金正恩氏、韓国から最初の「制裁解除」を勝ち取る

2018年4月23日(月)16時3分 デイリーNKジャパン

南北首脳会談を控え、韓国軍が対北朝鮮心理作戦の一環として行ってきた拡声器放送を中止した。


韓国国防省は、23日午前0時から軍事境界線一帯での北朝鮮向けの拡声器放送を中止したと発表した。国防省のチェ・ヒョンス報道官は記者会見で「今回の措置は、南北首脳会談をきっかけにした、南北の軍事的緊張緩和と平和会談の雰囲気づくりのためのものだ」と述べた。


1963年5月に始められた北朝鮮向けの拡声器放送は、2004年6月に南北首脳会談の開催に合意したことで中止されたが、北朝鮮側が仕掛けた地雷で自軍兵士の身体の一部が吹き飛ばされる事件に対する報復として、2015年8月に再開された。


同年8月には再び中止されたが、2016年4月の北朝鮮の4回目の核実験への対抗措置として再開された。


これまで北朝鮮は拡声器放送を「反共和国敵対行為」とみなし、強く反発してきた。韓国と対峙する最前線に駐屯する兵士への心理的影響が少なくないからだろうと思われる。


北朝鮮側の最前線では、人里離れたところに少人数の部隊が配置されているケースが少なくない。監視塔での勤務中に拡声器放送に耳を傾けるだけではなく、部隊全員がグルになり、リアルタイムで韓国のテレビ放送を受信。美人タレントの出演するバラエティ番組にクギづけになっているという。


ということはつまり、韓国軍の拡声器放送中止により、北朝鮮側は部分的にせよ軍事的ダメージを克服することができるわけだ。


また、北朝鮮軍に苦痛を強いる拡声器放送は、核開発に対する制裁の一部として行われてきたわけで、それが止められたということは、金正恩氏が最初の「制裁解除」を勝ち取ったものと言うこともできる。


もっとも、韓国軍の拡声器放送は、当初の想定ほど遠くまで聞こえていなかったとの指摘もある。

デイリーNKジャパン

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