「携帯の電源入れたら1分で逮捕」違法通話を監視する北朝鮮の探知能力

2025年4月20日(日)5時3分 デイリーNKジャパン

最近、北朝鮮当局が中国キャリアの携帯電話を使用する住民に対する取り締まりをいっそう強化している。


デイリーNKの咸鏡北道(ハムギョンプクト)の情報筋は、「最近、茂山(ムサン)で、ある住民が中国の携帯電話を使おうとしてすぐに捕まる事件が発生した」とし、「通話を試みてからわずか1分後に、保衛部探知局の隊員に現行犯逮捕された」と伝えた。


国境地域に駐留する国家保衛省(秘密警察)電波探知局の隊員たちは、特定周波数と信号を感知できる探知装備を活用し、国境地域で中国と通話する住民を即座に取り締まっている。


電波探知局のチームは2人1組で活動するが、以前は1日に5~6時間ずつ夜間にだけ探知活動を行ったが、最近は明け方5時からその日の深夜12時まで勤務するなど、活動時間が3倍以上増えた。さらに、以前は1チームが地域の民家5〜6戸を担当していたが、現在では2戸だけを集中監視するようになり、携帯電話の電源を入れただけでも取り締まりに引っかかる事例が続出している。



実際、送金ブローカーをしている40代の住民が、中国から金を送金してもらうために電話機の電源を入れると、1分で取り締まりにかかり、会寧(フェリョン)市で携帯電話を使っていた50代の住民も同様に探知機に引っかかり、保衛部に拘留されたという。


北朝鮮で、中国キャリアの携帯電話の所持・通話は重罪だ。一大摘発キャンペーンが張られた2021年には、年末の3カ月間だけで18人もの男女が処刑されたとされる。


情報筋は「新型コロナ禍以降、中国の携帯電話に対する摘発が強化されてきたが、最近は取り締まりの強度が想像を超越している」と述べている。


その理由について情報筋は述べていないが、筆者の見たところではロシア派兵が関連しているように思われる。


そもそも、北朝鮮当局がこれほど中国の携帯電話取り締まりに血道を上げているのは、中国を経由した外部情報の流入と、内部情報の流出を嫌うからだ。北朝鮮当局はいまだロシア派兵の事実を国内に公表していない。数千人の死傷者が出た事実はもちろん極秘だ。


しかし、当局が中国の携帯電話使用者を探し出すために各種手段と方法を総動員しても、これを完全に防ぐことはできないというのが情報筋の主張だ。


情報筋は「中国の携帯電話の使用を完全に防ぐことは絶対に不可能だ。使っている人々は生計のために命をかけて送金ブローカーや密輸をやっている。いくら摘発が厳しくても、何としても中国の携帯電話を手放せないのだ」と話した。

デイリーNKジャパン

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