皇族の役割に男女の違いはない…秋篠宮家の教育方針が皇位継承権持つ悠仁さま誕生でも変わらなかったワケ

2025年4月6日(日)8時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/BrendanHunter

2006年9月に、皇室にとって41年ぶりの男子として長男の悠仁さまが生まれてから、秋篠宮さまにはことあるごとに、悠仁さまに対する教育方針についての質問が投げかけられている。元宮内庁担当記者でジャーナリストの江森敬治さんは「秋篠宮さまは、皇族の役割について『女性皇族、男性皇族という違いはまったくない』と答えられており、紀子さまも育児の方針について『娘たちのときと同じように』と回答されている」という——。(第2回/全3回)

※本稿は、江森敬治『悠仁さま』(講談社ビーシー/講談社)の一部を再編集したものです。


写真=iStock.com/BrendanHunter
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■「ゆうちゃん」のお宮参り


2006年11月14日午前、悠仁さまの「お宮参り」が、皇居内の「賢所仮殿」で行われた。生後50日目以降に行われる「賢所皇霊殿神殿に謁(えっ)するの儀」という行事で、秋篠宮ご夫妻が見守る中、悠仁さまは宮内庁御用掛の男性に抱かれて参拝した。


この後、親子3人で御所を訪れ、上皇ご夫妻(当時は天皇、皇后両陛下)にあいさつした。宮内庁によると、11月13日現在、悠仁さまは身長58.5センチメートル、体重5244グラムで順調に成育していた。


報道陣から「なんと呼んでいますか」と質問された秋篠宮さまは、「悠仁の悠をそのまま読んで“ゆうちゃん”と呼んでいます」と、答えた。


■「女性皇族」「男性皇族」に役割の違いはない


悠仁さま誕生後の2006年11月に行われた秋篠宮さまの誕生日会見で、宮さまは、生まれてくる悠仁さまのために、佳子さまが何か作っていた様子などを披露しながら、紀子さまと次のようなやりとりもしている。


秋篠宮さま「次女の佳子についてはフィギュアスケートを一所懸命する一方で、もともと、あれはなんというのかな。手芸というの?」(と、妃殿下に尋ねて)


紀子さま「はい、手芸」


秋篠宮さま「手芸が好きなんですね。夜とか部屋をのぞいてみると、何を作っているの?」(と、妃殿下に尋ねて)


紀子さま「フェルトでものを作ったり」


秋篠宮さま「何か工作をしているんですけれども、生まれてくる子どものためにも何か一所懸命作っているようでした。それからその次の質問にありました女性皇族の役割についてですけれども、私は私たちと同じで社会の要請を受けてそれがよいものであればその務めを果たしていく。そういうことだと思うんですね。


これにつきましては、私は女性皇族、男性皇族という違いはまったくないと思っております。ですから、女性皇族だから何かという役割というのは、私は少なくとも公的な活動においては思いあたりません」


秋篠宮さまもまた、上皇さまと同じように女性皇族を高く評価している。


■佳子さまが作ったフェルトのおもちゃ


関連質問では、佳子さまが生まれてくるお子さまのために「何を作っていらしたのか? 具体的には何だったんでしょうか」という質問もあった。


当時、佳子さまは11歳だった。


秋篠宮さまと紀子さまのやりとりはこのように続いた。


秋篠宮さま「何を作ってたんでしょうかね。私も作っているところは見たんだけれども」(と、妃殿下に振り向いて)


紀子さま「そうですね、佳子は、これから先、一緒になって遊べるちょっとしたものを」


秋篠宮さま「おもちゃでしょうか。ちょっとフェルトで作ったり、さわっても大丈夫なものを、ときには眞子も一緒になって作っていました」


秋篠宮さまの誕生日にあわせてご一家5人の写真が公開された。ソファーに腰を下ろした両親の真ん中に悠仁さまが座っていて、後列に佳子さまたち姉2人は立っている。父親をじっと見つめる悠仁さまの柔らかな表情がとても印象的だ。


■生後4カ月の「お箸初」


明けて2007年1月13日、東京・元赤坂の秋篠宮邸で悠仁さまの「お箸初(はしぞめ)」が行われた。


一般のお食い初めにあたる儀式で、子どもの健やかな成長を願い、生後120日目以降に行われる。白木のお盆の上に小豆粥、塩漬けにしたホウボウ科の魚「金頭(かながしら)」などを置き、紀子さまに抱かれた悠仁さまの口に、小豆粥に浸した箸が付けられた。1月12日時点で悠仁さまの身長は64.5センチメートル、体重は6658グラムだった。


2月に入ると秋篠宮ご一家は静養のため、神奈川県葉山町の葉山御用邸に滞在した。


2月3日、ご夫妻と悠仁さまは近くにある「葉山しおさい公園」を散策した。紀子さまに抱かれた悠仁さまは、盛んに手足を動かすなど元気な様子で、集まった人たちから「かわいい」「かわいい」などと声が上がった。


写真=時事通信フォト
静養先の葉山御用邸近くの公園を散策し、池のコイに餌を与える秋篠宮ご一家(神奈川・葉山町の葉山しおさい公園)。2007年2月3日[代表撮影] - 写真=時事通信フォト

■可能な限り母乳での育児


そして、2007年9月6日、悠仁さまは満1歳の誕生日を迎えた。宮内庁はテーブルにつかまり立ちをする様子や、眞子さんや佳子さまと一緒におもちゃ遊びをする悠仁さまの写真などを公開した。悠仁さまのために、秋篠宮邸の私室棟2階にある8畳ほどの育児室が設けられていたが、活発に動き回るようになったため、庭に鉄筋コンクリート造り2階建ての別棟を増築したという。


1階は姉たちも使う多目的ルームで、2階にカーペットが敷かれた悠仁さまの部屋と看護師らの待機部屋を設けた。


紀子さまは看護師に助けられながら、母乳で悠仁さまを育てた。2007年7月の愛知県と山梨県の公的な活動では、初日の日程を終えると紀子さまはひとりで帰京した。そして、悠仁さまに母乳を与え、翌朝、再び戻り秋篠宮さまに合流し、仕事を続けたという。


夏頃からは離乳食の回数が増えたが、紀子さまは、可能な限り母乳で育てたいという希望だった。


9月6日午前、紀子さまに連れられた悠仁さまは皇居・御所を訪れ、上皇ご夫妻にあいさつした。報道陣からの「おしゃべりはされていますか」という問いかけに、紀子さまは「少しずつ」と答えた。


■美智子さまが見た、愛子さまと悠仁さま


2007年10月20日、上皇后美智子さまは73歳の誕生日を迎えた。宮内記者会から質問に文書で回答し、満1歳となった悠仁さまや、愛子さまら合計4人になる孫についての思いなどについて次のように綴っている。


「4人の孫がそれぞれ両親の許で、健やかに成長していることを嬉しく思っています。眞子、佳子は今年共に高校、中学に進学し、愛子ももう来年は初等科に上がります。悠仁も元気に成長し、この9月には満1歳になりました。前置胎盤の状態で出産の日を迎える秋篠宮妃を案じつつ、東京からの報せを待った旅先の朝のことが、つい先頃のことのように思い出されます」


「祖母として幼い者と接する喜びには、親として味わったものとも違う特別のものがあること、また、これは親としても経験したことですが、今、また祖母という新しい立場から、幼い者同士が遊んだり世話しあったりする姿を見つめる喜びにも、格別なものがあるということは申せると思います」


■悠仁さまをかわいがる2人の姉たちと愛子さま


さらに、愛子さまは、眞子さんや佳子さまと遊ぶとき大変楽しそうにしていて、眞子さんと佳子さまも愛子さまを大切にしながら、「大人とは異なる、子ども同士でのみ交せる親しさをこめて相手をしています」——とも綴っていた。


悠仁さまに対しても、2人の姉たちがちょうど、小さなおかあさんのように気遣いつつ、「しかも十分に手加減を知った無造作さで、抱いたり着がえさせたりしている」と、紹介した。


また、小さな愛子さまが、自分よりさらに小さい悠仁さまの傍でそっと手にさわっていたりする姿を、「本当に好もしく可愛く思います」と、上皇后美智子さまはそう表現された。


■子ども部屋のおもちゃの家に家族の似顔絵


2007年11月22日、秋篠宮さまの42歳の誕生日を前にした記者会見が行われた。


満1歳になった悠仁さまについての感想などが尋ねられ、殿下と紀子さまは9月6日に1歳となった悠仁さまの近況などについて、次のようなことを答えている。


秋篠宮さまによると、満1歳の誕生日の頃は、机とか、物につかまって伝い歩きをしているという感じだったが、今は、数歩ぐらい、ひとりで歩くようになった。行動範囲も広くなり、明かりがつくものとか、音が出るものとか、そういうものに興味があるようだという。たとえば、目覚まし時計の、押すと声が出るものとか、玄関のチャイムとかに関心がある。


眞子さんや佳子さまたちにとって悠仁さまは、非常にかわいい存在で、姉たちは悠仁さまをとてもかわいがっていると、悠仁さまが誕生してからの家族の仲睦まじい様子を披露した。


秋篠宮さま「子どもの部屋に、あれはなんて言うんでしょうね、厚紙って言うか、ああいう物を組み立てて作る小さい家があるんですね。それは基本的に無地なんですけれども、そこに上の2人の子どもが家族全員の似顔絵を描いたりとか……」


紀子さま「たとえば花とか」


秋篠宮さま「あ、そうね。そういう絵を描いたりとかして、そこで一緒に遊ぶとか、あとはさっき音が出るものが好きと言いましたけれども、ピアノの鍵盤(けんばん)なんかやはりいじってみたいわけですね。ところが背伸びしてもなかなかまだ届かない。だけど一所懸命たたこうとしていると椅子に座らせてたたかせたりとか、そんな様子でしょうかね」


と、紹介している。


■「小さな探検家」


紀子さまの話では、悠仁さまは目を輝かせながら周囲を見回して、


「小さな探検家のように関心を抱くものに手を伸ばして、そして確かめようとかわいい指でさわったり、また関心の対象に向かって勢いよく進んで行ったりするなど……(中略)だんだん行動半径が広がってますます目が離せなくなっております。幸い娘たちも大きいものですから、ずいぶんその点では助けてもらうところがございます。


娘たちも学校から帰ってくるのが夕方になりますので、一緒に過ごす時間というのは学校があるときはどうしても夕方以降になりますけれども、そういう時間や休みの日など私たちが一緒になって過ごしている時間を悠仁もとてもうれしいようで、私たちが話しておりますとその話の内容がわかっているのでしょうか、うなずいたり、わかったようなしぐさや表情を見せたり、また、私たちと一緒に元気な声を出して笑ったりするなど、以前は私たちが語りかけることが多かった中で、今は悠仁から話しかけてくることも増えまして、話の輪に加わるのが楽しいような感じがいたします」


■「心を豊かに育み、元気に安心して生活できるように」


紀子さまたちが仕事を終え、悠仁さまのところにかけ寄っていくと、とても喜んでうれしそうに両手を上げて振ったり、自分の気持ちをいろいろな形で表現しているという。



江森敬治『悠仁さま』(講談社ビーシー/講談社)

秋篠宮さまが「手をたたいたりもしているわね。よくね、拍手する」と、紀子さまに話しかけると紀子さまは、うなずきながら、「拍手」「何回でもしていますね」と、答えた。


悠仁さまは、厚紙で作られた小さい子ども向けの家の中で遊んだり、その中で隠れんぼをしたりしている。積み木を重ねたり崩したりもすると、紀子さまは紹介している。屋外では、悠仁さまを抱き、ベビーカーに乗せて散策を楽しんでいる。以前、悠仁さまはベビーカーに乗ると、揺られて気持ちよくなってすぐ眠ってしまった。しかし、今は目を開けていることも多くなり、通りすぎる風景を楽しんでいるようにも見える。大きい木を見上げたり、下を向いて自分の影を見てみたり、鳥のさえずりに気がついてじっと耳を傾けたりもしているという。紀子さまの話から悠仁さまを中心とした親子5人のとても仲のよい様子が手に取るように伝わってくる。


また、悠仁さまの育児の方針について聞かれた両親はこのように答えた。


秋篠宮さま「私としましては、今一番は元気に健やかに育ってくれるということを願っているわけですから、できるだけそのようにできるような環境を整えたいと、そういうふうに思っております」


紀子さま「娘たちのときと同じように、宮さまと相談をしながら、悠仁が心を豊かに育み、元気に安心して生活できるように心がけてまいりたいと思います」


誕生日にあわせて、家族5人が赤坂御用地を散策する写真が公開された。悠仁さまを乗せたベビーカーを佳子さまが押している写真などが含まれていた。


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江森 敬治(えもり・けいじ)
ジャーナリスト
1956年生まれ。早稲田大学卒業後、1980年、毎日新聞社に入社。京都支局、東京本社社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て、2022年3月末、退社。秋篠宮さまとは長年の個人的な親交がある。著書に『悠仁さま』(講談社ビーシー/講談社)のほか『秋篠宮』(小学館、2022年)、『秋篠宮さま』(毎日新聞社、1998年)、『天皇交代 平成皇室8つの秘話』(共著、講談社、2018年)など。
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(ジャーナリスト 江森 敬治)

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