アンヌ隊員の“衣装ハサミ事件”、キスしながら胸をまさぐられる激しい絡み、無断流出したヌード写真…3度目の結婚を発表したひし美ゆり子(77)の“ウルトラ”な女優人生

2025年5月25日(日)18時0分 文春オンライン

 5月23日、女優・ひし美ゆり子が77歳にして3度目の婚姻届を熊本県芦北町に提出した。お相手は旧友で、『仮面ライダーアマゾン』『電撃!! ストラダ5』など往年の特撮ヒーローを演じた元俳優・歌手である岡崎徹(76)。


 ひし美も『ウルトラセブン』(67年)の友里アンヌ隊員役でブレイクし、『プレイガール』(73〜74年)などにも出演した特撮・アクション界のマドンナなので、特撮ヒーローとヒロインのビッグカップル誕生にSNSには祝辞と歓喜の声があふれた。



「ウルトラセブン」でアンヌ隊員を演じていたひし美ゆり子 本人Xより


 ひし美は1947年6月10日生まれの東京都中野区出身。父親の事業失敗に伴って7歳で三鷹市に移り、16歳で藤村女子高等学校に入学。17歳で東宝主催の「ミス東京セニョリータ」の準ミスに選ばれ、このことが縁で第6期オール東宝ニュータレントに合格。東宝に入社して芸能活動をスタートした。


 東宝俳優養成所を経て、映画デビューは19歳の『パンチ野郎』(66年)。当初は本名で活動していたが、ほどなく「菱見百合子」に改名している。


 最大の転機となる『ウルトラセブン』のヒロイン、友里アンヌ役に選ばれたのは20歳の時だ。


バスト部分の衣装がキツかったひし美はハサミで…


 じつはアンヌ役は別の女優に決まっていたが、直前で降板したため突然転がり込んできた大役だったという。


 衣装合わせに呼ばれたのが撮影前日という急日程だったため、ウルトラ警備隊の隊員服も前任の女優のサイズで作られており、ひし美にはタイトだった。特にバスト部分がキツく、あまりに窮屈でひし美はこっそり衣装脇の目立たない箇所をハサミで切り、隙間を作って着用していたという。


 しかし実は、出演当時はプライベートで町中を歩いていても声をかけられたりサインをねだられることもなく、本人的には大人気ぶりを実感することはなかったという。ひし美本人が『セブン』出演が転機だった事実を自覚するのはもっとずっと後のことになる。


 その後も映画やドラマなど仕事は順調に増えていったが、25歳の時に東宝との契約が終わり、ひし美は芸能界引退を考えていた。しかし、転機は意外な形でやってきた。


「『セミヌードでいいから撮らせてくれ』って…」という写真が流出


 それは「ヌード写真の流出掲載」というセンセーショナルなものだった。ある日ひし美が書店に行くと、「週刊プレイボーイ」(集英社)に自分のヌード写真が掲載されていて驚いたというのだ。しかも盗撮ではなく、知り合いのカメラマンに頼まれて撮った写真の無断流出だった。


「東宝に取材に来たフリーのカメラマンが、『セミヌードでいいから撮らせてくれ』って言っていたんですけど、東宝はそういうことにうるさいので断っていたの。でも、1年間ぐらいずっと言ってきていたので、東宝を辞めた後、仕方がないから個人的な記念のつもりで撮らせてあげたんですよ。そうしたら、そのカメラマンが勝手に週刊誌に売ってしまって…」(Web「テレ朝POST」でのインタビューより)


 しかし運命は不思議なもので、このグラビアの流出によってひし美のナイスバディは芸能界中に知れ渡り、逆に仕事依頼が殺到した。ひし美本人もこの勢いには逆らえず、現在のひらがな交じりの芸名に改名し、心機一転再スタートを切った。


 ヌードの流出に母親は怒り、父親は何も言わなかったそうだが、後年、父親が自分のグラビアの切り抜きをスクラップしていたことを知って驚いたという後日談もある。


 その後はセクシー路線の仕事も増え、代表作は26歳で出演したテレビドラマ『プレイガール』。美女揃いの保険調査員たちがパンチラありヌードありで活躍するセクシーアクションドラマとして大人気となり、役名は女優の名前がそのままだったのも特徴で、ひし美の役名も「ゆり子」だった。この番組で、ひし美は『ウルトラセブン』の時以上の知名度を手にした。


 映画でも脱ぐ役が相次ぎ、25歳で出演した『不良番長 一網打尽』では風俗嬢を熱演。組織同士の抗争に巻き込まれてしまい、山城新伍演じる敵役の前で「助けてくれるならなんでもするわ!」と言ってテーブルの上に全裸で仁王立ち。山城に全身をまじまじと見られる過激なシーンも体当たりでこなした。岡崎との出会いもこの映画だった。


 家族や親戚の手前、人気急上昇中の日活ロマンポルノ映画への出演は断っていたが、丹波哲郎主演の時代劇ということで引き受けた『忘八武士道』(73年)では、公開時にタイトルの前に「ポルノ時代劇」と付けられてしまったこともあるという。


キスを交わしつつ、豊かな胸をもみしだかれ…


 27歳の時には、秋吉久美子・林隆三主演の『妹』(74年)でシックなラブシーンに挑戦。ひし美は女子大生役で、林とアパートの狭い自室で情事をかわす。


 白いミニスカにブルー系横ストライプの半袖シャツ姿で畳に横になり、林がシャツをたくしあげると、なんとノーブラで豊満なバストがあらわに。キスを交わしつつ、林がその豊かな胸をもみしだいていく。ひし美のハスキーな喘ぎ声が狭い部屋に静かに響くシーンは、アンヌ隊員ファンのかつての少年たちにはいささか刺激の強いシーンだった。


 特撮との縁も続き、25歳の時には『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(72年)に出演。この映画の福田純監督はひし美が20歳の時のドラマ『天下の青年』(67年)の監督でもあり、その時は演技についてキツい指導を受けた。だが『ゴジラ対ガイガン』で再会した時はプロの女優として接され「一人前の女優として認められたんだ」と喜んだ。


2度目の離婚を「連れ合いからの三行半」とあっさり報告


 プライベートでは、28歳のときにお見合いで一般男性と結婚。1児も授かるがすれ違いから数年後に離婚。32歳で再婚したのは8歳下の料理人で、華やかな芸能界とは違い、寡黙に仕事に向き合う姿に惹かれてひし美のほうからアプローチして結婚に至ったという。


 後に「アジアンタイぺイ」というエスニック料理店を夫婦で開店した時には、ひし美も自ら厨房に入り献身的に手伝っていた。


 筆者も何回かこのお店にお邪魔したことがあるが、料理もお酒も美味しく、ひし美がお店にいなくても、近くまで行ったときにはランチ等で立ち寄っていた。ひし美はお店にいるときは、ほぼ全員の客に挨拶してまわり、常連客には特別の逸品もサービスする堂々たる女将ぶりを発揮していた。当然お店も繁盛していたが、残念ながら2019年に閉店している。


 2度目の結婚時には3人の子どもをもうけたが、2016年11月に2度めの離婚。理由についてひし美はブログで「連れ合いからの三行半」とあっけらかんと報告している。しかし離婚後も店でイベント等を開催しており、双方納得ずくの離婚だったようだ。現在は男女ふたりの孫の祖母でもあり、関係は極めて良好のようだ。


 90年代頃からはビデオやDVDで『ウルトラセブン』など過去の出演作が身近になり、再びひし美に注目が集まった。


 結果『セブン セブン セブン わたしの恋人ウルトラセブン』(小学館)等の自伝や写真集等も次々にベストセラー入り。この自伝や写真集、『ウルトラセブン』関係のグッズを持参して台湾料理店を訪れてサインをねだる客も大勢現れた。


 そして少年時代に『ウルトラセブン』やセクシーな演技を観て育った世代のクリエイターたちからも熱烈なラブコールが届くようになる。


 樋口尚文監督の『インターミッション』(2013年)、押井守監督の『真・女立喰師列伝』の1編『金魚姫 鼈甲飴の有理』(07年)などに出演。押井監督は、ひし美の本格初ヌード映画『鏡の中の野心』(72年)への熱い思いを「1週間の公開期間のうち5日間通い、目に焼き付けました」と本人に語ったという。


 また、ひし美が52歳の時にテレビアニメ『ゲートキーパーズ』(00年)で声優に初挑戦したのも、同作の企画者だった井上伸一郎が『ウルトラセブン』以来のひし美のファンだったことがきっかけだった。


 このたび婚約を発表した岡崎とは数年前からふたりでトークライブ等に出演したり、近年デュエット動画がSNSにアップされるなど仲がいいことをファンも知ってはいたが、さすがに結婚までは想定外だったようだ。プロポーズはひし美からだと言い、8月までには熊本への移住予定だという。移住後はギャラリーカフェを開店するそうだ。


 これからは夫である特撮ヒーロー、仮面ライダーアマゾンとの「合わせ技」で熟年になった少年少女ファンたちを楽しませてほしい。


(岩佐 陽一)

文春オンライン

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