トランプ大統領、プーチン氏と対面会談で局面打開目指す…ウクライナ和平交渉
2025年5月17日(土)0時33分 読売新聞
【アブダビ=池田慶太】ロシアによるウクライナ侵略を巡る和平交渉で、仲介役のトランプ米大統領は16日、プーチン露大統領との対面会談で局面打開を目指す考えを表明した。トルコで当事国による直接協議を実現させたものの、成果が望めないとして早々に見切り、戦略を修正した形だ。和平に向けた方針が揺らいでいる。
トランプ氏は、中東歴訪から帰国する大統領専用機内で記者団に「プーチン氏と私は会わなければならない。(和平に向けた課題を)解決できると思う。できないかもしれないが、少なくともどちらになるかは分かる」と述べた。
トランプ氏は当初、中東の歴訪先からトルコに直行し、和平交渉に参加する案を前向きに検討した。3年ぶりの直接協議にあわせて米露とウクライナの3か国首脳会談を実現させ、一気に停戦に持ち込む算段だったとされる。
13日のサウジアラビアでの演説では、「交渉はかなり良い結果を生む可能性がある」と発言。その後も「戦争を終わらせられるなら(トルコ行きを)考える」などと語っていた。
だが、プーチン氏の不参加が伝わり、協議への期待感が薄まると、態度を一変させた。トルコを「素通り」することを決め、当事国同士の直接協議から米露トップによる事態打開に戦略の重点を移した。プーチン氏とのトップ会談が実現しなければ「何も起きないだろう」とまで言い切った。
トランプ氏の和平仲介は、これまでも方針が二転三転している。
部分停戦を段階的に拡大させる案は、ロシアが対露制裁緩和を要求して行き詰まった。現在の戦線に沿って停戦ラインを設け、ウクライナに領土割譲をのませる案も頓挫。「30日の無条件停戦」を双方につきつけ、受け入れなければ制裁を科すと脅したが、戦闘はやまなかった。
トランプ氏はロシア寄りの立場で仲介を進めてきたが、ロシアが要求をつり上げて米国の提案がつぶされるケースが相次いでいる。トランプ氏は1対1の会談でプーチン氏の停戦に向けた真意を確認したい考えで、プーチン氏が協力姿勢を見せなければ制裁強化も選択肢として浮上している。