創業60周年。感謝と挑戦を胸に、持続可能な街づくりへの取り組み。地域の住民、事業者、自治体が主体になった街づくり。Up DATE Cityふくしまから始まる地方創生プラットフォーム2

2023年11月3日(金)11時30分 PR TIMES STORY

“住まいの器”だけでなく“住まい手の心豊かな暮らし”を商品開発で実現する、という創業当時の松下幸之助社主の家づくりに対する想いは、そのまま街づくりにも引き継がれました。そこに暮らす人たちの健康、快適・利便性、豊かなコミュニティを実現し、その街で生活することの誇りであるシビックプライドを醸成するトータルな提案は、現在の街づくりにおいてさらに磨き上げられています。

「街づくり」編全5回のうち2回目は、「ふらっとこられる”ほどよい田舎”を感じる街」を標榜する福島県伊達市で始まった、地方創生型の新しい街づくりを取り上げます。

未来志向の街づくりのモデルに位置付けられる

10月29日に実施された街びらきの様子

福島駅から2両編成の阿武隈急行線に15分ほど揺られ、伊達市に入ってすぐの高子駅を降りると、シャープにデザインされた官民連携交流施設の建物が目に入ってきます。その向こうには真新しい住宅がぽつぽつと建っている様子も見え、今まさに始まろうとしている「Up DATE Cityふくしま」の街づくりの胎動が伝わってくるようです。「見渡す限り田んぼと畑が広がっていた土地にこんなにきれいな街ができるとは」。以前のこの地域を知る関係者は口を揃えてそう話します。2023年10月29日に街びらきが行われた「Up DATE Cityふくしま」。14.1haの敷地に計214戸の戸建住宅のほか交流施設、商業施設などが整備され、2025年春には「認定こども園」も開園し、「暮らしを便利で豊かにする」仕組みづくりが着実に進んでいます。

伊達市は全国の地方都市と同様、超高齢化、人口減少といった課題に直面しています。その伊達市の高子駅北地区でパナソニック ホームズが一帯の用地購入を前提に、伊達市を含むパートナーと共に事業化検討を開始したのは2016年のこと。土地区画整理事業として整備された住宅地を土地区画整理組合(従前の農地等の所有者)が所有する土地をまとめて買い取り、住宅を販売する従来型の分譲事業を想定していました。ただ総分譲戸数214戸という大型分譲を事業化に導く壁は高く、計画は頓挫しかけます。

転機は2020年に訪れます。パナソニック、トヨタ自動車、三井物産を株主とするプライム ライフ テクノロジーズ株式会社が、傘下となった住宅会社3社(パナソニック ホームズ、トヨタホーム、ミサワホーム)の強みを生かした未来志向の街づくりを掲げ、郊外型街づくりの舞台としてこの本事業に白羽の矢が立ったのです。

急な方針転換に加え、数日後には伊達市長に街づくりのプランを提示するよう上司から指示され、当地の開発を担当していたパナソニック ホームズの伊達プロジェクト プロジェクトマネージャーの熊谷 一義は戸惑いを隠せませんでした。それまでにも神奈川県藤沢市におけるFujisawa SST(サステナブル・スマートタウン)や宮城県仙台市の泉パークタウン朝日の街づくりで事業推進を担当した経験を生かし、従来の都市部におけるスマートシティのプランを踏襲した企画案を提示。市長から「ぜひ、やりましょう」と同意を得ます。

熊谷 一義

都市部でのスマートシティの中身と手法をそのまま地方でもできるものなのか。熊谷は難しいことを承知で前進します。最大の課題は資金でした。都市部のプロジェクトでは、大手企業を中心とする事業者でつくる街づくり会社が出し合った資金を街づくりの機能・サービス提供に充てることができました。ところが大手企業の少ない地方でそうした資金を集めることは不可能です。一方で熊谷は、資金ありきの運営はそれが底をついた時にサービス提供を断念するリスクがあり、持続可能ではないという弱点も把握していました。そこでお金に頼らない運営手法を模索します。

コンセプトと想いで事業者を巻き込む

資金に頼れないのなら、プランに対する共感で引き寄せるしかありません。まずは、街全体のコンセプトを、地域が抱える課題を解決し、持続可能な街へと更新し続ける想いを込め「Up DATE City(アップデートシティ)」と定めました。そして、伊達市が推進する「生涯活躍のまち(日本版CCRC=高齢者向け終身介護コミュニティ)構想」もふまえ、生きがいと活躍の機会を高め多世代交流を活発化させることで、「健幸と生涯活躍のまち」「想像を超えたくらし」の提供を目指すことを掲げました。

そのうえで、街づくりを推進する母体となる協議会へ事業者の参画を募りました。「当社はお金を出しません。皆さんも手弁当でお願いします。その代わり、この街をUp DATE Cityふくしまで実践するウェルネス、モビリティ、エネルギー、エコロジー、セーフティ、コミュニティ、コンシェルジュの7つの機能の実証検証の場として自由に使ってください」。熊谷はそう呼びかけ、100社以上の事業者のもとへ日参しました。そして、2021年10月、33 の企業・団体とともに「Up DATE City協議会」の設立にこぎつけます。

参画企業のうち、エナジーカンパニーの若松ガスは、強靭な地域づくりを実現するための新規事業としてカーシェアサービス事業を始めることとし、Up DATE Cityふくしまで試行しています。買い物支援サービスを手がけるベンチャー企業のコンプラスは参画事業者のHubbitとともに、スマホが使えない高齢者向けに、買いたい商品を電話で聞き、遠隔でタブレットを操作することで“御用聞き”の手間を省いたサービスを開発し、街に取り入れています。

また、東北電力グループは、新たに開始した初期費用ゼロ円で太陽光発電システムのサービスを各住戸の太陽光発電導入の選択肢の一つとして提供しています。東北電力の小林 瑠美さんは「当社は、中長期ビジョンにおけるありたい姿として、東北発の新たな時代のスマート社会の実現に貢献し、社会の持続的発展とともに成長するグループ、を掲げています。そのためには地方が共通して抱える課題だけでなく、地域独自の課題にも目を向ける必要があります。協議会の場に参加することでさまざまな事業者と情報交換し現状を知ることで、エネルギーに関わる新たなサービスを創出していきたい」と語ります。

事業者をコンセプトと想いで巻き込み、参画事業者の数は現在56にまで増えています。また、2023年10月時点で、7つの機能のなかで掲げた45のサービス・取り組みのうち33のサービス・取り組みをすでに街に実装しています。

左:東北電力株式会社 小林 瑠美さん

右:株式会社創作家 代表取締役 小賀坂 久志さん

地域を知る地元事業者に住宅開発をゆだねる

Up DATE Cityふくしまでは、もう一つ、従来のパナソニック ホームズの街づくりでは考えられなかった事業手法が導入されました。それは、街づくりにおけるデベロッパーの収益源である住宅建設事業を手放し、地元の建設業者、工務店にそれを委ねたことです。その狙いについて熊谷は「地域に精通し、地域の特性に合った住まいづくりのノウハウを持った事業者さんにお任せしたほうが、結局は購入するお客様にとってもメリットが大きいだろうと判断しました」と語ります。

パナソニック ホームズが整備した214区画すべてを、地元の建設業者、工務店に売却することにしました。ただ、各事業者にとっては購入費用の支払いが一度にかさむため、負担を緩和するためのスキームも考案。住まいを購入されるお客様から入金があった時点で支払えばよいこととし、3年後までに全額を払うという期限を設けました。そして15の事業者がプロジェクトに名乗りを挙げます。

その1つ、伊達市に本社を置く工務店、創作家社長の小賀坂 久志さんは、当地で家づくりを手がけてきたからこそ知ることのできる地域特性として盆地特有の風の強さを挙げます。そこで、Up DATE Cityふくしまで建てる住宅については、防風、防塵を目的としたシャッター付きのガレージ・住宅を標準仕様としました。また、自社の想いを取り入れた住宅を提供したいと考え、可変型平屋を提案しています。「子ども部屋が必要なのは、お子さんが小学生から高校生まで。それ以外は夫婦2人の生活になります。ライフステージに合わせて間取りを変えられるようにするためには平屋がふさわしいのです」。そのようにして持続可能な街づくりを住まいの面からも体現しています。

モデルルーム内のリビングダイニング。IHとガス併用コンロ等さまざまな工夫と提案が込められている

住民と地域の事業者が主体となる街づくり

街のタウンマネジメント・サービスを担うのは街づくり会社「プレイスメイキングふくしま伊達」です。地域で幅広い人脈を持つ、建設会社副社長を務めている渡邊 浩二さん(現プレイスメイキングふくしま伊達 代表取締役社長)が中心となり、だて青年会議所OB であり、地域で様々なイベントを仕掛けてきた大石洋介さんに監査役として就任してもらったほか、地域の建設会社や商店街の有力者で固めました。そこに、街づくり運営ノウハウを持つプロであるプレイスメイキング研究所の温井 達也さんも役員として迎え入れています。

街づくり会社の拠点となるCCAC施設

同社は伊達市から地域再生推進法人の認定を受けました。これに伴い、伊達市の移住・定住サポートサービス等の業務の委託を受けています。また、Up DATE Cityふくしまの管理、運営業務、さらに地域の方々へワンストップでサービスを提供するなどし、街づくり会社に常駐する2人の社員の人件費を捻出しています。街づくり会社としての業務は2023年10月29日からスタート。Up DATE Cityふくしま内にできた官民連携 CCAC 施設(交流施設、お試し居住施設)などの整備・運営、地域振興事業(高子地域の賑わい創出や多世代交流プログラム等)、関係人口・移住定住促進等業務を軸にサービスを提供しています。ゴミステーションの清掃や植栽管理などのサービスはUp DATE Cityふくしま全214戸の半数が埋まった時点からスタートする予定です。

移住希望者向けのお試し居住施設

プレイスメイキングふくしま伊達の阿部 真吾さんはCCAC施設「U−プレイス伊達」の役割について「U−には、あなた(YOU)の居場所、そして誰もがというユニバーサルの意味も込めており、自分らしくいられる居場所づくりを目指しています。健康相談を定期的に実施するほかヨガ教室なども開き、ここで暮らす住民の方々の健康意識の向上に努めるほか、地域のにぎわいの仕掛けづくりとして、毎月第3日曜日に高子ハロハロマーケットを開催しています。近隣にある畑を利用した農業体験、桃の木のオーナー制度などで住民の皆様に対しての価値を提供し続けていきたい」と語ります。

左:伊達市 未来政策部 係長 中村 謙太郎さん

右: プレイスメイキングふくしま伊達 阿部 真吾さん(株式会社たじまや 代表取締役)

伊達市の中村 謙太郎さんは「人口減少・少子高齢化に伴い多様化する地域課題に対応するためには行政だけでなく、地域の様々な企業や団体が力を合わせて解決に取り組む仕組みづくりが欠かせません。本プロジェクトの取り組みは官民協働による新しいまちづくりであり、地方創生へのチャレンジと考えています。そして、高齢者の単身世帯や共働き世帯などが増え、家族のなかでの支え合いが難しくなっているなかで、地域住民の皆様にワンストップでサービスを提供する街づくり会社の存在は次世代にまで続く循環型の街づくりのモデルになると考えています」とUp DATE Cityふくしまへの期待を語ります。

パナソニック ホームズではこうした官民連携の街づくりを側面から支える役割を担います。パナソニック ホームズ伊達プロジェクトサブマネージャーでプレイスメイキングふくしま伊達アドバイザーを務める浜秋 翔は「地元の事業者の皆様に主体的に運営していただくことで、この場所で住民の皆様の豊かな生活を実現するためのサービスを提供し続けていくという意思が明確に伝わります。当社も側面からサポートすることで街づくりをしっかりと見届けていきたい」と語ります。

浜秋 翔

若い世代のアイデアを街づくりに生かす

Up DATE Cityふくしまの認知を広げるためのイベントや住民のネットワークづくりを促すイベントでは、柔軟な発想を持ち地域で活躍する外部の若い世代のアイデアを積極的に取り入れていることもこの街づくりの特徴です。

福島市内でカフェやシェアハウスの複合施設を経営するPloion社長の齋藤 友希さんは、2023年5月に2回目となるコーヒーフェスティバル"THE COFFEE'S "をプロデュースしていています。お店が街をつくると考える齋藤さんが、今回イベントのコンセプトとして掲げたのが"穏やかさ"。「ここに暮らすだろう人々が穏やかな時間を大切にしながら、心満たされる街になっていくだろうとイメージして、イベント名は"満穏(みおん)"と名付けました。」イベントでは、穏やかさをイメージさせる飲食店や子供服店などに声をかけ、出店者をセレクトしました。「出店者が醸し出す雰囲気に共感し、あのお店に行ってみたい、こんなお店が街にあったらいいな、この街に住みたいと来場者に思ってもらえたらと考えています。また、街をつくる側にとっても、実際に住宅販売のターゲットしている属性の人達のニーズを掴むきっかけになるのでは。」と話します。

左:Ploion株式会社 CEO 齋藤 友希さん

右:建築家 アサノ コウタさん

福島学院大学情報ビジネス学部情報ビジネス学科非常勤講師で建築家のアサノ コウタさんは、大学生のアイデアを地域課題の解決に生かす地域連携プロジェクトでUp DATE Cityふくしまと関わり、街づくりの拠点となる事務所の内装デザインを手がけたほか、高子ハロハロマーケットに学生が作ったオリジナルの組み立て式屋台を活用して参加しています。「街ができつつある段階から関わっています。当初は地域外から来られる方ばかりでしたが、最近はUp DATE Cityふくしまの住民の方々が増え、常連になってくださっており、住民同士の関わりが密になってきている変化を感じています。こうした取り組みを継続し、関わり合う人たちのコミュニケーションが濃密になっていくことで、Up DATE Cityふくしまならではの街の文化が生み出されていくことを期待しています」

住む人にとっては地方に住みながら都市部と変わらないタウンマネジメント・サービスを享受でき、事業者にとっては環境が整った大規模な街づくりに携わることができ、行政は新たな人口を呼び込むことができるUp DATE Cityふくしま。パナソニック ホームズは大規模な宅地開発とタウンプランナーの役割に徹して街づくりを支えます。「スマートフォンに例えるなら、本体そのものを売るのではなく、本体を動かすOSとアプリの開発を担うことでユーザーである住民と事業者、行政が関わり、豊かな生活、事業、住民サービスを支える地方創生プラットフォームを形作ることができたと自負しています」と熊谷。パナソニック ホームズはこのプラットフォームを地方創生のモデルとして全国に展開をしていこうとしています。

関連リンク先 (文中でのご紹介順):

Up DATE City Fukushima SORACHIE https://udc-kodate.jp/

株式会社創作家 https://sousakuya.jp/

株式会社プレイスメイキング研究所 https://www.placemaking.jp/

若松ガス株式会社 https://wakagas.co.jp/

東北電力株式会社 https://www.tohoku-epco.co.jp/

株式会社プレイスメイキングふくしま伊達 https://www.pm-fukushima-date.jp/

福島県伊達市 https://www.city.fukushima-date.lg.jp/

Ploion株式会社 インスタグラム ploion_logbookvase_fukushima

アサノコウタ http://www.bhis.jp/top.html

▶”持続可能な街づくり” 第1号

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次号は、海外における街づくりをご紹介します。(11月10日公開予定)

◎パナソニック ホームズ株式会社について

パナソニック ホームズ 創業60周年特設サイト:https://homes.panasonic.com/60th/

商品ページ:https://homes.panasonic.com/

企業情報ページ:https://homes.panasonic.com/company/

公式Twitter:https://twitter.com/panasonic_homes


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