北朝鮮のロシア派兵、ウクライナの越境攻撃が契機…戦略条約を発動・ロシアの軍事支援の可能性示唆
2025年4月28日(月)20時47分 読売新聞
北朝鮮の国旗
【ソウル=依田和彩】北朝鮮の朝鮮中央通信は28日、
同通信によると、ウクライナ軍が2024年8月にクルスク州への越境攻撃を始めたことなどを受け、正恩氏が露朝の「包括的戦略パートナーシップ条約」第4条の発動に該当すると判断し、派兵を命じた。
同条約4条では、露朝のいずれかが武力侵攻を受けて戦争状態に陥った場合、「あらゆる手段で軍事的、その他の援助を提供する」と定めている。
正恩氏は参戦した兵士を「正義のために戦った英雄」とたたえ、首都・
露軍は26日、プーチン露大統領にクルスク州全域の奪還作戦を完了したと報告し、北朝鮮兵の参戦が同条約に基づくものだと公式に認めていた。プーチン氏は28日の声明で、正恩氏らに「心から感謝する」とし、「ロシア国民は北朝鮮の特殊部隊の偉業を決して忘れない」と述べた。
ロシア通信によると、ドミトリー・ペスコフ露大統領報道官は28日、条約で露朝両国は「必要に応じて相互に即時支援を提供する義務を負う」と改めて強調した。将来、ロシアが北朝鮮に軍事支援を提供できることを示唆したもので、朝鮮有事の際、ロシアが関与する可能性もちらつかせた。
北朝鮮がロシアに続いて兵士の派遣を公式に認めたのは、5月9日の旧ソ連の対独戦勝記念日を前に、露朝の軍事協力を対外的にアピールする狙いがあったとみられる。