1日に必要な栄養素をイッキにとれる…医師が「合理的でバランスがいい」と勧めるコンビニグルメ"の名前"【2025年3月に読まれたBEST記事】

2025年4月7日(月)17時15分 プレジデント社

2009年9月1日、コンビニエンスストアの店内(東京都) - 写真=時事通信フォト


2025年3月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお送りします。食生活部門の第3位は——。


▼第1位 だから「コンビニごはん」のほうが健康になる…和田秀樹「できるだけ家で料理を作らないほうがいい理由」
▼第2位 認知症になるよりよほど不幸である…高齢者の20人に1人が罹患している「最悪の病」を予防する食材の名前
▼第3位 1日に必要な栄養素をイッキにとれる…医師が「合理的でバランスがいい」と勧めるコンビニグルメ"の名前"
▼第4位 「時々食べる」だけでも認知症予防になる…82歳の脳科学者が真っ先に挙げる「日本人が大好きな食べ物」
▼第5位 老化を防ぎ、血圧を下げる…「103歳で大往生」まで元気だった経営者が60歳から毎朝欠かさなかった飲み物


老化を防ぐには何を食べればいいのか。医師の和田秀樹さんは「たくさんの栄養素をバランスよく摂るのが理想だがハードルは高い。そこで、解決法の一つとして提案したいのがコンビニの利用だ」という——。

本稿は、和田秀樹『死ぬのはこわくない』(興陽館)の一部を再編集したものです。


写真=時事通信フォト
2009年9月1日、コンビニエンスストアの店内(東京都) - 写真=時事通信フォト

■まずは食事や家のことから


昔に比べたら、ひとり暮らしは圧倒的に楽になっています。外食もしやすいし、けっこう美味しいお弁当屋さんもたくさんあります。デパ地下やスーパーも活用できますよね。食べることに関しては、あまり心配はいらないでしょう。


どうしても手作りのものが食べたい。でも、致命的に料理ができない。などという場合は家事代行サービスがあります。一週間に一回のサービスでしたら、月に3万円ほどで済むはずです。


夫や妻に先立たれたという寂寞感は、最低限の生活が成り立たないときに感じるものです。食事や家のことができていたら、ひとりのみじめさは、まず感じません。


さて、ある程度のことはできると仮定して、具体的に摂ってほしい栄養素や食事内容について話を進めていくことにしましょう。


■コンビニ弁当とラーメンは効率がいい


「肉」「魚介類」「卵」「大豆・大豆製品」「牛乳」「緑黄色野菜」「海藻類」「イモ」「果物」「油を使った料理」この10品目を食べている人ほど筋肉量が多く、握力や歩く速さなど身体的機能も高いとされています。


これらをバランスよく摂ることができればいいのですが、こんなにたくさんの栄養素を摂るのは大変なことです。そこで、解決法の一つとして「コンビニ弁当」の利用を提案します。


コンビニ弁当は、食品添加物が気になるという人もいるかもしれません。しかし、仮に食品添加物の影響を受けるとしても、それはずっと先のことです。今すぐ、体を悪くするなどということはありません。高齢になったら、10年後の健康のために食事をするより、今日という一日のために食事をすることのほうがはるかに重要です。


コンビニの幕の内弁当などは、おかずの種類が豊富で非常にバランスがとれています。多くの種類の食材から栄養素を摂るためには、合理的なのです。


私は、ラーメンが好きでよく食べにいくのですが、最近のラーメンは非常によく考えられています。


今のご時世、化学調味料を使わないお店が増え、スープにコクを出すために20〜30種類もの食材を煮込んでいたりします。つまり、そのスープを飲むことで、20〜30種類の食品の栄養素を摂取できるということになるのです。効率がいいと思います。


これは体にいい、これはダメと決めつけず、ほどよく中食や外食を取り入れていきましょう。何でも食べる人のほうが、心も体も元気であり続けられます。


■一番食べてほしいものは、ずばり肉


他にも、老化を防ぐ食材や、メニューはたくさんあります。


脂肪については、オリーブオイルなどに含まれるオメガ9脂肪酸、脂ののった魚に含まれるオメガ3脂肪酸は、細胞レベルで必要な脂肪なので、気にしないで摂ってください。


気をつけてほしいのは、マーガリンやマヨネーズに含まれるトランス脂肪酸、肉の脂身やバター、ラードなどに含まれる飽和脂肪酸です。これらは、血液をドロドロにして細胞の炎症を引き起こしかねないとされています。


こってりしたものが食べたいな、というときは、なるべく「いい脂」を摂ることをおすすめします。たとえば、ドレッシングの代わりにオリーブオイルとレモンを絞ってサラダにかける。「昨日は肉を食べたから、今日は魚にしよう」そんな程度でかまいません。


一番食べてほしいものは、ずばり肉です。日本人は肉の摂取が少ない。私はあらゆる機会をとらえて「肉を食べよう」といい続けています。


肉を食べて、タンパク質を充分に摂ることで、筋肉量が増え、年をとってもスタスタ歩ける足腰をキープすることができます。肉にはセロトニンの材料となる必須アミノ酸のトリプトファンが多く含まれているので、食べておけば、意欲の低下やうつ病の予防にもなるのです。肉は必須といっていいでしょう。


ビーフステーキ(写真=Flickr/pelican/CC-BY-SA-2.0/Wikimedia Commons

■長寿の人に共通する健康習慣とは


老年医学の専門家である柴田博先生は、国内外の百寿者を対象に長期に渡る調査を行い、長寿の人に共通する健康習慣を分析しました。豊富な臨床経験と、綿密な調査に基づいた柴田先生の意見や指摘は、説得力があるので、私は大いに参考にしています。


柴田先生の指摘によっても、日本の長寿者の特徴は動物性タンパク質(肉)の摂取割合が高いということです。


肉に含まれる動物性タンパク質を摂ることで、血液中に増えるアルブミンという物質は、脳卒中、心筋梗塞、感染症の予防に効果があります。柴田先生の調査によると、血液中のアルブミンが低い人ほど早期に死亡しているとのことです。肉の摂取量が高くなるほど、病気のリスクが低くなると柴田先生は指摘しています。


敬遠されがちなコレステロールも、低下すれば意欲がなくなり、惚けたような症状が出ます。年をとったら日々の食事で肉を積極的に食べ、コレステロールを摂る必要があるのです。なお、一日にとる肉は120〜150グラム程度が適量です。


とはいえ、毎日、肉をこれだけの量食べるのはしんどいという人もいるでしょう。


その場合は、魚はもちろん、豆腐、納豆などの大豆製品を積極的にとりましょう。特にサバやイワシなどの青魚は、血栓をできにくくして、心筋梗塞や脳梗塞を予防するEPAやDHAといった必須脂肪酸が多く含まれているので病気予防になります。大豆製品は、良質なタンパク質が含まれているだけでなく、ミネラルや食物繊維も豊富なので、体にとって、非常にお得です。


■体重60キロなら60グラムのタンパク質が必要


一日に必要なタンパク質は、体重1キログラムに対して1グラムです。体重60キログラムなら60グラムのタンパク質が必要になってきます。ただし、タンパク質から筋肉をつくる効率は年をとるにつれて落ちてしまうので、私たち世代は、体重1キログラムあたり1.2グラム程度のタンパク質を摂取するのが理想です。


肉100グラム中、豚ヒレは22.2グラム、鶏モモ肉は17.3グラム、和牛サーロインは17.1グラム程度のタンパク質が含まれています。卵は1個(60グラム)につき7.4グラム、木綿豆腐は1丁(300グラム)につき21グラム、納豆は40グラムにつき6.6グラム、牛乳は200ミリリットルにつき6.6グラム程度のタンパク質が含まれています。参考にしてください。


タンパク質は、体内で貯蔵できないので、一度にたくさん食べても意味がありません。一日3食で、肉、魚、卵、乳製品などの動物性タンパク質と、大豆や大豆製品などの植物性タンパク質をまんべんなく摂ることが大切なのです。


シャキッと元気な体をつくるには、栄養をしっかり摂らなくてはなりません。中でもとりわけタンパク質は重要なので、意識的に摂るように心がけてください。


■内側から「錆びない体」をつくる食品


細胞が炎症を起こし、体が酸化することで、老化は進みます。元気にしゃっきり生きるためには、体の酸化を防ぐことが重要なのです。食品の中には抗酸化作用を持つものがあるので、これらを上手に活用して、中からも、錆びない体をつくっていきましょう。


特に、赤、黄、緑といった色の濃い野菜は高いアンチエイジング効果が認められています。緑黄色野菜の天然色素には、αカロテン、βカロテン、リコピン、ルテインといったカロチノイド類が豊富です。これはなんとビタミンEの1000倍もの抗酸化力を持つといわれているのです。摂らない手はありません。


特に、カロチノイド類が豊富な緑黄色野菜は、ニンジン、トマト、ホウレンソウ、グリーンピース、ブロッコリー、エダマメなどです。



和田秀樹『死ぬのはこわくない』(興陽館)

その他、キャベツ、ハクサイは、抗酸化物質のビタミンA、C、Eが豊富に含まれており、セロリ、カブの葉、トウモロコシ、アボカド、メロンなどは強力な抗酸化物質のルテインを多く含んでいます。


果物では、ベリー類に脳と心臓を保護する抗酸化物質、アントシアニンが豊富なので、意識して食べていただきたいです。ベリー類とは、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、カシス。おなじみのイチゴもベリー類です。ちなみに、リンゴ、プラム、ピーマンもアントシアニンが豊富な食品です。


生で食べれば、野菜や果物に含まれる酵素も体内に摂り込むことができ効率的です。


(初公開日:2025年3月10日)


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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、アメリカ・カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。国際医療福祉大学教授(医療福祉学研究科臨床心理学専攻)。一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。川崎幸病院精神科顧問。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。2022年総合ベストセラーに輝いた『80歳の壁』(幻冬舎新書)をはじめ、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老いの品格』(PHP新書)、『老後は要領』(幻冬舎)、『不安に負けない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『どうせ死ぬんだから 好きなことだけやって寿命を使いきる』(SBクリエイティブ)、『60歳を過ぎたらやめるが勝ち 年をとるほどに幸せになる「しなくていい」暮らし』(主婦と生活社)など著書多数。
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(精神科医 和田 秀樹)

プレジデント社

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