両備システムズ、バングラデシュで農業DXとカーボンクレジット創出に向けた実証

2025年3月6日(木)19時41分 マイナビニュース


両備システムズは3月6日、記者説明会を開き、バングラデシュにおいて効率的な農業を行い、生産性の向上に貢献するためAWD農法(間断灌水により節水、収量増加が見込める稲作農法)の浸透を図る目的で実証事業を開始すると発表した。今回の実証事業は経済産業省の「グローバルサウス未来志向型共創等事業」に採択されており、今後エリアの順次拡大を予定しているほか、AWD農法でメタンガスの発生を削減して地球温暖化対策にも貢献するという。
稲作生産量が世界3位のバングラデシュ
両備システムズでは、今回の実証を「農業データプラットフォームによる農業DXおよびカーボンクレジット創出事業」として進めていく。両備グループの海外事業展開については東南アジアを中心に倉庫管理や陸送事業を運営し、ベトナム、ミャンマーなどにコールドチェーンの物流倉庫を展開している。
一方、両備システムズは2019年に海外事業としてラオスにRyobi Laoを設立し、IT事業を展開してノウハウを蓄積してきた。ラオスでは、政府とデジタルエコノミーの共同研究についてMOU(基本合意書)を締結し、ITソリューションの適応・実装検討を重ねているほか、日本のシステム開発の一部をオフショア開発の形でラオス人エンジニアとともに取り組んでいる。
両備システムズ ビジネス戦略本部 グローバル推進室 室長の小野泰史氏は「今後、さらなる海外事業の拡大に向けてアジアへの進出を検討し、バングラデシュで活動している日本企業や現地企業とのつながりができたことから、バングラデシュでの事業検討を開始した。バングラデシュはITが急成長しており、脱炭素ソリューションの拡大を見据えて新たな分野における取組として今回の事業に至っている」と述べた。
バングラデシュは名目GDPが約4700億米ドル、経済成長率は6.0%であり、人口は1億7000万人、国土面積は14万7570平方キロメートルで人口密度が高い国だ。稲作生産量は中国、インドに次ぐ世界3位であり、農業従事者は3206万人、気候変動リスクは世界7位となっている。
バングラデシュにおける稲作の課題を解決するAWD農法
同国における農業の課題について、両備システムズ ビジネス戦略本部 グローバル推進室 海外戦略グループ リーダーの宮宅俊輔氏は「実際にヒアリングしたところ、農家の財政的困窮や担い手不足、農業技術の遅れ、資金調達手段の不足など効率化・生産性向上、収入の向上を希望している。これに対する解決策としては、マイクロファイナンスによる資金調達、農機具支援、営農指導員による技術支援、カーボンクレジット創出による還元が必要だと考えた」と話す。
そこで、技術支援する手法としてAWD農法を採用。これは、水田で稲の生育途中に田に水を満たした状態と、水を落として干した状態とを数日おきに繰り返す水管理技術。これにより、土壌からのメタン発生量を低減し、約35%のGHG(温室効果ガス)削減効果が得られ、節水・稲作の収穫量増加が期待されるという。
バングラデシュでは1年に3回(7〜8月収穫、12月〜1月収穫、3月〜5月収穫)の稲作周期があり、作付面積は1171万ha、生産量は約4000万トンとなり、GHG削減量は約3490万トンで、カーボンクレジット創出量に換算すると1047億円の経済価値を生み出すとされている。
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