トヨタが自動運転で「ウェイモ」と提携…蓄積データを開発に活用、中国勢に対抗
2025年5月1日(木)8時31分 読売新聞
ウェイモが4月から実証走行で使用している輸入車(4月、東京都内で)=高村真登撮影
トヨタ自動車は30日、米アルファベット傘下の自動運転企業「ウェイモ」との提携を決めた。ウェイモのデータや安全技術を車両開発に生かす。自動運転分野は米中が大きく先行し、自前で手がけてきたトヨタは国内外企業との提携拡大で開発を加速させる。(杉本要、奈良橋大輔)
IT基盤開発へ
トヨタがグーグルを傘下に持つアルファベットと提携するのは初めてで、車載ソフト開発の子会社「ウーブン・バイ・トヨタ」も参画する。今回の提携を通じて自動運転車のIT基盤(プラットフォーム)の共同開発を進める。将来的にトヨタの市販車にウェイモの技術を導入し、ウェイモの自動運転サービスに車両提供も行う。相互出資は検討しておらず、具体的な投入時期や台数は今後詰める。
2017年に自動運転タクシー事業を始めたウェイモには米国で週25万回以上の利用実績があり、トヨタは豊富なデータを開発に活用できると判断した。中嶋裕樹副社長は30日、「ウェイモと自動運転技術を世界に普及させ、安全・安心な社会の実現を着実に進める」とコメントした。
ウェイモは今年4月から日本で自動運転タクシー事業への参入に向けた実証走行を開始。世界各国に広範な販売網を持つトヨタとの協業を通じて、中国勢などとの競争を優位に進める思惑があるとみられる。多額の開発費が重荷で赤字続きとされ、トヨタとの共同開発で財務負担を軽減する狙いもありそうだ。
提携矢継ぎ早
トヨタはここ数年、自動運転分野で矢継ぎ早に提携を打ち出す。日本では昨年、NTTと次世代の運転支援システムの共同開発を行うと表明。今年1月には米半導体大手のエヌビディアから自動運転車の開発に欠かせない高性能半導体の供給を受けることが決まった。中国では新興企業「小馬智行」(ポニー・エーアイ)と自動運転車の共同開発も進める。
総務省の情報通信白書によると、26年の世界の自動運転車市場は約620億ドル(約9兆円)に上り、21年と比べて2・5倍に拡大する見込みだ。日本勢ではホンダが1月、高性能な半導体開発でルネサスエレクトロニクスとの提携を発表。日産自動車も、英新興企業と人工知能(AI)を活用した自動運転技術の共同開発を進める。多様な技術やデータなどが必要な自動運転を巡っては、他業界との連携が加速している。
調査会社フォーインの福田将宏氏は「トヨタでも単独で自動運転分野の開発を行うのは現実的ではない。膨大な蓄積データを持つウェイモとの提携で、コストを抑えながら自動運転を実現できるはずだ」と述べた。