「もうかっこつけてないです、最近」吹っ切れた比嘉愛未(38)が大切にしている“ある感覚”「自分の根本には沖縄で…」
2025年4月26日(土)12時0分 文春オンライン
〈 情熱がみなぎる「かなり攻めた」写真集で気持ちが高まり…比嘉愛未(38)の現在地 〉から続く
『週刊文春』2025年4月17日号で、巻頭カラーグラビア「原色美女図鑑」に8度目の登場を果たした比嘉愛未。今年3月24日に芸能事務所「コンテンツ・スリー」に所属すると発表し、大きな“変化”へと踏み出した。今も高い人気を誇る『コード・ブルー』の冴島はるかや、心をえぐられながらも演じきったという『フォレスト』の幾島楓など、彼女自身が愛してやまない役への想いを明かす。 (全3回の2回目/ 続き を読む)

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『コード・ブルー』『フォレスト』で演じた役柄に対する想い
——“常に変化し続けたい”とのことですが、それはお芝居の面でも?
比嘉 「えっ、こんな役をやるの⁉」ってサプライズを仕掛けていきたいです。これまでは、シリアスな役柄やすごく正義感が強い役が多かったんですよ。子を守る母だったり、患者を救う医療従事者だったり。
——友人が比嘉さんの大ファンで、それこそ医療ドラマ『コード・ブルー』で演じられたフライトナース、冴島はるかに惹かれたのがきっかけだったと語っていました。
比嘉 本当にありがたいです。彼女はすごく大好きな役で……そう、「彼女」と言ってしまうぐらい、私のなかではもう、はるかは一人の戦友として生きているんです。彼女のおかげで多くの人に知っていただけましたし、『コード・ブルー』の影響で看護師になって、私にはできない社会貢献を果たしてくださっている方もたくさんいる。
そういうお声を聴けるのが役者として一番の醍醐味ですね。これからも「お芝居をやっていてよかったな」と感じる瞬間を、視聴者の方々と交歓していきたい。
——今年放送された主演ドラマ『フォレスト』も、とても引き込まれる作品でした。
比嘉 (比嘉さんが演じた、幾島)楓もすっごく好きな役なんです。人間味が溢れている、本当にとても純粋な人。最初は弱さもあったけれど、自分の意志をちゃんと育てていって、強い女性になって。
でも、演じるのはすごく難しかったです。岩ちゃん(岩田剛典)とダブル主演ということで、相棒がいるのは心強かったんですけど、楓は私にとって“新しい主役の形”だったので。視聴者目線なんですよね、彼女って。
——確かに。登場人物の中で、もっとも情報を知らされていませんよね。だから嘘が暴かれ、真実が明らかになるたびに、驚いたり涙したりと大きなショックを受けていました。
比嘉 そうなんですよ。決意して我が道を突き進んでいくタイプの主人公とは違って、ずっと視聴者と一緒の目線で、物事に反応したり、相手の感情を受けたりしていく。それってとってもエネルギーを使うんです。
——しかも明かされる事実が、どれもまた非常に重みがあって。
比嘉 本当に毎回毎回、徐々に徐々にえぐられていくようでした。でも、視聴者の方々が楓と一緒になって、それこそ“森の中”に迷い込んでいくような感覚を体現できたのは新鮮でしたし、達成感もひとしおでした。あれだけエネルギーを使ったからこそ届けられたものがあったと思いますし、またひとつ、忘れられない役柄になりました。
感性に訴えかけるものを一切妥協せずに作っていきたい
——楓の目がとても好きでした。心が揺らぐような出来事が起きても、相手を真っ直ぐに見つめようとしていて。
比嘉 えー、ちょっと泣きそうになる(笑)。ほんと、そうなんですよ。動揺するけど、最後はちゃんと見つめる。それは意識していました。とくにサスペンスでは、視線のわずかな動きひとつとっても「図星を突かれた」や「嘘をついている」など、そこに意味が生まれてしまうんです。しかも『フォレスト』はアップのカットが多いドラマで、瞳がとてもフォーカスされるので。
登場人物の誰もが怪しく見えるなか……楓も終盤、ちょっと疑わしい瞬間がありましたが、彼女だけは視聴者を裏切らない、同じ目線の存在であり続けたかった。「信じたい」という思いを真っ直ぐな眼差しで表現しました。
——あと、岩田さん演じる一ノ瀬純との初デートでピクニックに行くシーンも印象的でした。純から手作りのかぼちゃの煮物をすすめられて、実はかぼちゃはそんなに得意じゃないけど「美味しい!」って無理して食べる時の顔がとても好きで。
比嘉 そう! 頑張って一口で頬ばってるの(笑)。
——食事シーンでは、比嘉さんが主演したドラマ『作りたい女と食べたい女』(つくたべ)を思い出しました。
比嘉 『フォレスト』の後半を撮ってくださったのは、『つくたべ』を監督した松嵜(由衣)さんなんですよ。お仕事を長く続けていると、こういうご褒美がありますよね。松嵜さんとの信頼関係もあって、『つくたべ』と同じく、本当にナチュラルな空気感のもとで楓を演じられました。
——自然でリアルな雰囲気だけれど、目が離せない緊迫感と予想を裏切る展開にも満ちていて。放送時は本当に次週が待ち遠しかったです。
比嘉 めちゃくちゃいろんな方にそう言っていただけました。やっぱり続編を見たいと、願ってくださるお声もありますし。でももし制作が決まったら、またメンタルを鍛えなきゃいけないな(笑)。
——最後まで楓には伏せられていた真実がまた衝撃的でしたね……。あまりにも残酷な運命でした。
比嘉 でも、ああいうハッピーエンドとは言い切れない、見る人に深く考えてもらうようなテーマもいいなと思いました。今は「わかりやすくしよう」という流れになっているように感じます。
私は作品を鑑賞する最大の醍醐味って、自分の人生に投影したり、登場人物に感情移入して考えをめぐらせたり想像したりとか、自分の感性を磨くことにあると思うので。アートや音楽、演劇だってそうです。だからドラマも「観やすさ」だけを追求するのではなく、感性に訴えかけるものを一切妥協せずに作っていきたい。そこは諦めずにやり続けたいですね。
演技から離れた素の魅力
——シリアスな演技の一方で、TVer限定で配信された特番でのはっちゃけ具合も可愛かったです。「酔っぱらうと踊り出します」とか、かなり赤裸々にお話しされていて。
比嘉 もう、ほんとに(笑)。前はあんまり自分を出さないようにしていたんですよ。私、見た目とのギャップがすごくあるタイプだと思うので。
だけど段々と「ま、いっかな、そろそろ」っていうスタンスになってきたんです。本分である演技にしっかりと向き合っていて、なおかつ人に不快感を与えない程度なら、何か発言するときに、素を出してもいいのかなって。それもバランスかなと思い、もうかっこつけてないです、最近。
——さっきお話しした、冴島はるか役をきっかけに比嘉さんファンになった友人は、ご本人の「素」の面白さが最高だと語っていました。「比嘉さんは鏡をのぞくたびに比嘉愛未の美貌に会えるのが羨ましすぎる」とも言っていましたが……。
比嘉 あはは(笑)。いやいや、そんな「あ……、比嘉愛未」(髪を掻き上げながら鏡をのぞく仕草)なんてやってないですよ! 人間なのでもちろんコンプレックスもありますし。
——「だけど、とんでもない美人なのに、すごく親しみやすさもあって、バラエティで見せる愛嬌や暴れっぷりがたまらない」と。
比嘉 「暴れっぷりがたまらない」って嬉しいですね。いい大人になってはきたんですけど、正直言いますと、自分の根本には沖縄でわんぱくに過ごしていた幼少期の感覚がずっとあるんですよ。もう、常に天真爛漫! そのエネルギーを今、思いきって解放しているんです。
役者としての比嘉愛未しか知らない人にはびっくりされるかもしれないですけど、逆にこの素も含めて応援していただけるなら、絶対に楽しませますし、裏切らない自信があります。だから信じて見ていてほしいです。
撮影 黄瀬麻以
ヘア HORI
メイク Kie Kiyohara
スタイリング 三本和朗
〈 演技でもなく、人間関係でもなく…ステージが変わっても比嘉愛未(38)が「これだけは変えたくない」と断言すること 〉へ続く
(「週刊文春」編集部/週刊文春)