「竜は自陣へ」の新格言 永瀬九段が羽生九段の攻めを受けつぶし挑戦に王手 ヒューリック杯第96期棋聖戦決勝トーナメント

2025年4月18日(金)11時30分 マイナビニュース


藤井聡太棋聖への挑戦権を争うヒューリック杯第96期棋聖戦(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)は決勝トーナメントが大詰め。4月17日(木)には準決勝の羽生善治九段—永瀬拓矢九段の一戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、難解な横歩取り戦から抜け出した永瀬九段が157手で勝利、挑戦者決定戦にコマを進めています。
○プロも驚く自陣竜
10日前に行われた王位リーグ以来の対決となった両者。振り駒が行われた本局は後手となった羽生九段の注文で横歩取りへと進みました。先日は力戦調の作戦を披露した羽生九段ですがこの日は王道の青野流を受けて立つ形を選択。早い段階で果敢な飛車切りから局面を打開しました。手にした角を敵陣に打ち込んで丁々発止の中盤戦が幕を開けます。
激しいやり取りが一段落して中盤戦たけなわ。両者小刻みに時間を使い、第二次駒組みの段階でともに持ち時間は1時間を切っています。攻勢を取りたい羽生九段が8筋に合わせの歩を放った場面が一つのハイライトで、守勢を貫いてきた永瀬九段の指し手が光ります。狙われそうな自陣竜をさらに深く9筋に隠居させたのが普通では考えられない辛抱でした。対局中継を見守っていた鈴木大介九段も思わずSNSを更新し、「永瀬拓矢、恐ろしい子…。」と驚きを隠せません。
○見守りつづけた自陣竜
永瀬九段の我慢は戦いが長引けば「先手の竜 VS 後手の飛車」という構図がクローズアップされるという大局観。その後もたがいに決め手がないまま間合いの計り合いは続きますが、しびれを切らした羽生九段が5筋に飛車を回って成り込みを狙ったことで形勢が傾きました。対して永瀬九段の披露した角打ちは相手の攻めを引っ張り込む強い受けです。
「本譜はいっぺんにダメにした」という羽生九段の局後の感想が物語るように、本局は永瀬九段の長い辛抱が実を結ぶ結果となりました。やり取りが一段落した局面は後手の攻めが切れ模様で勝負あり。終局時刻は20時22分、最後は自玉の寄りを認めた羽生九段が投了。中盤に手をかけて以降90手近く隠居した先手の自陣竜が印象的な終局図となりました。
勝った永瀬九段は挑戦者決定戦に進出、西田拓也五段—杉本和陽五段の勝者と対戦します。
水留啓(将棋情報局)

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