足。AVや風俗などセクシャルウェルネス産業に対する差別や偏見をなくすための活動をしている。
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(フリーライター 中山 美里)

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