木野花『ブギウギ』でスズ子を見守る家政婦「大野さん」を熱演。76歳、股関節の手術後3ヵ月で舞台復帰を果たせた理由」

2024年3月17日(日)12時0分 婦人公論.jp


「今の私の体を支えてくれているのは、試行錯誤して辿り着いた朝のルーティンです」(撮影:岸隆子)

〈発売中の『婦人公論』4月号から記事を先出し!〉
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』で、主人公・福来スズ子を支える家政婦・大野晶子さんを熱演、舞台や映画、ドラマで独特の存在感を見せる木野花さん。2023年には、演出家として読売演劇大賞・優秀演出家賞も受賞しました。自他ともに認める元気印の木野さんですが、体の痛みで動くこともままならなかった時期も。乗り越え舞台復帰できた理由を語ります。
(構成=村瀬素子 撮影=岸隆子)

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<前編よりつづく>

ストレッチ、筋トレ、特製ドリンク


そうして役者として波に乗り始めた頃に、股関節の痛みを抱えることになったわけです。「一病息災」という言葉がありますが、私は変形性股関節症を患ったからこそ、自分の体力や健康を過信してはいけないと気づかされました。食事や運動など生活習慣もすいぶんと変わったんですよ。

できるだけ料理をするようになったのもこの頃から。私はそれまで自炊をすることがなかったのです。以前は頻繁に深夜まで若者たちと飲んでいたけれど、回復力の衰えを実感してからは減りました。

今の私の体を支えてくれているのは、試行錯誤して辿り着いた朝のルーティンです。まず朝起きたら、開脚や腕伸ばし、前屈などストレッチを、最低でも15分は行っています。

筋肉が柔軟になるだけじゃなく、血流がよくなって、体が活性化。脳に血が巡って頭が働き始めるのがわかります。

その後は筋トレ。一つは背筋運動です。うつぶせの状態で、ベッドの端に足を引っかけて上下運動を10回と、上体を浮かせた状態をキープして10数えるのを1セット。3回繰り返します。

もう一つは、腹筋と体幹を鍛える運動、プランク。うつぶせで足の爪先と前腕を床につき、腰を浮かせてキープします。これを1分半ほど。

これらの筋トレは股関節の手術に備えて筋肉を衰えさせないために、医師にすすめられたのがきっかけです。今では重い物を持ってもぎっくり腰にならなくなりましたし、ちょっとつまずいても体を支えられるので転びません。腹筋も少し割れてきましたよ!

そして最後に、掃除でひと汗かく。フロアワイパーで床拭きをするのですが、力を入れて一生懸命ゴシゴシ拭くのがポイント。手や足腰の筋肉を使う運動にもなるでしょう? 掃除していると頭の中がスッキリしますし、床もピカピカに。一石二鳥どころか、三鳥です。

運動後は、ヘンプパウダー(麻の実)、豆乳、甘酒、アマニ油、はちみつを混ぜた特製ドリンクで栄養補給。これを飲めば、タンパク質、カルシウム、ビタミン、鉄分など必要な栄養素を一気に摂れるんです。シナモンやきな粉をふりかけても美味しい。

仕事柄、昼や夜は外食やお弁当ですませることが多く、栄養が偏りがちになります。だから朝食はバランスよく栄養を摂って、昼や夜は何を食べても大丈夫、という状態にしておくんです。

こうして体も頭もシャキッとして、気持ちよく一日のスタートを切る。その勢いで仕事の現場に行くから、いつも元気に見えるんでしょう。

体は衰えても成長はできる


正直、60代の頃よりも70代の今のほうが若返った気がしているんです。股関節痛がなくなって歩けることも、今の元気に繫がっていますね。

今後、役者としてどんな役をやりたいとか、目標を立てることもやめました。そもそも何かを目指すから、到達できないと挫折するんです。今はただ目の前の仕事に精一杯取り組むだけ。役との出合いは縁と運です。

自分は主役の柄ではないと長年思っていましたけれど、そういう思い込みも捨てました。いただいた仕事はどんな役でもトライしてみようと今は考えています。

毎回違う役に出合うわけですから、そこには必ず学びがある。スタッフや共演者など多くの若い人と関わることで、発見や創造が共有できて、それが私の成長に繫がっていきます。学びの機会はいっぱい転がっていて、自分が望みさえすれば、死ぬまで成長できるのだと気づきました。成長するのに年齢制限はないんです。

私の場合、普段は年齢を意識することはなく、忘れています。それでつい若い役者さんと一緒になって動き回ってしまう。この間も、高くジャンプして着地した瞬間、あれ、足首が痛い。私、ジャンプに耐えられるほどの筋肉がないぞ、と気づきました。

ケガをしないためにも、時々は「76歳だよ」と自分に言い聞かせたほうが安全かもしれませんね。(笑)

婦人公論.jp

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