「人が信じていることに、疑問を投げかける」『ありふれた教室』監督がコメント

2024年5月13日(月)16時30分 シネマカフェ

『ありふれた教室』© if… Productions/ZDF/arte MMXXII

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ドイツ代表作品として本年度アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートを果たした『ありふれた教室』から、まるで“取り調べ”のような教師たちの追及が始まる本編映像が解禁となった。

本作は、ある新任女性教師の視点で進行する物語。校内で発生した小さな事件が予想もつかない方向へと激しくうねり、わずか数日間で学校の秩序が崩壊してしまう異常な事態へと突き進んでいく…。

この度解禁となった本編映像では、カーラ(レオニー・ベネシュ)のクラスの学級委員が同僚教師から半ば強引に“犯人捜し”に協力するよう促されるシーンが描かれている。

少しでも手がかりがほしい教師たちは、「何か目についたことは?」「態度が不自然な子とか」と、戸惑う生徒をよそに質問を続ける。カーラからはそのやり方に疑問を抱く表情が伺えるが、同僚の犯人捜しはおさまらない。

しまいには名簿を出し、強制ではないと言いながらも「気になる子がいたらうなずいてくれればいい」とペンで名前をさしていくのだった…。不穏な空気が漂うなか、学校における正義とは何か、考えさせられる内容だ。

本作の着想となった具体的な出来事について、ドイツの新鋭イルケル・チャタク監督は、「学生時代、クラスメートの少年2人が、自由時間に体育の授業をしているクラスの生徒の上着やポケットから物を盗む出来事がありました。それはしばらくの間続きました。犯人を知らない人はいませんでしたが、誰も何も言いませんでした。チクリ屋にはなりたくなかったから。でもある日の出来事は、今でもはっきりと覚えています。私たちが物理の授業に出席していると、3人の教員が入ってき てこう言いました。『女子は廊下に出なさい。男子は全員、机の上に財布を出しなさい』と」とふり返る。

「私は、ヨハネス(・ドゥンカ ー/本作の共同脚本)と一緒に休暇を過ごしている時に、ふとその出来事を思い出したのです。そして彼に、実家の清掃係の女性が、盗みを働いてバレた事件について話しました。するとヨハネスは、数学教師として働いている彼の妹の話をしてくれたのです。彼女の学校では、職員室で物が盗まれる事件があったと。この会話をきっかけに学校時代の話になり、面白い物語になると思ったのです」と、実体験を織り交ぜた経緯を語った。

さらに、どんなことに気にかけたのか特に焦点をあてたことについて、「この物語は制度、つまり社会の鏡についての作品です。それを表現するのに、学校は絶好の舞台なのです。なぜなら、私たちの社会の縮図であり、ひな型みたいなものだからです。国家元首、大臣、メディアなど、あらゆる人々が通る場所です。でも、『ありふれた教室』は、多種多様なトピックを扱っています。私にとって最も重要だったのは、真実を探し、真実を見つけること。あるいは、人が真実だと信じるようになる過程です。人が信じていることに対しても、疑問を投げかけています」と、何が大事であるのか、本作の核心に触れている。

『ありふれた教室』は5月17日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋ほか全国にて公開。

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