「固定残業代」がある会社はブラック企業って本当? 労働基準法に抵触している企業も……!?

2025年5月10日(土)21時45分 All About

女性のキャリアについての気になる悩みや疑問に、正社員で長く働きたい女性のための転職サイト『女の転職type』の編集長である小林佳代子が回答。今回は「固定残業代」について。

正社員で長く働きたい女性のための転職サイト『女の転職type』の編集長である小林佳代子が回答します。今回は「固定残業代」について。
(質問)
固定残業代がある会社はブラック企業なのでしょうか? 転職先を選ぶ際に気を付けるべき点を教えてください。
(回答)
固定残業代制度を導入している企業が全てブラック企業とは限らず、労働者にとってメリットになることもあります。ただ、ブラック企業がこの制度を悪用するケースもあるので、就業や転職時には運用実態をしっかり確認するなど、慎重な見極めが必要です。また固定残業代制度以外にも、給与体系や勤務時間、休暇制度、雇用形態など、求人情報だけでは誤解が生じがちな項目は面接でしっかり確認することが大切です。
詳しくは以下で解説します。

「固定残業代=ブラック企業」は誤り。労働者にとってメリットとなる場合も

固定残業代(みなし残業代)制度とは、基本給に加えて一定時間分の残業代を支給する制度のことです。長時間労働や賃金の不払いを行う、いわゆる「ブラック企業」がこの制度を悪用したことにより、「固定残業代制度=ブラック企業」というイメージを持つ人は多いでしょう。ですが、実は労働者にとってメリットになることも多い制度です。
一般的に、固定残業代制度のメリット・デメリットは以下のとおりです。
■メリット
・残業をしなくても固定残業代が支給される
・業務効率化の意識が高まる
・月々の収入が安定しやすい
■デメリット
・給与だけを見て好待遇だと勘違いしやすい
・残業が常態化してしまう
また固定残業代制度を隠れみのにし、固定残業時間外の超過分を支払わない、固定残業代を省いた基本給が最低賃金を下回るなど、労働基準法や労働契約法、最低賃金法に抵触している企業があるのも事実です。固定残業代制度を導入している企業に就業や転職を考えている場合は、運用実態をしっかり把握しましょう。

求人広告特有の分かりづらい表記に注意! 待遇面は入社前にしっかり確認すべし

固定残業代以外にも分かりづらい表記や見逃しがちなポイントを紹介します。
■給与体系
求人広告に記載されている「給与例」はあくまで一例。基本給や年俸、手当、賞与(ボーナス)の内訳などをしっかり確認しましょう。中には手当を除くと著しく基本給が低かった、というケースもあります。また、先入観で「賞与は年2回支給されるもの」と思っていたら、求人広告には年1回支給と記載されていた……ということも。試用期間中は雇用条件が変わることも珍しくないため、求人広告に記載がない場合は面接で直接確認することが重要です。
■勤務時間・休日休暇
勤務時間や休日休暇は業界や企業によって大きく異なります。転職時は思い込みによる誤解がないよう、シフト制なのか、固定制なのかなどを確認しておきましょう。また求人広告には「事業場外みなし労働時間制」や「裁量労働制」など見慣れない表記も多くあります。これらのメリット・デメリットを踏まえ、自分に合った働き方を選択することも大切です。
また、求人広告の分かりづらい表記として代表的なものの1つが「週休2日制」です。毎週かならず2日休みがある「完全週休2日制」と混同されやすいですが、1カ月のうち1回でも週2日の休みがあれば「週休2日制」です。また事前に年間休日数をチェックすることで「入社したら思ったよりも休みが少なかった」という事態を避けることもできます。
■雇用形態
正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトなど、雇用形態によって雇用契約の期間や待遇が異なります。それぞれの特徴を理解し、その企業ではどのような働き方ができるかを確認しましょう。
また、正社員登用制度を設けている企業の場合、一定の期間が過ぎれば正社員になれる場合もあれば試験などを行う場合もあります。どのような成果を出せれば正社員になれるのか、正社員になれないのはどのようなケースかなどを事前に確認しておきましょう。
この記事の筆者:小林 佳代子
新卒でキャリアデザインセンター入社。転職情報誌および転職サイト『type』『女の転職type』で、1000社以上の求人広告制作に携わる。2018年『女の転職type』編集長に就任。プライベートでは2児の子育て中。
(文:小林 佳代子)

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