【TAAF2025】劇場アニメ『ルックバック』“締め切り間際の追い込み中” 監督欠席も感謝コメント寄せる「多くの方に届いた幸運な作品に」

2025年3月10日(月)19時42分 オリコン

『東京アニメアワードフェスティバル 2025』授賞式に出席した松村一人プロデューサー (C)ORICON NewS inc.

 国際アニメーション映画祭『東京アニメアワードフェスティバル 2025(TAAF2025)』の授賞式が10日、都内で行われ、各受賞賞が発表された。劇場アニメ『ルックバック』が、『アニメ オブ ザ イヤー』〈作品賞〉の「劇場映画部門」を受賞。さらに監督を務めた押山清高氏が〈個人賞〉の「監督・演出部門」を受賞した。

 押山氏は授賞式への出席は叶わなかったが、〈個人賞〉受賞にあたりメッセージコメントを寄せ、エイベックス・アニメーションレーベルズの松村一人プロデューサーが代読。「ルックバックは多くの方に届いたという意味で幸運な作品になりましたが、今回、作品賞とは別に個人賞をいただけたことを特別にうれしく思います。選考してくださった皆様に心より感謝を申し上げます」と伝えた。

 さらに「それだけに、本日この場に伺えなかったことが悔やまれます」と続け、「言い訳をさせていただくと、手持ちの仕事で本題の尺を発注の3倍にしてしまった上に、ルックバックの予想以上の反響が重なり、現在までに終わらず締め切り間際の追い込み中でございます。つまり自業自得です。すみません」と多忙極まる状況をユーモアを交えて説明し会場の笑いを誘った。

 作品については「監督として多くの作画を自ら担当し、商業アニメーションにおける一般的な監督の職務を大きく越境する制作方法を取ることで、その姿勢を作品とともに体現しようとしました」とし、「アニメ制作には安定、効率、再編性が求められる一方で、アニメ制作者の個としての重要性も高まっていると感じます。制作環境も大きく様変わりし、私のようなタイプの人間でもスタジオに引きこもって監督をつとめれるようになったのは幸運なことだと思っています。20年前に業界に入った当時であれば、限られたリソースの中で今回のような制作は不可能だったでしょう」とアニメ業界の変化が本作の実現を可能にしたと明かした上で、スタッフと関係者へ向けて感謝を述べた。

 さらに〈作品賞〉の授与では企画・プロデュースを務めたエイベックス・アニメーションレーベルズの大山良氏が登壇。「映画の創作に向かい合った果てしない日々をこのような形で評価してくださって、本当にうれしく思います」と喜びを表しながら、「今回の受賞を糧に、これからも丁寧に作品を届けていきたいと思っております」と語り、「このアワードに関わられた皆様に御礼を申し上げます」と重ねて感謝した。

 『ルックバック』は、『チェンソーマン』作者・藤本タツキ氏が描く同名漫画が原作で、小学4年生の藤野と不登校の同級生・京本2人の漫画を通した成長ストーリー。2人が描いた4コマ漫画が学年新聞に掲載されてから始まる青春物語で、中学生、高校生…と2人の人生を描き、ある日、すべてを打ち砕く出来事が起きる。興収20.4億円を記録している。

 東京アニメアワードフェスティバルは、2025年で12回目の開催を迎える国際アニメーション映画祭。日本国内で未興行の世界のアニメーション作品を対象にした「コンペティション部門」、日本国内で発表されたアニメーション作品を対象とした「アニメ オブ ザ イヤー部門」、アニメーション業界に貢献された方々を顕彰し、先人達の歴史、技術、生き様を伝える「アニメ功労部門」を中心に、その他招待作品の上映やシンポジウム、子ども向けのワークショップなどを実施。新たな人材の発掘・育成、アニメーション文化と産業の振興に寄与すること、及び東京の魅力を発信し、東京の観光振興に資することを目的に開催されている。

 『東京が、アニメーションのハブになる。』を合言葉に、高いクオリティとオリジナリティに富む世界中の作品を東京で上映することで、世界中のアニメーションを愛する人々との交流を図り、クリエイターや観客に刺激と感動を提供し、そしてその感動や刺激を糧にアニメーションの新たな波を東京から世界へ発信していく。

■『東京アニメアワードフェスティバル 2025』の受賞者・受賞作品

【コンペティション部門】

▼長編アニメーション
・『ボートインザガーデン(A Boat in the Garden)』(グランプリ)
・『クラリスの夢(Clarice's Dream)』(優秀賞)

▼短編アニメーション
・『一人ぽっちの洗濯(Loneliness & Laundry)』(グランプリ)
・『クマと鳥(The Bear and the Bird)』(優秀賞)

▼豊島区長賞
・『ピエトラ(Pietra)』

▼学生賞
・『ヨビとアマリ(Yobi and Amari: Story of Spares)』

▼東京都知事賞
短編・長編グランプリ作品に授与

【アニメ オブ ザ・ イヤー部門】

▼作品賞
・『葬送のフリーレン』(TVシリーズ部門)
・『ルックパック』(劇場映画部門)

▼個人賞
・原作・脚本部門:吉野弘幸(代表作:『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』脚本ほか)
・監督・演出部門:押山清高(代表作:『ルックバック』ほか)
・アニメーター部門:谷田部透湖(代表作:『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』キャラクターデザイン・総作画監督ほか)
・美術・色彩・映像部門:市岡茉衣(代表作:『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』美術監督ほか)
・音響・パフォーマンス部門:Evan Call(代表作:『葬送のフリーレン』音楽ほか)

▼アニメファン賞
・『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

【アニメ功労部門】
・岩崎正美(プロデューサー 代表作:『ムーミン』『太陽の牙ダグラム』ほか)
・吉井孝幸(プロデューサー 代表作:『クラッシャージョウ』『勇者エクスカイザー』ほか)
・友永和秀(アニメーター 代表作:『ルパン三世 カリオストロの城』『リトル・ニモほか)
・野中幸子(色彩設計 代表作:『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』ほか)
・掛須秀一(編集 代表作:『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『COWBOY BEBOP 天国の扉』ほか)
・鈴木清司(音楽監督 代表作:『ゴルゴ13』『それいけ!アンパンマン』ほか)
・堀内賢雄(声優 代表作:『機動戦士ガンダムZZ』マシュマー・セロ役ほか)

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