「平和主義だからこそ情報戦の力を」 明大・齋藤教授が語る国際情勢とサイバーセキュリティ
2025年3月5日(水)9時0分 マイナビニュース
「地政学リスクはサイバーリスクとニアリーイコール」——急速に変化する国際情勢において、サイバー空間は国家戦略の最前線となっている。2月25日〜27日に開催されたウェビナー「TECH+ フォーラム セキュリティ 2025 Feb. 今セキュリティ担当者は何をすべきか」で明治大学 サイバーセキュリティ研究所 教授の齋藤孝道氏は、世界で進行中の地政学的対立が日本企業のセキュリティ環境にどう影響するのか、そして企業はどのように備えるべきかを提示した。
地政学リスクとサイバーリスクの相関関係
齋藤氏は冒頭、現在の世界情勢を概観した。ウクライナ紛争、台湾問題、北朝鮮の憲法改正と国家戦略の転換、ミャンマーの内戦、イスラエル・パレスチナ問題など、世界各地で地政学的リスクが高まっていることを指摘。これらの紛争地域は「リムランド」と呼ばれる地帯で相互に影響し合い、第三次世界大戦のリスクが徐々に高まっていると警鐘を鳴らした。
特筆すべきは、現代の紛争における非軍事的手段の比重が増していることである。齋藤氏によれば、国家間の対立において非軍事的手段と軍事的手段の比率は6:4(一説には4:1)とされており、政治、経済、文化、輸出規制などを駆使した非軍事的手段が軍事行動の前段階として活用されていることを強調した。
また、情報技術の戦略的重要性について、2017年のプーチン露大統領の「AIを制するものは世界を制す」という発言を引用。同時期に米国がAI、データサイエンス、高度コンピューティング技術を国家安全保障戦略として位置付けていたのに対し、日本は官民データ活用や個人情報保護法の推進に留まっていた点を対比した。
2025年の3大サイバーリスク
続いて齋藤氏は、2025年のサイバーリスクとして次の3つを挙げた。
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