ロシア軍「クルスク州の奪還完了」、北朝鮮兵士の存在認め「高い専門性を発揮」…ウクライナ側は否定
2025年4月26日(土)22時16分 読売新聞
26日、モスクワで、露軍のゲラシモフ参謀総長(右)から「西部クルスク州を奪還した」と報告を受けるプーチン大統領=AP
ロシアのプーチン大統領は26日、露西部クルスク州全域からウクライナ軍を排除し、奪還作戦を完了したと露軍のワレリー・ゲラシモフ参謀総長から報告を受けた。プーチン氏は、昨年8月に始まったウクライナの越境攻撃が「完全に失敗した」と主張し、ウクライナの「敗北が近づいた」と述べた。露軍は北朝鮮兵士の存在も初めて公式に認め、果たした役割を称賛した。
ロシア大統領府が26日に発表した。ゲラシモフ氏は、ウクライナの支配下にあった最後の集落を奪還したと報告した。ウクライナ軍参謀本部は「作戦状況は困難だが、部隊は任務を遂行し続けている」とSNSに投稿し、露側の主張を否定した。露西部ベルゴロド州でも作戦を続けていると強調した。
ゲラシモフ氏は、北朝鮮兵の派遣は、露朝両国が締結した軍事協力を強化する「包括的戦略パートナーシップ条約」に基づくものだと指摘した上で、北朝鮮兵を「高い専門性や忍耐力、勇気、英雄的な行動を示した」と称賛した。クルスク州には1万人を超える北朝鮮兵が配置されているとみられている。
ゲラシモフ氏は、クルスク州の戦闘でウクライナ側は7万6000人以上の兵士が死傷したと主張した。プーチン氏はゲラシモフ氏の報告を受け、クルスク州で西側諸国の装備を備えたウクライナ軍が大きな被害を受けたと強調した。
ウクライナ軍は昨年8月、露軍の戦力分散を図り、和平交渉を有利に進めるため、クルスク州への越境攻撃を始めた。一時は露領土の約1300平方キロ・メートルを制圧したが、徐々に露軍が奪還した。プーチン氏は今年3月、クルスク州を視察し、「我々の任務はできるだけ早く完全に解放することだ」と強調していた。