8K/30fpsで撮影できる「Insta360 X4」は想像以上のデキ 気になる発熱と録画可能時間を検証してみたら

2024年4月26日(金)12時0分 ITmedia PC USER

劇的な高画質化を果たした「Insta360 X4」

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 コンシューマー向けの360度(全天球)カメラとして数少ない8K撮影に対応した「Insta360 X4」──前回の記事で「Insta360 X3」「Insta360 ONE RS 1インチ360度版」との画質の差をレポートしましたが、今回はさらに1歩踏み込んだInsta360 X4の実力に迫ってみましょう。
●8K撮影の発熱は?
 Insta360 X4は8K/30fpsの360度動画撮影に対応していますが、いざそのモードを選択すると「設定によっては本体の温度が上昇する可能性があるので、風の強い場所や移動中に使用してください」というアラートメッセージが表示されます。コンパクトなボディーながら8K撮影を実現しているため、ハードウェア側に大きな負担がかかり、撮影中にオーバーヒートする可能性があることを示唆しています。
 これは不安です。実際に、心ゆくまで撮影することができるのでしょうか。
●4K/60fps 風なし(屋内撮影)では100分19秒
 発熱しやすいカメラセンサーを2つ、それも近い位置に配置せざるを得ない360度(全天球)カメラ。それでもInsta360 X4は4K/60fpsの設定で連続で100分19秒の撮影が可能でした。バッテリーの電力を喰らいつくすように、ギリギリまで録画を行ってくれました。
 なおビットレートは約100Mbpsです。これはUHSスピードクラス3、ビデオスピードクラスV30のmicroSDメモリーカードで十分に録画できる範囲です。
●4K/60fps 風あり(テラス撮影)では90分52秒
 続いて本体の熱を冷ましてくれるであろう風が通るテラスで撮影してみると、連続で90分52秒と、風がない屋内撮影時よりも録画時間が10分ほど短くなっていました。
 分割保存されたファイル容量は合計で72.6GBでした。512GBのmicroSDメモリーカードを使ったため、容量不足になったということではありません。単に誤差の範囲なのか、あるいは動きが多い空を広く捉えていることから録画時にバッテリー消費が早まったのでしょうか。
●8K/30fps 風なし(屋内撮影)では50分22秒
 今回のテストでは最も過酷な状況となる、室内での8K/30fps撮影です。三脚に据え置いた状態のため、歩きや乗り物の車載動画のように風が当たることはありません。センサーが発した熱を本体内に抱え込んだまま、一体何分間の撮影ができるのでしょうか。結果は連続で50分22秒でした。
 なお室内気温は22度でした。夏場の暑い時期や、冬の冷えた環境ではまた結果が異なると考えられるため、参考スコアとして捉えてください。
 いったん冷えてから再起動すると、「異常を検出しました。カメラは前回使用中にオーバーヒートのため自動的にシャットダウンしました」というメッセージが表示されます。バッテリー消費は33%でした。
 撮影中は手で触れられないほど熱くなっており、冷却ファンなどを持たない自然冷却構造の小型高画素カメラの過酷さを感じましたが、今回の撮影時間については、個人的にはかなり好印象です。正直、30分も録画し続けられないのではと想定していました。
 ただ何かしらのトラブルでしょうか。発熱した状態でも手持ちしやすくなる本体カバーをつけた状態で室内での8K/30fps撮影を行ったときはファイルの保存がされていませんでした。通常状態よりも熱がこもりやすく、シャットダウン中の処理がうまくいかなかったケースが考えられます。
●8K/30fps 風あり(テラス撮影)では75分13秒
 続いてテラスでの撮影に挑みます。風のおかげかバッテリーを使い切ることができましたが、録画時間は連続で75分13秒でした。
 バッテリーの33%分を使って約50分撮影できた室内環境と比較して、バッテリーの減りが早いのではないかと感じます。風があたっている環境であっても、本体の熱が高いと、バッテリー消費が指数関数的に進みやすいと考えられます。
●動画ファイルは30分ごとに分割
 Insta360 X4で長時間録画を行うと、30分ごとにファイルを切り分けて保存します。これはInsta 360 X3など旧モデルも同様です。万が一のトラブルでファイル保存の処理がうまくいかなかったとしても、30分まで、60分まで、90分まではデータは保管できるメリットだと考えるといいかもしれません。
●前後センサーの動画ファイルは1つにまとめられる
 実はInsta 360 X4の改善点の1つに、2つのセンサーで捉えた前後面の動画ファイルの一体化があります。Insta360 X3は画角が半球の動画ファイルをそれぞれ別で保存していますが、Insta360 X4は1つのファイルに全天球の動画データを収めています。
 以下のスクリーンショットを見てください。上の3つのファイルはInsta360 X3のもの。下の2つのファイルはInsta360 X4のものとなります。同じ位置で、同じ秒数だけ撮った動画のファイルですが、拡張子「INSV」のファイル数が異なります。
 1つのファイルにまとめてしまうと「前後の映像のステッチングの調整がしにくいのではないか」という不安は杞憂です。編集ソフトであるInsta360 Studioで読み込むと、正常(通常時)、レンズガード装着時や、ステッチ幅を調整できるカスタムの項目が用意されており、ポストプロダクション作業ができることが分かります。
 なお拡張子「IRV」ファイルは低画質のプレビューファイルです。
●サードパーティーからNDフィルターが出る可能性も
 保護フィルターになりえるレンズガードの脱着機構を持ち、ステッチ幅が調整できる編集ソフトが用意されているInsta360 X4は、純正のレンズガードではなくサードパーティーのレンズガードも使いやすい全天球カメラとなりました。
 Amazonには既にサードパーティー製のレンズガードが安価で販売されています。この状況は、レンズガード形状のNDフィルターなどが販売されるのではないか、という期待感につながります。さすがに球面状のレンズガードに偏光膜を貼ったPLフィルターは作るのが難しいかもしれませんが、期待したいところです。
●“見えない自撮り棒”がしなりやすい重さに
 Insta360 X4を使っていてややネガティブに感じたところもあります。画像処理で映像に写らない純正自撮り棒「見えない自撮り棒」などを使って遠くの位置から撮影しているとき、Insta360 X3よりもしなりやすくなった点です。
 Insta360 X3の180gに対し、Insta360 X4の重さは203gに増加しています。たったの23グラムと思われるかもしれませんが、割合で計算すると13%ほど重くなりました。長い自撮り棒の先端にあるモノが重くなった分、風や振動の影響を受けやすいのは仕方がないところでしょう。この点には注意が必要です。
●独自の映像を得られる楽しさを手軽に高画質で
 とはいえ、高画質化したInsta360 X4の面白さはとても魅力的です。アクションカムのように超広角カメラとして映像の一部を切り出しても十分納得できる解像度があります。
 さらに全天球カメラならではの小惑星視点や、ワープをしているような視点に変更して切り出すこともできます。ポストプロダクション作業で作る画角ですが、まるでVJのように映像遊びをしているような感覚が味わえるのも楽しいところ。
 普通のデジカメやスマートフォンのカメラでは撮れない、とびっきりの映像/写真を記録したい方は要チェックです。

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