希少疾患HAE国際会議「HAEi地域会議APACマニラ」に25か国・約300名が参加。日本からNPO法人HAEJ(遺伝性血管性浮腫患者会)が参加し国際交流

2025年4月30日(水)11時17分 PR TIMES

アジア・太平洋地域のHAE治療環境改善に向け、各国患者会連携の重要性を確認

2025年3月7日(金)〜9日(日)の3日間、フィリピン・マニラで「HAEi地域会議APACマニラ」が開催されました。本地域会議はHAE国際患者会「HAEi」のアジア・太平洋地域コミュニティを対象とする国際会議で、25の国・地域から総勢約300名、NPO法人HAEJから6名が参加し、アジアのHAE治療環境改善に向けた討議を行いました。本会議で、HAEJ代表理事の松山真樹子がパネルディスカッションに登壇し、年少のHAE患者を持つ親として学校関係者や社会へのHAE理解促進の必要性についてのスピーチを行いました。また、HAEJの参加者は、韓国や中国、シンガポールなど近隣諸国のHAE患者・家族との意見交換や交流を深めました。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/142663/4/142663-4-82097c3d2eb1884a08f48f5f9cd4bf8a-1141x586.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]パネルディスカッションで発言する松山真樹子代表理事
アジア・太平洋地域は欧米諸国に比べ、診断率の低さ、治療アクセスの不整備、HAE専門医の不足など多くの課題があります。本会議ではアジア・太平洋地域におけるHAE治療環境改善に向け、地域連携、データ集積の重要性、希少疾患に対する理解不足や偏見の払拭の必要性と課題解決のプログラムについて確認しました。
本会議にHAE専門医として参加した秀道広先生(広島市立病院機構理事長)は、アジア・太平洋地域のHAE患者会とHAE専門医が取り組むべきテーマについて、以下のようにコメントしています。
「HAEを取り巻く環境は、欧米とアジア諸国には大きな乖離があります。今回の会議でのアジア諸国からの発表とディスカッションで、そのことが一層明らかになりました。アジアの中で、日本はかなりのHAE先進国と言えますが、診断された患者数やファミリーテスト(家系の中で誰かがHAEと診断されたときに、血縁関係にある家族、親戚に対して広くHAEの検査を行うこと)の遅れなど、アジアの他の国と共通する課題も多く残されています。また、アジアの人達は、体型的にも遺伝的にも欧米の人達とは異なる共通の性質が多いことから、日本国内では対象が限られてしまう治験や臨床試験でも、アジアの国々が合同して取り組むことも考えられると思います。これから日本はアジアの患者さん達にも目を向け、日本での経験を伝えたり、新しい研究に共同して取り組むといったことが進むと良いと思います」(秀道広医師)
                          
また、NPO法人HAEJ代表理事松山真樹子は日本の希少疾患患者会がアジアで開催されるHAE国際会議に参加する意義について次のとおりコメントしています。
「このAPAC地域会議の初回は2023年3月にタイ・バンコクで行われ、2回目の今回はフィリピン・マニラでの実施でした。グローバル全体での会議とは別に、アジアに絞った地域会議はアジアならではの事情や文化に基づくより身近で濃密な話し合いができることで非常に有益だと感じています。今や日本は、欧米の中でも治療環境の進んだ国と肩を並べるHAE治療先進国といえます。アジアにおいては唯一の恵まれた治療環境です。しかし今日の日本の治療環境もここに至るまでには多くの年月を要しました。専門医の先生方、製薬企業の方々のご尽力、関係各位のご協力、そしてそのために私たち患者会も多くの方々に協力いただきながら、10年にわたって尽力をしてまいりました。HAEとわからずに腹痛や浮腫などの症状で苦しむ方、辛い思いをする方が早期の診断と治療によって少しでも減りますよう、今後も診断率の向上やより良い治療環境のために患者会として尽力したいと思います。
このような国際規模の患者会を開催し、最新知識の共有、医師や患者同士のコミュニケーションをもつ機会を得られる患者会は、世界的にも日本においてもきわめて稀です。有益なだけでなく、友人を作るなど人生をより楽しくできる貴重な機会として多くの患者さんやご家族に機会を提供できるよう、HAEJはこれからもサポートを続けてまいります」(松山真樹子)

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/142663/4/142663-4-243f3d429fec1e6a5bb9115504948bc4-1128x561.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]HAEiアジア・太平洋地域の患者アドボカシー、ファニーとヨン・ハオ
続いて「HAEi地域会議APACマニラ」の主なプログラムをレポートします。
3月7日(金)のプログラム冒頭で、香港のフィリップ・リー医師が登壇し、「アジア地域が目指すゴールはこの地域のすべての国がより多くの臨床試験を実施して最新の治療法にアクセスできるようにすることにある」と述べました。また、そのために「私たちが共同で取り組むことが重要であり、診断された患者が少数であれば、国境を越えた取り組みにチャレンジすることが重要である」とスピーチを結びました。
8日(土)午後のセッションで、HAEiの科学委員会のメンバーである秀道広先生をはじめ、6名のHAE専門医師が登壇しました。会場からの質問に回答する形式で、スポーツ時や歯科治療など外科的治療時の注意点、HAEの遺伝子治療の最新トピックスなど、HAEの最新研究報告にもとづく有益な質疑応答がなされました。また、疲労や倦怠感、眠気、心理的ストレスなどがHAEの発作と関連している可能性の指摘や、子どものケアや心配ごとに気を配り過ぎると子どもに大きなストレスをかけることもあるため、過度な干渉は避けるようにするのが望ましいとの助言もありました。患者の生活の質を高めるために、医師と患者の間の良好なコミュニケーションを確立することがとても重要であるとの指摘もありました。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/142663/4/142663-4-78b19b0f6da88f6e93a4df03f2f7ddd9-1117x558.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]専門家パネルディスカッションで発言する秀道広医師
今回の地域会議で取り上げられた重要なテーマの一つが、遺伝性疾患に対する偏見(スティグマ)の問題です。複数のセッションで議題となった偏見への対応を検討するにあたって、社会的(公的)な課題と内面的(個人的)な課題の両面から考える必要があること、またHAEへの社会的な理解の不足は医療制度など構造的な問題にもつながっているとの指摘がなされました。多くの国のHAE患者が抱えるネガティブな影響に対して、希少疾患ゆえに孤立しがちなHAEの患者・家族が協調して力強く立ち向かっていくことが重要であり、教育や擁護を粘り強く行っていくことが必要との意見が相次ぎました。
本会議に参加した韓国のイン・ギョンさんはHAEへの理解不足を克服する方法について、力強いメッセージを発信しました。
「私も、HAEへの無理解に悩まされてきた一人です。しかし、私のパートナーは一緒にこの病気を理解しようと努力しています。急性発作時の注射薬の投与法まで学んでくれました。この経験を通して、私は自分の病気を隠したり、罪悪感を持つ必要はないという自信をもちました。最も重要な行動は肯定的な意思にもとづくものです。この病気について継続的に学び、症状をコントロールするための努力を怠らないこと。そして周囲の人々にこの病気を理解してもらうように積極的にコミュニケーションを取っていきましょう」

本会議を通じて、望むべき治療を受けられないという多くの国の患者さんの切実なコメントが聞かれました。日本国内の治療環境が他のアジア諸国に比べて恵まれていることを再認識するとともに、他国の患者会と連携したアジア地域全体の治療環境改善の取り組みの重要性を確認する貴重な国際会議の場となりました。

【NPO法人HAEJについて】
NPO法人HAEJは、遺伝性血管性浮腫(HAE)の患者同士の交流や治療に関わる情報交換など、患者や家族が毎日を健康に楽しく暮らしていくことをサポートするために、 2014年4月に設立されました。国際患者団体であるHAEi(HAE international)のNMO(National Member Organization)として、HAEiと協力しながら活動をしています。詳細については、 https://haej.org/ をご覧ください。

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