富士通2024年度決算は増収増益、25年度までの中計に対し堅実な進捗をアピール

2025年4月24日(木)19時56分 マイナビニュース


富士通は4月24日、2024年度の連結決算を発表し説明会を開いた。全社連結での売上収益は前年比2.1%増の3兆5501億円、調整後営業利益は同15.8%増の3072億円と増収増益。一過性の損益を除く調整後当期利益は同2.2%増の2409億円で過去最高となった。
中期経営計画の最終年度に対し順調に進捗
決算説明会ではまず、代表取締役社長 CEOの時田隆仁氏が2025年度を最終年度とする中期経営計画の進捗状況について振り返った。現在主力であるサービスソリューションはDX(デジタルトランスフォーメーション)やモダナイゼーションの商談が特に伸長したほか、デバイスなどノンコア事業のカーブアウトも計画通りに進捗しているという。
非財務指標のうち環境面では、温室効果ガスの排出量が富士通グループで2020年度比46.9%減、サプライチェーンでは35.6%減となった。また、ネットプロモータースコアは2022年度比で5.6ポイント増加、一人当たりの生産性は37%増加した。従業員エンゲージメントは前年比で1ポイント減少とほぼ横ばい、女性幹部比率は1ポイント増加した。
時田氏は「人材面の改善に向けては従業員の声を取り入れ、一人一人のウェルビーイングに着目した施策に注力しており、2025年度も継続していく」と説明した。
2024年度の戦略 - 事業別に振り返り
2025年を最終年度とする現行の中期経営計画においては、2030年およびそれ以降に向けて持続的な成長と収益力向上に向けたモデル構築を進めるとしている。この目標達成に向け、事業モデル・ポートフォリオ戦略、カスタマサクセス戦略 / 地域戦略、テクノロジー戦略、リソース戦略の4つの重点戦略を掲げる。
同社はこれら4つの戦略により、事業モデルと事業ポートフォリオの変革、顧客のモダナイゼーションの確実なサポート、海外ビジネスの収益性向上を図っている。
事業モデル・ポートフォリオ戦略では、従来型のSI事業からFujitsu Uvanceを中心にクラウドやビジネスアプリケーション、クロスインダストリーなどへの変革を進めているという。特にFujitsu Uvanceの拡大が顕著で、売上は前年比31%増の4828億円と当初計画の4500億円を上回った。
従来のSI事業の商談から、顧客の経営変革のアジェンダ策定から実装まで支援するコンサルティングへと商談の質が変化しつつある。また、Fujitsu Uvanceで提供するオファリングのグローバルでの標準化やリカーリング率が向上している。今後も継続してコンサルティングビジネスを拡充し、2025年度に7000億円の売上を目指す。
カスタマサクセス戦略 / 地域戦略では、モダナイゼーションの受注と売上が共に確実な伸長を見せ、売上収益は前年比86%増の2969億円。リソースの効率的かつ機動的なアサインや、同社が認定するモダナイゼーションマイスター(専門人材)の育成などが効果を発揮した。
テクノロジー戦略においては、AIやコンピューティングを中心に差別化要因となる技術強化と戦略的提携を図った。AIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi」にCohereと共同開発したLLM(Large Language Models:大規模言語モデル)「Takane」を搭載したほか、256量子ビットの超伝導量子コンピュータを開発。今秋には川崎市に量子コンピュータ専用施設の竣工が控えている。また、次世代プロセッサ「FUJITSU-MONAKA」の開発に向け、SupermicroおよびAMDとの戦略的協業も発表した。
リソース戦略では、事業ポートフォリオと連動した人材ポートフォリオの変革を進める。人事制度として新卒の一括採用を廃止し、ジョブ型の採用と処遇に統一する。この制度は2026年4月以降の新卒入社者にも適用される予定だ。また、2020年度に導入したポスティング制度は自律的なキャリア形成の手段として定着しており、年平均3000人が制度を利用して異動を希望している。
時田氏は「当社は6月に創立90周年を迎える。時代の変遷とともに提供する商品やサービスは変わったが、テクノロジーで人を幸せにするという、企業活動の根底にある考え方は今も大切に持ち続けている。テクノロジーの進化は環境・資源問題、地域間の紛争、格差といった社会問題に対し、新たな解決策を創出する可能性を持っている。豊かな社会の実現にテクノロジーを通じて貢献していく」と述べた。
Fujitsu Uvanceを中心にサービスソリューションが拡大
同社が主力とするサービスソリューションは、売上は前年比5.1%増の2兆2459億円。特に4828億円(前年比31%増)のFujitsu Uvanceと2010億円(同70%増)のモダナイゼーションが成長をけん引した。調整後営業利益は527億円増となり2899億円。増収効果に加えて採算性の改善が功を奏した。
Fujitsu Uvanceは3つのキーテクノロジーで構成されるHorizontal領域で需要が伸び、事業拡大を支えた。サービスソリューション全体に占める売上構成比は前年の17%から21%へと拡大。2025年度にはこれをさらに30%まで拡大させる計画。
ハードウェアソリューションの売上収益は前年比1.1%増の1兆1199億円。システムプロダクトは前年の新紙幣対応の需要や大型好採算商談の反動を受けた。ネットワークプロダクトは需要回復の動きに大きな変化が無く、売上水準は継続して低水準。
ユビキタスソリューションの売上収益は前年比7.9%減となる2517億円だが、調整後営業利益は同29.6%増の313億円。。低採算となっていた欧州ビジネスを2024年4月に収束し国内ビジネスへ集中したことで採算性が改善し、減収ながら増益。
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