桂二豆 落語のおもしろさを伝えることが生涯の目標

2025年5月28日(水)17時1分 スポーツニッポン

 【古野公喜のおもろい噺家み〜つけた!】芸歴9年目に入った桂二豆(30)は噺家として桂米朝一門の流れを受け継ぐ正統派。古典落語をきっちり演じ、師匠・桂米二のように品のあるくすぐりで客席の心をつかもうとする。「おもしろい噺だったなとウチに帰って“ああ、やってたのは二豆だったんだ”という噺家になりたい」と落語のおもしろさを伝えることが生涯の目標だ。

 落語に目覚めたのは小学5年の頃。「エンタの神様」「レッドカーペット」などお笑いブームで、クラスメートと漫才やコントを楽しんでいた。ある日、テレビで「笑点」を見てビビッときた。母から米朝さんのカセットテープを3本渡された。初めて聞いたネタは「桃太郎」。その物語性、しゃべり口調などにはまった。

 周りの友達は「お笑い芸人になりたい」と口にする中、「自分はちょっとイチビリだったんで“落語の方がすごいわ”と言いたかったんでしょう。自分だけが(落語を)知ってるという喜びもあって」。それから真剣に落語を聞き始め、どっぷりと落語の世界に浸かっていった。

 中学1年時には「私の夢は落語家になること」をテーマに弁論大会に出場。中学3年でも「続、私の夢は落語家になること」で弁論大会に出場した。関学OBの俳優・鎌苅健太がMCを務めていたNHKのバラエティ番組「あほやねん!好きやねん!」に出演した際に、テレビカメラに向かって「将来、落語家になります」と宣言した過去もある。

 高校時代は柔道部に入って二段の腕前。大学では落語研究会に入ったが、2年から古典芸能研究部へ。天満天神繁昌亭でアルバイトをしながら、中学・高校の社会科の教員免許も取得。それでも落語家になる夢は持ち続けていた。大学卒業前、米朝さんが大好きで米朝一門を目指し、その中で米二の高座を生で見ているうちに「すごい人かもしれない」と徐々に惹かれ、「師匠の感性、裏表のない人間性に惚れていきました。弟子入りは恋みたいなもの」と米二の門を叩き、三番弟子となった。

 師匠から「二豆」の名前をもらった経緯もおもしろい。兄弟子・二乗、姉弟子・二葉と同様、観客のアンケートを元に決められた。80ほどあった候補リストを師匠から見せられ「一生にかかわることやから、嫌な名前に×をしろ」と言われ「二流」「二軍」「二ゴロ」など半分以上にNG。残った中から師匠は「亀二がエエなあ」。だが、「三味線の和女師匠が“二豆ってのがかわいい”って。二葉姉さんも賛成して」。身長165センチ、体重75キロの小柄でぽっちゃり系な姿を見て「ほな、二豆に」と師匠が決めた。「覚えやすいし、身に合ってる」と自身もすぐに愛着を感じるようになった。4月からKBSラジオ「さらピン!キョウト」(月〜木曜後2・00)に初めてレギュラー出演。リスナーから「私が二豆と書いた」と投稿があったそうで「名付け親、一度会ってみたいですね」と笑った。

 31回目の誕生日となる6月1日に「第13回にまめのこまめ・特別編」を神戸新開地喜楽館で開催。7月11日には東京・渋谷の光塾で「にまめのこまめ 東京編」の舞台へ上がる。趣味は歌舞伎や絵画の鑑賞、音楽のライブなどにも積極的に足を運ぶ。もちろん芸のため。落語だけでなく、芸の幅を広げるには様々な経験を積むことが大事な仕事だ。「師匠(米二)のような古典にありそうなくすぐりをできるようになりたい」。ラジオや新作落語の会など、そのために自分に必要なものを日々、模索している。(演芸担当)

 ◇桂二豆(かつら・にまめ)本名=古川達己(ふるかわ・たつき)。1994年(平成六年)6月1日、兵庫県芦屋市出身の30歳。関学大卒業後、17年に桂米二に入門。趣味は歌舞伎、絵画などの鑑賞。

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