「ゆかり」の袋、実は2か所に点字表示 2001年に開始→3年後に「横書き」の点字追加、込められた配慮とは
2025年5月16日(金)19時26分 J-CASTニュース
紫色のパッケージでおなじみの赤しそふりかけ「ゆかり」。実は袋の上部にひらがなで記載された商品名以外にも、点字で2か所に「ゆかり」と書かれている。
「ゆかり」を製造・販売する三島食品(広島県広島市)は、点字を表示したきっかけについて、「創業者の身内に障害のある方がいたこともきっかけの一つ」と明かす。さらに、点字表示のうち1か所は「横書き」になっている理由など、商品に込められた配慮を明かした。
01年に点字表示開始、04年に右サイドにも追加
点字を表示しているのは、袋の上部左側と、右サイド、「ゆかり」の「り」の文字の近くだ。三島食品の公式サイトによると、袋の上部に点字を表示したのは01年のこと。その後、「切り取ってしまうとわからなくなるとのお声」があったとして、04年から右サイドにも表記していると説明している。
三島食品には、ピリ辛たらこふりかけの「あかり」、青じそふりかけの「かおり」など多数のラインナップがあるが、他の商品については「順次検討を進めていきます」という。
「ゆかり」の袋に点字が表示されていることは、SNSでも「素晴らしい配慮」といった好意的な反応とともにたびたび投稿されている。25年5月中旬頃にもXで投稿され、注目を集めていた。
どのような経緯でパッケージに点字を表示するようになったのだろうか。三島食品の広報担当者は16日、J-CASTニュースの取材に、「当時、ユニバーサルデザインが注目されており、自社としてもできることはないかと当時の担当者が検討しました」と説明した。
さらに、「創業者の身内に障害のある方がいたこともきっかけの一つです」とも明かした。
場所の移動ではなく2か所に増やした理由は
04年に右サイドにも点字を表示した際、上部左側から移動するのではなく、2か所に増やしたのはなぜなのだろうか。
前出の担当者は、点字を表示した当初は「売り場で手に取っていただくイメージしか考えておりませんでした」といい、目の不自由な人にも店で手に取ってもらえるよう上部左側に付けたと説明した。その後、「ご家庭で使う際にまで、配慮が至っていなかった」と気づき、開封後にも点字が読み取れるよう右サイドにも表示したという。
右サイドの点字は、「ふりかける際は横向きでお使いいただくため、横書きになっております」とも明かした。
他の商品は「多くの方に認識していただける製品になった際」に検討
前出の担当者によると、現在点字を表示している商品は、「『ゆかり』20g」、「『ゆかり』大袋46g」、「『ゆかり』徳用袋70g」の3種類。公式サイトには、他の商品でも検討を進めていると記載されているが、現在の状況はどうなのだろうか。
前出の担当者は、「ゆかり」にのみ点字表示をしている理由について、
「全国のほぼすべてのスーパー様などの店頭でお取扱いいただいている製品である点と、『ゆかり』=赤しそふりかけと多くの方に認識していただいている製品であるため」
と説明。「他製品が『ゆかり』のように、多くの方に認識していただける製品になった際は、点字を表示することを考えております」とした。
目の不自由な人からの反響としては、「点字の表示を開始してからかなり年月が経っておりますので、最近反響が増えたなどはございませんが、以前からお礼のお手紙をいただいたり、SNSでの発信を拝見することはございます」と明かした。
また、視覚障害者の関係団体が発行する冊子や記事などで紹介を希望する問い合わせがあるほか、目の不自由な人ではないが、小学生から夏休みの自由研究に取り上げたいとする問い合わせもあるという。