「あんぱん」蘭子“正義が逆転”のぶに感情爆発「豪ちゃん代弁」河合優実語る裏側“神回”細田佳央太に感謝
2025年5月21日(水)8時15分 スポーツニッポン
◇「あんぱん」朝田蘭子役・河合優実インタビュー(1)
女優の今田美桜(28)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「あんぱん」(月〜土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は21日、第38回が放送され、若き石工・原豪(細田佳央太)の戦死が判明。出征前夜にようやく結ばれ、最愛の人の生還を待ち続けた朝田家の次女・蘭子の“正義は逆転”した。朝ドラ初出演で、台詞のないシーンでも表情や仕草で視聴者の心を揺さぶる蘭子役の女優・河合優実(24)に撮影の舞台裏を聞いた。
<※以下、ネタバレ有>
「ドクターX〜外科医・大門未知子〜」シリーズなどのヒット作を放ち続ける中園ミホ氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算112作目。国民的アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかし氏と妻・暢さんをモデルに、激動の時代を生き抜いた夫婦を描く。
第38回は、朝田家は原豪(細田佳央太)の戦死の報せに悲嘆。皆が口々に「豪は立派だった」と語る中、朝田蘭子(河合優実)は一人押し黙る。深夜、線香を絶やさず起きている蘭子に、朝田のぶ(今田美桜)は掛ける言葉がない。翌日、のぶの生徒が焼香に訪れ「いつかお国のために立派にご奉公したい」。蘭子はいたたまれず出ていってしまう。石置き場に佇むと、豪との思い出がよみがえる。追い掛けてきたのぶに、蘭子はどこが立派なのかとつぶやき…という展開。
蘭子「どこが、立派ながで。みんなが立派やという度に、何遍も何遍も聞く度に、うちは悔しゅうてたまらん」
のぶ「豪ちゃんの戦死を、誰よりも、蘭子が誇りに思うちゃらんと」
蘭子「お姉ちゃん、本気でそう思うちゅうがかえ?男の子は兵隊になって戦争に行きなさい。命を惜しまず戦いなさい。豪ちゃんみたいに名誉の戦死をしなさい。戦死したら、みんなで立派やと言いましょうって」
のぶ「そうながよ」
蘭子「そんなの嘘っぱちや!みんな嘘っぱちや!」
豪のため、のぶの慰問袋作りに献金していた蘭子だが、最愛の人を失い“正義は逆転”した。
ここまでの台本を最初に読んだ印象について、河合は「蘭子は戦争によって、人を愛するということ、そして失うということを知るわけですが、彼女の人生にとってもドラマにとっても大きな軸だなと感じました。この後、蘭子は反戦を貫きます。初めて朝ドラに参加させていただく『あんぱん』という作品が戦後80年の節目に放送されて、蘭子のような立場の役を頂いたのは意義があることだと思いましたし、大切に演じないといけない、と肝に銘じながら読んでいました」と述懐。
蘭子と豪の想いが通じ合った第29回(5月9日)。SNS上で「神回」などと大反響を呼んだ。
豪役の細田とは2022年公開の映画「女子高生に殺されたい」「線は、僕を描く」に続く3回目の共演。「いつも役やシーンに一つ一つ真っすぐ向き合っていて、私も凄く信頼している俳優さんなので、今回も2人がどういうふうに心を通わせ合おうか、リハーサルの段階から自然とお互いに探る感じがして。演じていて、背筋が伸びる、いい時間でした。壮行会で言葉は交わさないですけど、私がよさこい節を歌いながらニコッと笑ったら、ニコッと返してくれたのが今も印象に残っています」と明かした。
そして、この日の第38回。のぶとぶつかり、感情が爆発した。
「大事な台詞。とにかく、ちゃんとその言葉を言おう、ということを一番心掛けて演じました。のぶが先生になって世の中と一緒に軍国主義に傾いている時に、蘭子が本当に強い気持ちで伝えないといけない、もう豪ちゃんがいないんだから蘭子が代弁しないといけない、そういう感情でした」
今年は戦後80年を念頭に置いた様々なコンテンツが企画されているが「皆さんが触れる作品の中で、反戦の声をもう一度はっきり伝えるべきだと考えていたので、今回、その役割を担うことができてよかったと思っています。豪ちゃんと蘭子を通じて、もう1回皆さんと一緒に、戦争について考えるきっかけにつながったらいいなと願っています」と思いを込めた。
劇中、終戦まで6年。のぶや嵩を待つ運命は…。蘭子の闘いも続く。
=インタビュー(2)に続く=