「超一流社員が4月に読む本はなぜ薄い?」トップ5%社員が人に勧められてネット購入までに要する「驚きの秒数」
2025年4月4日(金)10時15分 プレジデント社
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Achisatha Khamsuwan
※本稿は、越川慎司『AI分析でわかったトップ5%社員の読書術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
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■勧められた本は2分以内にカートに入れる
5%社員は初動が早いです。彼らは、本を勧められると、すぐにネットショップを開き、わずか2分以内にカートに入れます。
彼らは月に7冊程度の本をまとめ買いしますので、カートに入れておいた本をあとで一括購入します。彼らのこの習慣には、重要な意味が隠されているのです。
まず、彼らがこのように素早く行動するのは、情報の価値を瞬時に判断し、機会を逃さないためです。処理できないほどの情報が流通する現代社会において、自分にとって有益な情報を見極める力は非常に重要です。5%社員は、その情報を素早くキャッチし、行動に移すことで、チャンスを掴んでいるのです。
本を勧められたとき、彼らは即座にその本の価値を判断します。自分のキャリアや個人的な成長に役立つと感じたら、迷わずカートに入れるのです。この迅速さこそが、彼らを他の人々と差別化する要因の一つなのかもしれません。
しかし、多くの人がここで、次のようにつぶやくでしょう。「自分には、そんなに速く判断することはできない」と。確かに、すべての人が5%社員のようにすぐに行動に移せるわけではありません。でも、そんなあなたも大丈夫。大切なのは、彼らの習慣から学ぶ姿勢を持つことなのです。
たとえば、本を勧められたとき、すぐに買わなくても、メモを取る習慣を身につけるところから始めればいいのです。5%社員の多くが、レシートの裏などに、勧められた本のタイトルやキーワードをメモしているそうです。このちょっとした習慣が、後で本を手に取るきっかけになるのです。
また、彼らが本を素早く購入するのは、興味や関心が冷めないうちに行動するためでもあります。新しいことを学ぼうとする意欲は、時間とともに薄れていくもの。だからこそ、興味を持ったときが行動のチャンスなのです。
あなたも、本を勧められたときは、まずはメモを取ってみてください。そして、なるべく早めに本を手に取る。読み始めたら、自分の仕事や生活にどう活かせるか考えてみる。そんな小さな習慣の積み重ねが、やがて大きな成長につながっていくはずです。
勧められた本を読むことは、自分の世界を広げるチャンスです。普段は選ばないジャンルや著者の本に触れることで、新しい発見や気づきが得られるかもしれません。そんな偶然の出合いを、もっと積極的に引き寄せてみませんか。
本屋に足を運ぶ、友人に本を勧めてもらう、SNSで話題の本をチェックする。偶然の出合いを増やすためのアクションは、たくさんあります。そうして出合った本を、5%社員のように素早く手に取る。そんな習慣を身につけることで、あなたのキャリアや人生に、偶然の出会いが訪れるかもしれません。
■1月と4月は薄い本を選ぶ
新年や新年度は、多くの人が新たな目標や習慣を立てる時期ですが、その実現には困難が伴うことも少なくありません。特に読書習慣を確立もしくは継続することは、多忙なビジネスパーソンにとって高いハードルです。
5%社員は、読書を習慣として確立し、知識を業務に活かすことで、着実な成果を上げ続けています。では、彼らはどのように読書習慣を身につけ、継続しているのでしょうか。
その鍵の一つが、「1月と4月は薄い本を読む」という一見シンプルな方法にあります。
なぜ5%社員はこの時期に薄い本を読むのでしょう。その理由は2つあります。
年末と年度末に読書の振り返りをする5%社員は、新年と新年度にも読書習慣を継続しようと意気込みます。しかし、高めすぎた意識は早く下がります。そのことを知っている彼らは、温存戦略を取るのです。分厚い本をガンガン読むのではなく、ページの少ない本を着実に読んでいたのです。
2つ目の理由は、初動を早めるためです。帰省や旅行などでゆっくり休んだあとの新年や、新たな環境でスタートする4月は慣らし運転として薄い本を読破します。短時間で確実に読み終えることで自己効力感を得られて、読書習慣を継続できると言っていました。
このアプローチの背景には、習慣化のコツがあります。習慣化においては、小さな成功体験が重要です。薄い本から読み始めることで、読了感と達成感を得やすく、習慣化のハードルを下げることにつながります。一冊の本を完読することが、自己効力感を高め、読書の習慣を強化するきっかけになるのです。
内容が高度で分量も多いビジネス書を前にすると、「仕事で忙しいのに、こんなに読み切れるわけがない」と挫折してしまう人が少なくありません。一方、100ページ程度の薄い本なら、スキマ時間を活用して読み進められます。
ある調査では、新しい習慣を身につけるには平均66日かかることが明らかになっています。この間、継続的に行動を積み重ねることが習慣化の鍵を握ります。
薄い本から始めることで、着実に目標を達成していくことができます。小さな成功体験の積み重ねが、習慣化へのモチベーションを高めていくのです。
越川慎司『AI分析でわかったトップ5%社員の読書術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
実際、5%社員へのインタビューでは、読書習慣の始まりは「気軽に読める本との出合い」がきっかけだったと答える人も少なくありません。
ある営業部長は、「大学時代、1月にたまたま手に取った薄いビジネス書がきっかけで、読書の面白さに目覚めた」と振り返ります。また、ある経営企画部の課長は、「新入社員時代、4月に上司に勧められた一冊の本が、読書習慣づくりのきっかけになった」と語ります。彼らの経験からも、最初の一冊の重要性がうかがえます。
手軽に読める薄い本から始めることで、「読書は難しい」というハードルを乗り越えられます。そこから広がる知識の世界が、あなたのビジネスパーソンとしての可能性を大きく広げてくれるはずです。読書習慣の確立は、一朝一夕にはいきません。しかし、小さな一歩を積み重ねることで、着実に前進できるのです。
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越川 慎司(こしかわ・しんじ)
株式会社クロスリバー代表
元マイクロソフト役員。国内および外資系通信会社に勤務し、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・複業を実践、800社以上の働き方改革の実行支援やオンライン研修を提供。オンライン講座は約6万人が受講し、満足度は98%を超える。著書に『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)、近著に『29歳の教科書』(プレジデント社)がある。
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(株式会社クロスリバー代表 越川 慎司)