「ウクライナのネオナチを殲滅」北朝鮮、ロシア派兵で勝利宣言
2025年4月28日(月)9時22分 デイリーNKジャパン
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙の労働新聞と国営の朝鮮中央通信は28日、同党中央軍事委員会から前日に伝達された書面の内容を報道する形で、軍のロシア派兵を初めて公式確認した。
これまで国民に対しロシア派兵をひた隠しにしてきた北朝鮮当局が、対外メディアの朝鮮中央通信だけでなく、国内向けの労働新聞でもこの事実を報じた点が注目される。
報道によると、党中央軍事委は「ロシア連邦に対するウクライナ当局の冒険的な武力侵攻を撃退するためのクルスク地域解放作戦が勝利のうちに終結した」と宣言。「国家元首(金正恩総書記)の命令に従ってクルスク地域解放作戦に参戦したわが武力の各区分隊は、高い戦闘精神と軍事的気質を余すところなく示し、集団的英雄主義と無比の勇敢さ、犠牲的精神を発揮してウクライナのネオナチ勢力をせん滅し、ロシア連邦の領土を解放する上で大きな貢献をした」と誇った。
金正恩氏は、ウクライナ軍がロシア西部クルスク州に侵攻した昨年8月当時の戦況が「包括的戦略パートナーシップ条約の第4条の発動に該当するとの分析と判断に基づき、わが武力の参戦を決定してロシア側に通報し、合意に従って共和国武力の各戦闘区分隊にロシア武力との協同の下、ウクライナのネオナチ占領者を撃滅、掃討してクルスク地域を解放するという朝鮮労働党中央軍事委員会の命令を下達した」という。
金正恩氏はまた、派兵部隊で犠牲が生じたことも認め、参戦兵士らの家族への「優待」も指示した。
同氏は次のように述べたという。
「正義のために戦った彼らはみんなが英雄であり、祖国の名誉の代表者である。
朝鮮民主主義人民共和国の誇らしい息子たちの勇敢さをたたえてわが首都には間もなく戦闘偉勲碑が建てられ、犠牲になった軍人たちの墓碑の前には祖国と人民が与える永生祈願の花が置かれるであろう。
強者の偉大な名と勝利者の栄光をとどろかせた軍人たちの戦闘精神と英雄主義は、後世にも尊敬と名誉の高い壇上で末永く輝くであろう。
祖国は、偉大な名誉を守って戦った彼らの精神を末永く伝えるべきであり、参戦勇士たちの家族を特別に優待して見守るための重要な国家的措置を講じるべきである」
北朝鮮当局は最近まで、ロシア派兵と死傷者発生の情報流布を国内で厳しく取り締まってきたとされるが、クルスクでの実質的な「勝利」を受け、大きな方針転換を決断した可能性がある。