石田健氏、フジテレビ会見から考える“あるべき記者像” 視聴者の推論促す「問い」の重要性を説く
2025年2月4日(火)7時0分 オリコン
フジテレビ(C)ORICON NewS inc.
石田氏は「記者会見の質だったり、記者会見のあり方が問われるっていうのは、本来良くないことだと思うんです。石戸諭さんが、二次加害云々の話の時に一緒に声を上げてくださって。石戸さんが『記者会見自体がショーアップされることは良くない』ということを言っていて、それは本当にそうだなと思っているので、繰り返しコメントしなくちゃいけない立場にはなりましたけど、そこはなんかやっぱり出発点としては、我々は別に記者会見で目立つことがゴールではない」と指摘した。
堀潤氏が「時事問題ってなんなのかっていうのは絶対忘れちゃいけないですよね。本当は性被害が出た、性加害が行われていっている現状に対してどう是正していけばいいのかとか、どう防ぐのかっていう話が本来なのに、そういうことに関してより、なんかちょっと違う方向に、どんどんどんどん議論がいってしまった」と呼びかけた。
これを受ける形で、石田氏も「もっとみんなが工夫して問いをしてほしかったなっていうのが感想で。例えば私が『経営陣、男性ばっかりですよね?』って言った時に『いや、そうは思いません、阻害する要因ではありません』っていうことを言って、なるほどと。マネージメントの話をするときの最初に出てくる問いのようなものなのに、それを阻害するようにないということは『この人たちは、本当はこの問題に対して真剣に考えてないんだな』っていうことが推論されるわけですよね」と言葉を紡いでいった。
続けて「その推論が妥当かどうかっていうのは、視聴者の方が決めてくれればいいんですけど、その推論を促すような問いを皆さんやってくださいねっていうところはすごく思っていて。だから『本当はどうなんですか』『実際あったんですか』『はっきり言えよ』っていうことだけでは、全然真実に迫れませんよっていう」と呼びかけた。
さらに、記者として「自分の用意したストーリーに当てはめない」ことの必要性にも触れ「従来の報道とかが、かなり自分の用意したストーリーだったり、善悪の2項対立だったりとか、権力を問いただす正義の味方としての記者みたいな像をかなり強く持ちすぎてたんだと思うんです」との見解を披露。「権力を監視するんだというような考え方自体は、ひとつあると思うんですけど、本来それ以外の取材像だったりジャーナリズム像も多様にあって然るべきだと思うんです」と熱弁した。
その上で「例えば我々は『解説メディアです』みたいなことを言って、じゃあ、この概念っていうのがどういう風に、専門家の間で議論されてきたかっていうのを届けるみたいなことをメインでやったりしていますけれども。そういった権力と対峙する像としてのジャーナリズムっていう、17世紀、18世紀ぐらいですかね。それくらいから生まれてきたものを問い直していい時期に来ているんじゃないか」と話していた。