空飛ぶクルマが私たちのもとへ「飛来」―中国メディア

2025年2月9日(日)14時0分 Record China

未来の交通の無限の可能性を秘めた空飛ぶクルマが夢から現実へ変わろうとしている。

1月初めに米ラスベガスで開催された世界最大の電子機器見本市「コンシューマーエレクトロニクスショー(CES)」で、中国の広東匯天航空航天科技(小鵬匯天)が開発した分離式の空飛ぶクルマ「陸地航母」が初めて世界の舞台に登場して注目され、来年から納入される予定だ。



未来の交通の無限の可能性を秘めた空飛ぶクルマは、今、夢から現実へ変わろうとしている。10年後には、空飛ぶクルマによってこれまで1〜2時間かかっていた通勤時間が10〜20分に短縮され、都市に住む人々は渋滞に悩まされることがなくなるだろう。



今では、空飛ぶクルマの定義がより具体的になっている。狭義の空飛ぶクルマは地上を走行し、空中も飛行できる陸空両用車を指し、広義の空飛ぶクルマは大量輸送用の電動垂直離着陸機(eVTOL)を含む。



2024年に中国汽車工程学会(China-SAE)が発表した中国初の空飛ぶクルマに関する研究報告書「空飛ぶクルマ発展白書1.0」によると、21世紀の電動スマートカーの発展が、電動スマート航空の発展に着実な産業の基礎を固めた。eVTOLは広義の空飛ぶクルマとして、航空機・自動車の電動スマート技術と産業チェーンとの融合を通じ、地上を走る自動車のように大量輸送用の交通手段になるものと期待され、広義の空飛ぶクルマの概念が業界のコンセンサスとなった。



未来に目を向けると、空飛ぶクルマは今、私たちのもとへ「飛来している」。同白書によると、空飛ぶクルマはこれから三つの発展段階をたどる。まず25年からの商用飛行がスタートする1.0の段階で、物を積んだeVTOLが商用化をスタートし、人を乗せたeVTOLが特定のシーンで実証応用をスタートする。次は35年ごろからのスマート化が加速する2.0の段階で、スマートeVTOLの空飛ぶクルマの大規模な応用が加速し、低空域の移動における主要な交通手段になる。そして50年ごろからの立体的な普及へと進む3.0の段階で、陸空両用の空飛ぶクルマの大量輸送の応用が実現し、低空域交通と地上交通が深く融合し、3次元的で立体的なスマート交通システムが構築される。



世界に目を向けると、多くの国が空飛ぶクルマのイノベーション応用ペースを加速させており、その発展の道筋は主に三つある。



一つ目は、機械航空から電動スマート航空への前進だ。米国のジョビー・アビエーション、欧州のエアバス、中国の上海峰飛航空科技(峰飛航空)、沃飛長空(成都)、追夢空天科技(蘇州)などの企業は、従来の航空機の設計の経験と技術による優位性に基づいて空飛ぶクルマを発展させる。



二つ目は、電動スマート自動車から電動スマート航空への拡大だ。空飛ぶクルマの産業チェーンの約85%は電動スマート自動車と関連があり、電動スマート自動車の発展は空飛ぶクルマのためのしっかりした産業チェーンの基礎を固めた。小鵬匯天と広州汽車集団は電動スマート自動車産業チェーンでの優位性を利用し空飛ぶクルマの開発を加速させている。



三つ目は、マルチロータードローンから電動スマート航空への進出だ。マルチロータードローンの発展は電動スマート航空のためのある程度の飛行制御技術の基礎を固めた。中国の広州億航智能技術やイスラエルのエロボテックスなどが、早くからマルチロータードローンを発展させてきたとの優位性に基づき、空飛ぶクルマの開発に向けて歩みを進めている。



米ジョビー・アビエーションは25年に都市部の空の交通におけるeVTOLの商用化を実現させる計画だ。エアバスは従来の航空分野での技術の蓄積とグローバル市場での事業展開を利用し、「次世代の都市のエアバス」プロジェクトを打ち出し、24年には開発した全電動航空機を発表して初飛行を成功させた。このことは従来型航空会社が電動スマート航空へと前進する上での重要な一歩となった。中国には世界トップクラスのスマートカーとマルチロータードローンの技術および産業チェーンという優位性が備わり、空飛ぶクルマの開発と製造に着実な基礎を提供している。重慶長安汽車と億航智能の業界の枠を超えた協力は、自動車とマルチロータードローン技術の有機的な融合を実現し、空飛ぶクルマの発展へ新たなアプローチと活力をもたらした。



低空域交通は新エネルギー、人工知能(AI)、ビッグデータ、5G通信などの新技術の応用の主な担い手とシーンであり、「低空経済」(低空域飛行活動による経済形態)の発展における戦略的方向性であり、グローバル経済と世界の発展構造を再構築するものとなる。現在、「低空経済」活動の主な担い手はドローンや空飛ぶクルマといった低空域を飛行する航空機だ。その中で、コンシューマードローン、産業用ドローン、交通手段としての空飛ぶクルマの「低空経済」への寄与は、それぞれ地上経済を牽引する自転車、バイク、車の牽引の役割に似ている。現在、ドローンは「低空経済」で主導的な位置を占めており、すでにコンシューマー向けのレジャー娯楽用ツールから、電力網の点検、農林業の植物保護など産業用ツールへと変化している。今後は、空飛ぶクルマの普及応用が、人類社会の立体的交通の新時代をけん引するようになり、1兆元(約21兆円)レベルの「低空経済」のブルーオーシャンで新たな競争分野を切り開くことだろう。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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