日本経営協会が関西の経営後継者を育成するために開塾し、34期を迎えた『経営哲学伝承塾』ストーリー

2023年12月4日(月)14時0分 PR TIMES STORY

一般社団法人日本経営協会は、昭和24(1949)年に「日本事務能率協会」として創立いたしました。「日本の事務能率の向上」を目的に発足し、その後「経営およびオフィス・マネジメント」を事業の根幹として70年以上にわたり日本の発展に寄与してまいりました。

「マネジメントの父」としても知られるP・F・ドラッカー教授を日本に招聘するなど、経営に関するさまざまな事業を展開するなか、平成2(1990)年に「実践 経営哲学伝承塾」を開塾いたしました。

このストーリーでは当塾に込められた想いや志を、過去の資料と塾識(当塾のコーディネーター)へのインタビューを通してお伝えいたします。

経営哲学伝承塾は2023年で34期を迎えました。

当塾は、次代の経営幹部やリーダーを目指す、これからの経営を担う方々に”経営のこころ”を伝承することを目的としております。

塾生の募集は年に1回。10回前後の例会を実施し、討議と交流を深めます。

「関西の経営後継者を育てる」

当会は現在、東京、大阪、名古屋、福岡、札幌の5か所、全国の主要都市に拠点を構えております。各拠点は地域の本部として機能し、地域ごとのビジネスの特性に合わせた事業を展開しております。

経営哲学伝承塾は、関西本部の事業として平成2年に開塾いたしました。

平成元年の秋、関西本部長の一言から始まりました。

「昭和から平成に移ったこの機を逃さず、激動の昭和を切り拓いてこられた偉大な先達経営者の経営のこころに直接触れ、未来へ繋いでいくための塾を開いてはどうか?」

これを受けた課長はさっそく企画書をまとめ、塾長の交渉へと向かいます。

人選は慎重を期しました。経営経験が豊富であることはもちろん、当塾の意義と本会の使命にご理解をいただける方でなければなりません。

熟慮の末、伊藤恭一氏(東洋紡績・相談役)へご相談することにいたしました。伊藤氏は、呉羽紡績の社長、東洋紡績の副社長、会長など有名な実業家であり、30年以上に渡り、評議員、理事、副会長と本会の事業にも多大なご協力をいただいておりました。

企画を説明すると伊藤氏は賛同してくださり、塾長就任にも快諾いただけました。

伊藤氏は開塾にあたって以下のように寄せています。

第1期生募集案内より

『これからの企業経営を支えていかなければならない経営者は、適切な判断、行動を迫られるのはもとより、多くの複雑な経営責任がその双肩に重くのしかかってきております。それだけに、経営に対する己の哲学と信念がより一層重要になってきていると言えましょう。このような命題に対する研鑽は、まさに絶ゆまぬ自己との戦いであると思えます。そのためには、幾多の問題に直面して、それを乗り越えてこられた先達の「経営道」にふれ、その普遍的経営の心を学ぶことによって、自らの経営哲学を築き上げていくことが必要であると考えます。』(平成2年 第1期 開塾にあたって 塾長のごあいさつより抜粋)

第1期の塾師(当塾の講師)は新井 正明 氏(住友生命保険・名誉課長)、牧 冬彦 氏(神戸製鋼所・相談役)、作道 洋太郎 氏(大阪大学・名誉教授)、廣 慶太郎 氏(久保田鉄工・相談役)、村井 勉 氏(西日本旅客鉄道・取締役会長)、能村 龍太郎 氏(太陽工業・代表取締役会長)、塚本 幸一 氏(ワコール・代表取締役会長)※登壇順、当時の役職 という一流の経営者が集まり、参加者はすぐに20名を超えました。

当時は奇しくもバブル崩壊直前という日本経済にとって大きな転換期でしたが、こうして開塾した経営哲学伝承塾は、さまざまな社会情勢の変動にさらされながらも、休止することなく現在まで続いていきます。

これまでの卒業生は500名を超え、企業や経済界のトップを数多く輩出いたしました。OB会も組織されるなど、次世代経営者としてのネットワーク形成の場にもなっています。

塾識 宮本 又郎 氏に聞く

第3期より30年間、塾識(当塾のコーディネーター)として指導をいただいている宮本 又郎 氏(大阪大学・名誉教授・経済学博士)にお聞きしました。

開塾当時のことについて

 宮本:私は第3期、平成4年からの塾識ですが、1期から指導されている神戸大学の米花 稔 先生とご一緒させていただきました。開塾当時はバブル期でもあり、企業不祥事が増えた時期でした。企業倫理の再構築が必要だというお話をしたのを記憶しています。

当塾とはどのようなものでしょうか

 宮本:まず私自身も非常に勉強になりました。関西の有名な企業家、経営者と直接お会いし、直に話を聞くことができました。有名な経営者から直接、経験談を聞ける機会を得ることは、受講生にとっても大変価値のあることです。

ただ話を聞くだけではないというのもこの塾の良いところですね。講演を聞くだけではなくグループ討議の時間があります。これがとてもいいと受講生からも好評です。

通常例会の様子

受講生の多くは経営幹部候補なのですが、会社からの命令で来ているという方がほとんどです。同世代で異業種の幹部候補同士が交流できる場という役割も果たしています。

通常の例会は17:00には終わるんですが、受講生の間でのアフター5も多く行われています。人脈形成に役立っているということですね。

30年間で感じる変化はありますか?

 宮本:まず変わったことは私自身が歳をとりましたね。昔は私よりも年上の受講生ばかりでした。今では子どもとまでは言いませんが、年齢差がだいぶ開きました(笑)

受講生の雰囲気はそこまで大きく変わっていない気はします。でも長年の指導のなかで一度だけ怒ったことがあります。講義のあと質問が全くでなかったんです。怒りましたね。「講師の方に失礼だ。何か感じるところがあるはずだろう!」って。受講生はみなさん会社では部長、役員クラスの方々ばかりなんですけどね。OB会などでお会いすると未だにそのときのことを言われます。怒られたのは覚えているものなんですね。

塾の進め方は少し変わりました。講演後のディスカッションは、かつては講演の内容について討議する形式をとっていましたが、最近は自分事に置き換えてお話しいただく形式をとっています。「皆さんなら、皆さんの会社ならどうですか。どうしますか」といった具合です。

当塾の特徴的なところは何でしょうか?

 宮本:毎期1回、視察旅行に行きます。視察先は、必ずその会社のトップの方にお話をいただけるということを条件にしています。元気な中小企業が多くなります。受講生はだいたいは大企業の部長クラスなんですが、中小企業の社長のお話はまた違ったお話になります。中小企業の創業者の方々はものすごい熱意があり、感銘を受ける方が多いですね。異業種の工場見学という点もあまり機会が無いということで、こちらも貴重な体験になっているようです。

2023年特別例会の様子 視察先:株式会社インテリックス(和歌山)

当塾は関西本部の事業として成長していきましたが、その点についてどのように思われますか?

 宮本:これについては私自身、理由をはっきり聞いたわけではないのですが、事務局の方は「東京ではこの塾は難しい」「関西でしか成立しない塾」だとおっしゃいます。たしかに関西の経営者の方には伝統的に「よその会社の経営者も育てていこう」という気風がありますね。有名なところですと、三洋電機の「井植学校」がありますよね。サントリー(二代目社長)の佐治敬三さんや大和ハウス工業の石橋信夫さんといった有名な経営者が集まって、勉強会をやってました。次世代の、違う会社の経営者にアドバイスをしていました。ほかにも「商学院」「盛和塾」など有名な会がありますよね。そういった企業の垣根を超えて、次世代の経営者を育成する伝統があったのかなと思います。そういう風土があってこういう塾が成り立つのかなと。関西財界、経済界はいろんな会社がこういう会の世話役をやっていたりしていて、全体でまとまろうとするところがあるので、そういうのが背景にあるのかもしれませんね。

日本経済と経営者の今後について思われることについて

 宮本:かつてはどの会社でもトップを目指す社員の方が多くいらっしゃったと思うんですが、昨今は苦労してトップになるより自分の生活を楽しもうという若手社員が増えたと聞いています。会社の中で活躍して、会社をリードしていくんだという気概のようなものが薄れてきているということでしょうか。

さらに大企業のトップともなれば、自分の会社、業界だけではなくて、幅広い教養とか人的ネットワークを持っていなければ務まらないでしょう。そういう人を育てるためにはこういった経営塾が一助になるんじゃないかと思います。

塾識 吉村 典久 氏に聞く

第30期より新たに塾識としてご指導いただいている、吉村 典久氏(関西学院大学大学院 教授・経営学博士)にお聞きしました。

今後の経営塾の使命や期待について

 吉村:私は5年前から塾識をしておりますが、34年同じ形で継続できる講座というのもなかなかありませんよね。本当に価値があるからこそ続いているんだなあと。社長、会長になられた方にインタビューをする機会がありますが、そうした際には「一皮むけた経験てなんですか?」という質問をよくします。答えとしては「大きなプロジェクトを任された」とか、「海外の子会社の社長をやった」とか。

私はこの講座の価値のひとつに先人の経営者の「一皮むけた経験」を聞くことが出来るというのがあると思います。聞くだけではなくて、異業種の、同じような悩みを持つメンバーでディスカッションする。時間内で話しきれないことも多くあるんですが、立ち止まって考えてみる時間と場というのは大変貴重だと思います。考えるきっかけになるんです。

先人の貴重な経験を聞き、自分なりにいろいろ考える。ほかのメンバーの考えを聞いたうえで、さらに自分で考え直す。そんな思考の往復が大変重要だと思います。

今期の初回もそうでしたが、最近は必ず女性の経営者の方もお呼びしています。他にも複数の会社で経営者としての経験がある方もいらっしゃいます。新しい経営者の姿や活躍の仕方というのも学んでいただけているのではないかと思います。

おわりに

日本経営協会は2023年6月に基本理念の見直しをするとともに、新たに存在意義を掲げました。

基本理念 NOMAは、経営・人間・科学 の調和を推進することで、持続可能な社会の発展に貢献します。

存在意義 明日の日本の経営を顧客とともにInnovationし続ける。

時代は平成から令和に変わり、経営環境はより複雑な時代となりました。しかし、時代が変わろうとも「経営」「人間」「科学」は不可分であり、その中心には必ず「人間」が存在していると私たちは考えております。

経営哲学伝承塾は、経営を担う方々に先達の ”経営道” を学んでいただき、新たな時代の経営道を拓いていただくべく、これからも歩んでまいります。

実践 経営哲学伝承塾 34期 概要

会 期 2023年7月11日(火)〜 2024年3月6日(水) 全9回

会 場 大阪科学技術センタービル、大阪企業家ミュージアム ほか

定 員 20名 企業(規模は問いません)の部長級以上の経営幹部、経営首脳の方

入塾料(税込) 会員264,000円 一般319,000円

来期(35期)募集は2024年春に日本経営協会ホームページ上にて予定しております。

熱意のある次世代経営者のみなさまの入塾を心よりお待ちしております。


行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ

PR TIMES STORY

「経営」をもっと詳しく

「経営」のニュース

「経営」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ