ワースト1位は宮城県仙台市にある警備会社…平均年収が低い「全国ワースト500社」ランキング2024【2025年3月BEST5】
2025年4月13日(日)18時15分 プレジデント社
2025年3月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお送りします。家計・節約部門の第5位は——。
▼第1位 だから「一軒家よりマンション派」が増えている…戸建購入者が覚悟しておくべき決定的デメリット
▼第2位 お金の貯まらない家の「お風呂場」には大抵コレがある…片づけのプロ「今すぐ風呂場の外へ出すべきもの」
▼第3位 豪邸も高級車も必要ない…幸福度を確実に上げるために人生後半で手に入れるべき"たった一つのもの"
▼第4位 なぜ三菱商事の平均年収は2000万円を超えたのか…平均年収が高い「全国トップ500社」ランキング2024
▼第5位 ワースト1位は宮城県仙台市にある警備会社…平均年収が低い「全国ワースト500社」ランキング2024
プレジデントオンラインは、全上場企業の「平均年収ランキング(2024年版)」を作成した。調査対象会社3744社のうち、ワースト10社の平均年収は314万2000円で、平均年収が最も低いトスネット(本社:宮城県仙台市)は267万2000円だった。「全国ワースト500社」の詳細をお伝えする——。(第2回)
■ワースト10社の平均年収は314.2万円
プレジデントオンラインは、全上場企業の「平均年収500ランキング(2024年度版)」を作成した。基にしたデータは直近の年次決算期における有価証券報告書(2023年10月期〜2024年9月期)。データ抽出では、経済・金融データサービスの株式会社アイ・エヌ情報センターの協力を得た。
調査対象会社は、上場企業のうち単体の従業員数が10人以下の企業や、平均賃金の発表がない企業などを除いた3744社。このうち平均年収が低い「ワースト500社」を集計したところ、平均年収額は434.2万円で、これは調査対象の全上場企業の平均年収652.2万円を大きく下回る。
上位企業ランキングと対照的に、サービス業と小売業が上位を占め、従業員の平均年齢の若い企業も多数ランクインする結果となった。
■ワースト1位は宮城県の警備会社
ワースト10位のうち6社が首都圏以外に本社を置く。10社の平均年収は314.2万円で、前回よりも40万円近く増えたが、平均年収が高い企業と比較すると7分の1程度にとどまる実態が明らかになった。
ワーストランキングの1位は、交通誘導警備事業が主力のトスネット(267.2万円)だ。前年比では26.8万円の増加を見せているものの、平均年収は依然として300万円を下回っている。同社の平均年齢は43.0歳で、146人の従業員を抱えている。
同社に問い合わせたところ、「平均年間給与には総合職や一般職のほか、警備職が多数含まれている。警備職は『1日いくら』の日給月給制のため、固定月給制ではなく、勤務日数によって月給が変わる。また、当社は宮城県に所在しており、物価水準は地域的に首都圏と比較し低い。東北地方の他の会社に比べて、待遇が悪いということはないと考えている」と回答があった。
■業種別で最も多いのはサービス業
2位にはネイルサロンチェーン「FASTNAIL(ファストネイル)」を運営するコンヴァノ(302.8万円)、3位にはガラス基板などを手掛ける倉元製作所(315.9万円)がランクインした。同社も宮城県に本社を置く。4位はANAP。レディースファッションブランドを展開する。
上位10社にランクインした企業のうち、3社は平均年齢が20代、2社が30代前半と若い。従業員数も比較的少ない。
例えば、5位のイタミアート(316.8万円)は平均年齢28.3歳、9位のジンジブ(327.3万円)は平均年齢29.8歳と、若手中心の組織構成であることがうかがえる。
従業員数で見ると10位のSaaS事業のテクノロジーズ(330.4万円)は従業員数わずか12人だ。一方で、300人以上の従業員を抱える企業も存在する。7位の食材宅配サービスを手掛けるショクブン(322.6万円)は374人、22位の製造請負などを手がけるウイルテック(356.7万円)は3183人と、比較的規模の大きい企業もランクインしている。
500社を業種別に見ると、サービス業(旅行代理店、介護関連、ホテルなど)が139社、小売業(外食、食料品含む)が119社と続いた。小売業の内訳ではファッション関連企業や外食関連企業が目立った。
上位50社では小売業は20社と4割を占め、サービス業も14社と高い割合を示している。
■約222万円の年収減になった企業
ワーストランキングに金融機関や商社は見当たらず、製造業も一部を除いてほとんど含まれていない。これは、高収入ランキングとは対照的な傾向であり、業種による給与格差が明確に表れている。
前年比の増減を見ると、ほとんどの企業で微増または横ばいの傾向がある。しかし、中には大きく減少した企業も存在する。
例えば、157位のリミックスポイントは418.2万円で221.9万円の減少となった。かつて楽天のナンバー2だった國重惇史氏が社長を務めたことでも知られる。法人向けの電力小売りが主力、金融投資事業なども手掛けている。2025年1月末には総額20億円の暗号資産を購入すると発表。これを含めた暗号資産の総投資額は100億円となるという。
2024年度の「平均年収ワースト500ランキング」では平均年収400万円未満の企業は103社だった。前回は133社だったので、30社減ったことになる。
今回のワースト500位の企業の平均年収は434.2万円で、前回のワースト500位の平均年収418.8万円と比べると、15.4万円高い。物価高に伴って企業の賃上げの動きが「ベスト500」だけでなく「ワースト500」の企業にも波及していることを物語っている。
ただ、今回のランキングではこれまでと同じく小売業やサービス業などでの賃金水準の低さ、東京と地方との格差が改めて浮き彫りになっている。産業構造の課題は依然として横たわったままだ。
(初公開日:2025年3月18日)
(プレジデントオンライン編集部 図版作成=大橋昭一)