岡山天音「今までと違う純貴くんが新鮮」 戸塚純貴「天音は似たタイプがいない役者」 10年来の友人同士が東野圭吾原作のサスペンス・エンターテインメントで共演 『ある閉ざされた雪の山荘で』【インタビュー】
2024年1月13日(土)16時4分 エンタメOVO
戸塚 天音と映像の仕事で一緒になるの、久々だよね。
岡山 この前、舞台はやりましたけどね。
戸塚 同世代の人たちと、東野圭吾さん原作のミステリーに参加できることがすごく楽しみだった。以前共演したのは20代のときだから、年を重ねてちょっと大人になって、改めてご一緒する期待感とかもあって。だから、劇中と違ってライバル的な意識とかは全くなかったな。
岡山 重岡さん以外は、ご一緒したことある人ばかりですもんね。このメンバーで集まれることはなかなかないので、その意外性と、ご一緒できるうれしさと、知っているからこその緊張感が、ないまぜになった感じでした、僕は。
ーお二人は元々親しかったそうですが、役者としてのお互いの印象は?
戸塚 初めて会ったのは10年以上前だけど、元々俺、第一印象で天音の顔が好きだったの。
岡山 「顔が好き」ってどういうことですか?(笑)。どうせなら、芝居を褒めてくださいよ(笑)。
戸塚 普通、そういうことは自分で言わない(笑)。でも本当に、天音って似たタイプがいない役者だから、すごく魅力的。もちろん、お芝居も。こんなに話が合う人も、なかなかいないし。
岡山 純貴くんは、出会った頃から地に足がついてるというか、軸がぶれない。それが不思議で。俳優としては、昔からコメディーをやれば面白かったし、そうじゃない役でも、チャーミングさがにじむ人だなと思って。「だが、情熱はある」(23)も大好きだった。
ー「だが、情熱はある」は、お笑いコンビ「オードリー」の若林正恭さんと「南海キャンディーズ」の山里亮太さんの無名時代からの半生を描いたドラマで、戸塚さんは髙橋海人さん扮(ふん)する若林さんの相方、春日俊彰さんを演じていましたね。
岡山 実在の芸人さんを演じて、ネタをあのトーンでコピーできるって、すごいなと。その裏側が想像できるので、漫才のシーンを見ていたら、ちょっと泣きそうになって。
戸塚 連絡くれたもんね。
岡山 あそこ、マジで感動しましたから。でも同時に、嫉妬もしました。
ー今回の現場でお二人は、どんなふうに過ごしていたのでしょうか。
岡山 社交的な人が多かったので、カメラが回っていないときは、みんなで仲良く話をしていました。カメラが回っているときだけ、それぞれの役を全うするような感じで。
戸塚 そうだね。いつもと変わらない。ただ、役同士はピリピリした関係だったから、その緊張感を逆に楽しみながらやっていたような気もする。
ー現場でお2人は、お互いのお芝居をどう見ていましたか。
戸塚 天音はすごい変わり者の役だったんだけど、作品の中で、ちゃんと変な空気にしてくれたなと思って。
岡山 確かに、変な空気にする担当だったから。けんか売ったりして。
戸塚 そうそう。とにかくけんかをふっかけたり、事件を駆り立てたりとか。
岡山 逆に(戸塚が演じる)雨宮は、バランサーというか、濃いカルピスを薄めてみんなが飲めるようにする水、みたいな役回りで。これまで一緒にやってきた中では、純貴くんはエッジの効いた役が多く、そういう役割の印象はあまりなかったので、すごく新鮮だった。こういうとき、純貴くんはこういう芝居をするんだな、と分かったのも面白くて。
ーミステリーということで、お芝居の難しさはありませんでしたか。
戸塚 天音はよく眉間にしわ寄せてた。頭抱えて。
岡山 確かにそうかも。ただ、全員難しいですよ、これ。
戸塚 難しいと思う。変わった動きをしても怪しまれるし、バランスを取るのがすごく…。
岡山 役者次第ですよね。その人がどのあんばいでやるかによって、全然違うトーンになっていくから。おのおののポジションで、どういるべきかっていうのを、そのシーンを撮る前日まで、サウナで話したりしていましたもんね。「ここ、どうすればいいんだろう」とか。
戸塚 話したね。
岡山 そこでお互いに「ああ、なるほど」と。「雨宮はそういう難しさがあるのか」みたいなことを知って。
ー役者の方は現場で作品や役についての話はせず、本番で芝居をぶつける方も多いと聞きますが。
岡山 この作品は、ミステリーという大きな仕掛けがあったので、その整合性を合わせるために、お互いにもやっとしている部分を、ふとしたときに、「どうなんだろう?」と話し合ったりしていたんです。
戸塚 物語が一軒家でのワンシチュエーションということで、みんな泊まり込みで撮影していたので、撮影以外で共有する時間が普通より多かったんだよね。それがよかったのかも。
ーところで、主演の重岡さんは初対面の人が多かったので、岡山さんをきっかけにみんなとコミュニケーションを取ったという話をしていましたが、座長としての重岡さんの印象は?
岡山 初日からアウェーな感じが全くなく、最初からみんなの中心になっていましたね。面識のない中に1人で主役として入ってくると、お芝居以外の部分で負荷がかかっちゃうと思うんですけど、そういう余計な荷物を背負わないように、最初からスタートダッシュ切った感じで。本当に、気が付いたらすぐそばにいて、何かと僕に面白いことを振ってくるんですよ。そんなアイドル見たことなくて。お芝居はもちろん、そういうところも含めて、「アイドル」という枠にくくれない人だなと。未知との遭遇でした(笑)。
戸塚 僕らはフラットにいられたけど、シゲ(=重岡)はそれ以上に背負っているものがあるからね。撮影現場でのい方も、本人は正解がわかっていない状態だった思うんだけど、違和感が全くなくて。
岡山 そういうところは、さすがプロでしたよね。座長としての覚悟が、その裏にはあったのかなと。
戸塚 やっぱりトップアイドルだけあって、同い年なのにすごいなと、心から尊敬したよ。
(取材・文・写真/井上健一)
『ある閉ざされた雪の山荘で』
1月12日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ