「結婚相談所の男性は私には釣り合わない」という慶大卒・商社勤めの39歳女性に婚活のプロがかけた言葉

2025年5月31日(土)8時15分 プレジデント社

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Jajah-sireenut

学歴の高い女性は、婚活で不利なのか。アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラーの伊藤友美さんは「自分より学歴や収入が高い女性を避ける男性もいるが、むしろ、昨今の婚活市場では、経済的にも精神的にも自立しているパートナーを求める人が男女ともに多い。アラフォー・アラフィフ世代ならなおさらだ」という——。

■「婚活沼」にハマりやすい女性の共通点


婚活沼とは結婚すると決断しないままずるずると婚活し続け、異性との間に起こる現実に一喜一憂する状況を指す。

婚活沼にハマってしまう理由は、人によってさまざま。


婚活中のアラフォー・アラフィフ女性の中には、高い学歴やキャリアを持つ女性も多い。今回は、「高学歴の自分に釣り合う結婚相手が見つからない」と悩む女性のケースを紹介する。


■結婚相談所の男性は「自分には釣り合わない」


K子さんは、商社に勤務する39歳。華奢でショートカットが似合う、涼しげな美しさを持つ女性だ。「40歳を前に本格的に婚活を始めることにした」とのことで、結婚相談所を訪れた。


実は、K子さんは30歳になったときにも一度、結婚相談所に登録して婚活をしたことがあるという。当時のことを聞くと「結婚相談所に登録している男性は自分には釣り合わない人ばかりでした。私は慶應大学卒なのですが、私が慶應を出ていると知ると、男の人は引け目を感じてしまうみたいでした。男性って、多かれ少なかれ学歴コンプレックスを持っていますよね」と語るK子さん。


果たしてそうだろうか。


写真=iStock.com/Jajah-sireenut
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Jajah-sireenut

2度目の婚活では、K子さんはいくつかの婚活アプリにも登録していた。


「メッセージのやりとりをしている男性の中に、気になる人がいる」という。アプリにはいろいろな人が登録しているため、あきらかにひやかしの人や、容姿のことにばかり触れてくるような人も多いが、彼とは「まともに会話が成立する」のだそうだ。


その相手から「一度、会いませんか」と誘われているが、K子さんは躊躇している。理由は、彼の学歴だ。3歳下の彼は、医療系の専門学校を卒業している。現在は医療機関で仕事をしていて、年収は600万円とのこと。


「専門学校卒で年収600万円なんて、すごいと思います」とK子さんは言うが、「でも、もし私が出た大学名を知ったら、相手は気後れしますよね」と付け加えた。


■アラフォー・アラフィフ婚活市場で求められる女性の共通点


K子さんの発言のはしばしから感じられたのが、無意識な男性への見下しだ。「私が慶應を出ていると知ったら、男性は気後れしてしまうのでは」などと、相手を気遣っているようで下に見ている。「男性には多かれ少なかれ、学歴コンプレックスがある」という決めつけも、偏見でしかない。


大学に入学したばかりならまだしも、大学を卒業して20年以上もたっているのにいまだに学歴にとらわれている人はむしろ少数派だろう。仕事に打ち込んできた人や結果を出している人ほど、学歴など気にしていない。


もちろん、中には自分より学歴や収入が高い女性を避ける男性もいるが、そういう人は最初からK子さんには近づいてこないはず。むしろ、昨今の婚活市場では、経済的にも精神的にも自立しているパートナーを求める人が男女ともに多い。アラフォー・アラフィフ世代ならなおさらだ。


■婚活のプロが伝授した2つのこと


何度か話をする中で、「見下していたつもりはないけれど……、確かに、自分よりランクの低い大学を出た人をどこかで下に見ていたかもしれません」とK子さんは語った。言葉にしなくても、相手が自分を下に見ていることは伝わるものだ。これまでの婚活がうまくいかなかったのは、相手に「引け目」や「気後れ」があったせいではなく、K子さんが相手を見下していることが伝わっていたせいだろう。


そんなK子さんに、私が勧めたのは「ひっそり謝罪ワーク」だ。やり方は簡単で、心の中で、これまで見下してきた人に「これまで見下してきて、ごめんなさい」と謝罪するだけ。


3週間くらい謝罪を続けることで、自分の心に絡みついていた鎖のようなプライドや虚栄心が徐々にほどけていくのを感じられるはずだ。自分でも気づかないうちに表情が変わって、周りの人との関係が変化していく婚活女性をこれまで数多く見てきた。


その次に、K子さんに勧めたのが「理想の人リスト」を作ることだ。婚活を始める前に、「どんな人と出会いたいのか」をイメージして言語化することは欠かせない。


伊藤さん提供
「理想の人」リストの一例 - 伊藤さん提供

ところが、K子さんはなかなか「理想の人リスト」を作ることができなかった。理由を尋ねると、「だってあれこれ条件をつけたら、出会いのチャンスが狭まりますよね」と言う。


これは、大きな誤解だ。婚活をしていると、「その年でぜいたくを言っていたら相手は見つからない」などと言われることがあるが、そんなことは決してない。


出会いの母数を増やせば、結婚できるというものではない。この世界のどこかにいるたった1人のパートナーと出会えばいい。だからこそ、そんな人を少しでも早く見つけるには、「自分がどんな人と出会いたいか」というイメージをできるだけ具体的に描くことが重要になるのだ。


■「理想の人が自分を選ぶとは思えない」


大学受験で望む結果を得たのに、K子さんは自己評価の低い女性だった。「条件をつけたらチャンスが狭まる」という考え方には、自分への自信のなさが表れている。そもそも、自分を正当に評価している人なら、学歴などで人を見下すことはない。


話を聞くうちに、K子さんには母親へのコンプレックスがあることがわかった。K子さんの母親は明るくコミュニケーション能力が高く、仕事でもプライベートでも、いつも輪の中心にいるような女性だという。


「母のようになりたいとずっと思ってきたけれど、私は友達も少ないし……」とK子さんは、それまで言葉にしなかった本音を私に打ち明けた。「恋愛も長続きしないし、仕事でもそれほど評価されているわけではないんです」と。


「だから、もし理想の人がいたとしても、その人が私を選んでくれるとは思えません」


■今「あるもの」を書き出してみる


そこでK子さんには、「理想の人リスト」を作る前に、さらに簡単なワークをやってもらうことにした。それは、「あるものを数えるワーク」だ。紙やノートに「自分が今持っているもの、自分に今あるもの」を思いつくままに書いていく。スマホのメモでもかまわない。


K子さんは、自分に今「あるもの」を挙げていった。


・努力して、慶應大学を卒業した。
・安定した仕事がある。
・健康で、どんなに食べても太りにくい。
・両親も健康で、快適に暮らせる実家がある。など……


書いたものをじっくり見るとK子さんは言った。


「私はすごく恵まれていますね」


K子さんは自分がすでに手にしている幸せに気がついたようだ。


「あるものを数えるワーク」は一見地味な作業だが、感謝の気持ちに満たされ、同時に「自分は大丈夫」という安心感を得ることができる。「自分は大丈夫、自分は幸せな結婚ができる」と自分自身が信じられることが、婚活に必要なマインドなのだ。


■職場の人間関係がよくなり、雑談が楽しくなった


こうしてK子さんは、ようやく「理想の人リスト」にも着手した。「学歴」をリストに入れるかどうか迷ったが、結局入れないことに。K子さんが学歴にこだわっていたのは、「いい大学に入りたくて、一生懸命努力した自分」に誇りを持っているからだという。そのことに気づいたK子さんは、リストにこう書いた。


「大学受験や資格取得など、目標に向かって一生懸命努力してきた人、努力している人」


その次に会った際、すでに大きな環境の変化を感じているとK子さんは語ってくれた。


「職場での人間関係がよくなったんです。いろんな人と話が弾むようになって、雑談が楽しくなりました」


写真=iStock.com/Wasan Tita
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Wasan Tita

自分のマインドが変わると、周囲の人の反応が変わる。K子さんは、婚活のスタート地点に立ったところだ。


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伊藤 友美(いとう・ともみ)
アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラー
約9年間の婚活中には、条件を下げたり、妥協を重ねることで「婚活ウツ」を発症。そこから研究を重ね、数々のワークを生み出し、実践。39歳から再開した婚活では、出会いから2カ月でプロポーズに至るスピード婚を果たす。自身の経験を通じて構築した〈最短最速で理想通りの男性と結婚する方法〉を伝える「3ヶ月で全員婚活卒業!婚活塾」は全国から参加の受講生で毎回即満席となる。受講生の成婚年齢は40代が一番多く、平均44歳。50代の成婚者も少なくない。結婚相談所Lulu Spacesの代表も務める。近著は『結局、理想を下げないひとが選ばれる』(フォレスト出版)。1970年生まれ。
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(アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラー 伊藤 友美)

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