小林弘幸 上司に認められない…でもそれって大事なこと?人生は「本当に大事なこと」と「どうでもいいこと」を切り分けられるかで決まる
2024年2月27日(火)6時30分 婦人公論.jp
この機会に「本当に大事なこと」と「どうでもいいこと」を切り分けて考えてみてください(写真提供:Photo AC)
厚生労働省が2023年に発表した「労働安全衛生調査」によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により1ヵ月以上休業した労働者の割合は、1,000人以上の事業所規模で1%だそう。自律神経が乱れていると「なんとなく気分がすぐれない」と感じるようになると話すのは、順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生。さらに小林先生いわく、「年齢を重ねるのは誰にとってもストレス」だそうで——。
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「どうでもいいこと」は捨てていく
年齢を重ねるのは誰にとってもストレスです。
若い頃に比べていろいろなところにガタがきたり、体調を崩す機会も増えてくる。体力や気力が衰えたり、新しいことがなかなか覚えられないなど不便も多いでしょう。
それは純然たる事実です。私たちは着実に死に向かっていて、それだけは誰でも平等に訪れます。
ここでお伝えしたいのは「年齢を重ねるごとに、どうでもいいことはどんどん捨てていく」です。
誰にでも死は着実に訪れると同時に、どんな人にとっても今が一番若い。
何かをはじめるにしても、何かを終わりにするにしても今が好機です。
それは40歳でも、50歳でも、60歳でも、70歳でも、80歳でも同じです。
アップデートが必要
たとえば今、会社で仕事をしていて「あの人は上司に認められているけれど、自分は認められていない」と感じているとします。
そこでぜひ考えてみてほしいのです。
「上司に認められること」はあなたの人生において本当に大事なことですか。
仮にあなたが50歳だとして、60歳になった「未来のあなた」は今のあなたにどんなアドバイスを送るでしょうか。
じつは年齢に応じて「大事なこと」「どうでもいいこと」は変わります。
しかし、私たちにはその変化をあらためて考える機会がほとんどないので、何が大事なのかについて認識がアップデートされていません。
ぜひ、この機会に「本当に大事なこと」と「どうでもいいこと」を切り分けて考えてみてください。
案外「どうでもいいこと」に時間や労力を割き、「どうでもいいこと」に悩んでいるかもしれません。アップデートが必要な時期です。
「自分を活気づけるもの」を生活に取り込む
60歳を超えると年齢を意識する機会は本当に多くなります。
多くの人にとって定年退職が迫ってきますし、自分の親が亡くなるのもこの世代によくあることです。
60代に限りませんが、どんなときも「自分を活気づける」ことがとても大事です。
そもそも、あなたは「自分を活気づけるもの」が何なのか理解しているでしょうか。
たとえば、私の場合は講演をすること。その準備も含めて自分を活気づけてくれる仕事ですし、新しい勉強をするのも大好きで、自分の生活を充実させてくれます。
そのほか、ゴルフも好きですし、テレビドラマや漫画も私を活気づけてくれます。
60代に限りませんが、どんなときも「自分を活気づける」ことがとても大事です(写真提供:Photo AC)
そうやって「自分を活気づけてくれるもの」をきちんと理解していて、それを生活の中に取り込んでいく。大事な心がけです。
自分を活気づける行為は、それをしている瞬間はもちろん、その予定が入っているだけで生活に張りができ、日々のコンディションもよくなってきます。ワクワク感が増すといってもいいでしょう。
今からはじめる
もし、今の自分には「活気づけてくれるものがない」と感じるなら「これまでやれずにいたこと」を何でもいいのでぜひはじめてみてください。
こんな話をすると「今より10歳若ければ」とか「20代だったら、こんなこともしたいけれど」という人がいますが、そんなことはあり得ません。
私はいつも思うのですが、人生がやり直せるとしても、決して「今以上の人生」などありません。
もちろん私にも「やり直したい過去」はあります。でも、「やりたいこと」を今できないのであれば、何度繰り返しても同じ。そんなふうに思っています。
だったら、それを今やる。今こそはじめる。
人生を豊かにするキーワードはやはり「今からはじめる」です。それが「今以上の人生」を引き寄せるのだと私は思います。
※本稿は、『はじめる習慣』(日経BP 日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。
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