ゼレンスキー氏「私に会うの恐れている」と挑発、プーチン氏は無視…露側は交渉で主導権握る思惑
2025年5月15日(木)21時52分 読売新聞
ゼレンスキー氏(左)とプーチン氏=いずれもロイター
ロシアのプーチン大統領は、約3年ぶりとなるウクライナとの直接協議に欠席する見通しだ。首脳会談を求めるウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は「(プーチン氏は)私に会うのを恐れている」と挑発したが、プーチン氏は無視した。交渉のレベルや内容を露側が決め、主導権を握る思惑があるとみられる。
タス通信によると、露大統領報道官は15日の記者会見で、プーチン氏のイスタンブール入りの可能性について「現在そのような計画はない」と否定した。ブラジル大統領府の発表によると、中国を訪問していたブラジルのルラ・ダシルバ大統領は14日、帰路に立ち寄ったモスクワの空港でプーチン氏と電話会談を行った。ルラ氏は、トルコでの協議に参加するよう促したが、説得は実らなかった模様だ。
タス通信によると、露外務省のマリア・ザハロワ報道官は15日、直接協議は露側が設定した枠組みだとする立場を強調した。協議の目的は「紛争の根本原因を排除し、持続的な平和に向けて進むことだ」と述べ、露側が主張してきたウクライナの非武装化などを協議で要求することを示唆した。
露側は今回の協議について、2022年春に決裂した両国間のイスタンブールでの交渉の「再開」だと位置づける。露側の団長に、前回協議でも交渉団を率いたウラジーミル・メジンスキー大統領補佐官を起用したのも交渉の継続性を強調する意味合いがあるとみられる。前回協議は、ウクライナ軍の規模の上限を定めるなど主権を大きく制限する内容をウクライナが受け入れず、物別れに終わった。
露側が今回、直接協議を持ち出したのは、停戦に消極的との非難を避けるための「時間稼ぎ」にすぎないとの見方も根強い。露軍は全域の支配をもくろむウクライナ東・南部4州で占領地を少しずつ広げているためだ。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は14日、露軍が大規模な攻撃の準備を進めているとのウクライナの情報機関の見方を報じた。
ウクライナのアンドリー・シビハ外相は14日深夜、トルコのアンタルヤで、ルビオ米国務長官と会談した。ウクライナ外務省によると、「今後の措置の詳細」を議論した。ウクライナはロシアが協議で停戦に応じない場合、米欧は経済制裁を強化すべきだと主張している。