トランプ氏、関税交渉「英国と合意」…「相互関税」を打ち出して以降で初のケースか
2025年5月8日(木)21時39分 読売新聞
スターマー英首相から渡された英国王の親書を持つトランプ米大統領(2月27日)=ロイター
【ロンドン=中西梓、ワシントン=下里雅臣】米国のトランプ大統領は8日、自身のSNSに、関税を巡る交渉で英国と合意すると投稿した。トランプ米政権が鉄鋼・アルミニウム製品などへの関税や「相互関税」などを打ち出して以降、初の関税を巡る合意になる。
英BBCや米紙ニューヨーク・タイムズなど欧米主要メディアによると、米国は25%の追加関税を課している自動車や鉄鋼・アルミ製品などの輸入で、英国製品に一定量の枠を設け、枠内では関税を引き下げる。米国は日本との貿易交渉で、自動車や鉄鋼などへの追加関税は各国一律だとして協議の対象外とする姿勢を見せており、英国には譲歩することになる。一律の10%の相互関税の適用は継続となる模様だ。
一方、英国は、米国からの輸入車に対する関税を引き下げるほか、巨大ITに対するデジタル課税を緩和する見通しだ。英国は2020年、英国内の売上高が2500万ポンド(約48億円)を超えた場合、売上高の超過分に2%課税する制度を導入しており、トランプ氏は問題視していた。
欧州連合(EU)も米国の追加関税に対する報復措置として、巨大ITへの課税強化を検討している。米英の合意は米EUの交渉にも影響しそうだ。
トランプ政権が4月に発表した相互関税で、英国からの輸入品には、ほぼ全ての国・地域に課す基本税率の10%のみが課されている。米英の貿易収支は他の国・地域に比べて均衡に近い状態にあるため、英国は相互関税の上乗せ分(90日間の適用停止中)は課されていない。