宮崎美子、定年退職のない仕事を選んで「すごく幸せだった」 様々な人生を味わえる醍醐味も

2025年3月29日(土)7時0分 マイナビニュース


●『介護スナックベルサイユ』で見せる優しいまなざし
東海テレビ・フジテレビ系「土ドラ特別企画」として、スペシャルドラマ『介護スナックベルサイユ』が、22日・29日(23:40〜)に2週連続で放送される。物語の舞台は、タイトルの通り「介護スナック」。一見、雰囲気のあるスナックだが、昼間はケアマネージャーや看護師として働くスタッフがそろい、点滴が“ボトルキープ”され、客の体調に合わせた料理を出すという立派な介護施設だ。
要介護の高齢客たちがこの店に足を踏み入れた途端、見違えるように元気になり、生涯に一度、一杯だけ味わえるという特製のワインを飲めば、若かりし日にやり残したことや置き忘れたものを取り戻す幻想の世界へ。そして締めには、人生を振り返って一番の思い出の料理が提供される——“介護”という現実的なワードとは相反するようなファンタジーなイベントが次々に起きるが、こうして彼らの人生の一端を垣間見ることによってどの世代にも生きる活力を与えてくれる作品になっている。
この介護スナックで、他人を信じない新入り従業員・小日向柊(尾碕真花)に向き合うママ・上杉まりえを演じるのが、宮崎美子。NHK朝ドラ『おむすび』で演じる主人公の祖母役と同様に、今作でも優しいまなざしを向ける姿が印象的だが、「人生の終わりにどうしても会いたかった人」や「人生を振り返ったときの一番の思い出の料理」というキーワードから、素敵な青春エピソードを語ってくれた——。
○大ベテラン勢との共演「大変刺激を受けました」
——なかなか珍しい設定の作品だと思うのですが、最初に物語を聞いたときの感想はいかがでしたか?
これだけ高齢者が増えていることだし、現場に来たら歩行練習用のバーもあって、車椅子がちゃんと入れるようになっているのを見て、介護スナック自体はありかもしれないなと思いました。お店に来たらすぐ血圧を測ってくれて、お酒の加減を見てくれるし、コレステロール値が高かったら料理も気を配ってくれるので、素敵な介護施設ですよね。
ただですよ? 「点滴ボトルキープ」だったり、何よりあの謎めいたワインが現実を超える設定ですよね(笑)。最初の衣装合わせで、監督がまりえさんというママがどういう人なのか説明してくださったんですけど、「地球の人じゃない説」まで出てくるぐらい、不思議な世界なんです。現実なのか夢なのか分からないというところが“ドラマ”で、面白いなと思いました。
それと今回はスタッフの1人として、「介護スナック指導」という方が入ってらっしゃるんですよ。介護とスナックの両方の指導できる方なんて珍しいですよね。すごく頼りにしています。
——大ベテランのキャストが多い現場ですが、宮崎さんのキャリアでも刺激を受ける部分はありますか?
これだけいろんなシチュエーションのお芝居を間近で見られるというのは、いち演じ手として贅沢だなと思いますし、ご覧になる皆さんもそうだと思います。大変刺激を受けました。
この作品では一度リハーサルをやったんです。今どきちゃんとリハーサルの日を作ってやるのは珍しいんですよ。1日だけでしたけど、それをやって本番の現場に来ると「なるほど」ってなるし、チームワークができていてそれがすごく楽しくなってくるんです。それぞれが役目を担ってお芝居できている感じがあって、とてもいい現場だと思います。
●もう一度会いたい「ゲンコツ」をくれた先生
——劇中では、先ほど「謎めいたワイン」と言われた「一杯を飲み干すと、人生の終わりにどうしても会いたかった人に会うことができるワイン」があります。人生の終わりはまだまだ先の宮崎さんですが、これまでの人生の中でもう一度会いたい人は、どなたですか?
難しいですねえ…。高校1年生の時の担任の先生に、ちょっと会ってみたい気がします。当時はテストの順位を発表していて、ちょっと成績が下がるとゲンコツをもらうような時代で(笑)。でも時々良い点を取った時に「先生、悪い時にゲンコツなら、良い時は頭をなでてください」って甘えたら本当になでてくれたりして、すごくいい先生だったんですよ。生物の先生で、そのおかげで生物が大好きになって、熱血で皆から慕われて、私は途中で転校したんですけど、その後も進路の相談に乗ってくれたり。もう亡くなられてしまったので、「今おかげさまでこうやって仕事をして幸せにすごしています」と、一番報告したい方かなと思いますね。
でも、会いたい人を1人に絞れる人生というのは、素敵なことかもしれないですね。一途にその人のことを思い続けて生きてきたということじゃないですか。それだけ心を砕いた人がいて、しかもこのドラマでは解決されるのがいいですよね。ただ、なかなか絞れないですよ。
——介護スナックのお客さんも、考えに考え抜いて選んでいるのかもしれませんね。
そうなの。なんなら昔の自分に会いたいというのもありますね。小一時間説教して、これからこうなるんだよって言ってあげたいです。
——いつ頃のご自身にお会いしたいですか?
中学生かなあ。「もうちょっとちゃんと勉強しなさい」とか言いたいですね(笑)
——もし中学生の自分に会えたら、同じ道を勧めますか?
分からないですね。でも、結局同じことになっていくのかな。
——もっと勉強していれば、もっといろんな選択肢があったのかもしれませんよね。
ちゃんと真面目に勉強してればね(笑)。でもね、同級生で成績のいい人たちがいっぱいいて、それぞれいろんなところに就職したんですけど、この年齢になるとみんな定年退職を迎えているんですよ。そう考えると、定年がないこの仕事に就いたのは、すごく幸せだったなと、今になって思います。
それにこの仕事は、自分じゃない人生をいっぱい味わっているので、いわばあのワインを新しい役を演じるたびに飲んでいるようなものですよね。いろんな人に会えて、いろんな自分に会えるのですから。
●新体操合宿の思い出のトースト
——劇中では、「人生を振り返ったときの一番の思い出の料理」を提供するというシーンもありますが、現時点での宮崎さんにとっての一番の思い出の料理は何ですか?
それも難しい質問ですね…(笑)。私は朝食がご飯なのですが、バターをたっぷり塗ったトーストにジャムを付けて、目玉焼きなんかもあるといいかな。小学生の頃、ある日母親が「今日から朝は紅茶とパンよ!」と言い始めたことがあって、「どうしたんだ!?」と思った思い出と、大学の頃に新体操をやっていて、同級生の女の子たちがみんな下宿していて、合宿の時になるとその下宿先に泊めてもらっていたんですが、その朝食もたっぷりバターを塗ったトーストだったんですよ。それがすごく懐かしくて美味しかったなあと思って。そんなものいつでも食べられそうなんですけど、その光景の思い出込みの味なんですよね。
——みんなでワイワイしながら。
そうそうそう(笑)。さだまさしさんの曲が流れてたなあ。誰かが好きだったんですよ。「今日の練習、大丈夫かな」とか言いながら、バリッと食べていましたね。
——素敵な思い出のお話をありがとうございます。では最後に、改めて今作の見どころをお願いします。
今みたいに、自分があのワインを飲んで誰かに会えるとしたら誰にしようかと考える、そんな時間も素敵だなと思うんです。「人生を振り返る」なんて大げさに構えるんじゃなくて、自分が何を大事にして、ちゃんと周りの人のことを大事にしてこられたのか。普段は忘れているかもしれないけど、誰かに言い忘れていることがなかったかな?と、一緒に考えてもらえるきっかけになったら、ちょっと面白い味わいになると思います。
あと、あのワインを飲む人は高齢だとしても、そこから青春が語られるわけですから、それは誰にとっても経験しているものじゃないですか。小野武彦さんが演じたのは中学校の先生から学校のいじめ問題の話が出てくるし、柊ちゃんも実際の社会で起こっているような問題を抱えているので、いろんな年齢層の方が「これは!」って感じるものを提示できるドラマじゃないかなと思います。
■『土ドラ特別企画「介護スナックベルサイユ」』(東海テレビ・フジテレビ系 3月22日・29日23:40〜)
出演:尾碕真花 宮崎美子
   笛木優子 木村了 杏花 高山広 片岡信和 清田みくり 吉原怜那(ダウ90000)
   / 田島令子 夏樹陽子 草村礼子 小野武彦
   萬田久子 石倉三郎
■第2話あらすじ
1日で店を辞めるつもりだった柊(尾碕真花)だったが、金もなく腹を空かせ、気づけばベルサイユに戻っていた。そんな折、店でリハビリをしていた客を、柊なりの激励で奮い立たせ、心を明るくしていく。そして今宵も特別のワインを希望する客が。元社交ダンスの先生で、余命2か月の宣告を受けていた金沢麗子(夏樹陽子)が来店する。そしてその後、もう1人のベルサイユの常連客との奇跡の出会いによって、柊の生い立ちが明かされる。

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