エーゲ海の「映える島」市長、クルーズ船観光客を1日8000人に制限…オーバーツーリズム対策
2025年5月26日(月)5時0分 読売新聞
ギリシャの人気観光地、サントリーニ島のニコス・ゾルゾス市長(65)が読売新聞の取材に応じた。夏場に観光客の過度な集中を防ぐため、クルーズ船で来島する観光客数を1日8000人に制限する規制を導入したことを明らかにした。
サントリーニ島は、エーゲ海に面した断崖に白壁の家が立ち並ぶ絶景で知られる。この風景が「インスタ映え」するとして注目され、近年、日本を含め世界から観光客が急増している。2024年には1日あたり最大約1万5000人がクルーズ船で来島し、交通渋滞や騒音などオーバーツーリズムが課題となっている。
新たに導入した規制は、サントリーニ島観光がピークを迎える6〜9月の混雑緩和が狙いだ。島の経済は観光業で成り立つため、観光客数の制限には島民から反対もあった。だが、1日あたりの観光客数の上限を設けることで、クルーズ船の来航は年間を通じて分散する見込みといい、通年での観光客数は前年に比べて落ち込まないという。ゾルゾス氏は「観光客がより良い時間を過ごし、持続可能な観光のために理解が得られた」と述べた。
サントーリ島では、島外から投資が舞い込み、ホテルや宿泊用短期アパートの建設が相次いでいることも問題になっている。ゾルゾス氏は「島の景色は大きく変わりつつあり、島を『都市』にしたくない。新たな宿泊施設を求めない」と述べ、ギリシャ政府に建設を認めないよう要請していることも明らかにした。
取材に応じたサントリーニ市議会のジョルジア・ノミク議長(45)は「島にとって観光客は欠かせない存在だが、観光客がゆったりとした島の魅力をより味わってもらうためにも、これ以上の発展を求めていない」と話した。
一方、ゾルゾス氏は日本人観光客に向けては、「多くの日本人が『フォトウェディング』などで島を訪れ、地元の暮らしを尊重してくれ感謝している。島にある二つの古代遺跡など歴史や文化を知り、ゆっくりと滞在してほしい」と話した。