「女流画家のレッテルもはられたくない」『魂のまなざし』内から湧き出る情熱に従う冒頭映像

2022年7月14日(木)13時0分 シネマカフェ

『魂のまなざし』(c)Finland Cinematic

写真を拡大

フィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベックの画業と人生を決定づけた1915年から1923年の時代を描いた『魂のまなざし』。この度、抑圧的な男性社会に臆せず、内から湧き出る情熱に従ったヘレンの凛とした姿を象徴する冒頭映像が解禁となった。




ヘレンは幼少時から絵の才能を見込まれ、奨学金を得て18歳の時にパリへ渡り、20代の大半をパリで過ごした。しかし祖国に戻ると、美術界を支配する保守的で権威主義的な男性社会の中で、真実を追求する自由な魂は疲弊し、そこから逃亡することになる。

解禁となった映像では、そんな田舎での母親との10年あまりに及ぶ半ば隠遁生活の中で、ヘレンはインタビューを受けることになる。「さっさと進めましょう。インタビューは苦手だから」とヘレンが静かに言うと、「わかります」と同意するインタビュアーに、少しビックリしたかのように目を上げる。インタビュアーから「その理由は?」と聞かれると、少し考えるように「つい間違ったことを言うから。何を言っても誰かを怒らせる」と、遠くを見てほほ笑むヘレン。

インタビューが続く中、貧相な家で絵を描くヘレンの姿と共に、四季折々の田舎の庭が美しく映し出されている。「10年以上、美術界から距離を置いてますね」と聞かれると、ヘレンは「私のことは書かないで、注目をされたくない」と言い、「ご自分の作品をどう説明しますか? なぜ戦争や貧困を描くのか。その題材は...女流画家にふさわしくない」と返されると、少し呆れたように「画家が描くときは、作品の説明など考えない。着想は内側と外側から同時にわき起こる。女流画家のレッテルもはられたくない。一人の画家だから」と応じるのだ。

この時代に自立し、強い意志を持っていたヘレン。どん底であっても絵を描くことを諦めず、背筋を伸ばして歩いていったヘレンのひたむきで凛とした姿が映し出されている。

『魂のまなざし』は7月15日(金)よりBunkamura ル・シネマほか全国にて順次公開。

シネマカフェ

「はら」をもっと詳しく

「はら」のニュース

「はら」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ