モバイル通信の体感品質はauが優秀、ドコモの「一貫した品質」1位挑戦は次回に持ち越し Opensignalが発表

2025年4月28日(月)12時30分 ITmedia Mobile

Opensignalの調査指標

 独立系調査会社の英Opensignalは、4月25日、最新の日本モバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポートを発表し、報道関係者向けの説明会を開催した。レポートは1年に2回、4月と11月に公表され、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルのユーザーが実際に体感したモバイルネットワークの品質を分析したものとなる。
 Opensignalの調査項目は、まず、ユーザーがさまざまな場所を訪問したときに、ネットワークが利用できるかどうかの「カバレッジ」、そこで実際にネットワークにつながって通信できるかどうかを確認する「信頼性エクスペリエンス」、さらに6つのKPIを十分達成できるかどうかを調べる「一貫した品質」をチェックしている。
 その上で、「アップロード/ダウンロードスピード」「音声アプリエクスペリエンス」「ビデオエクスペリエンス」「ゲームエクスペリエンス」「ライブ・ビデオエクスペリエンス」という5つの体感を確認している。
 また、「利用率」は、ユーザーが2Gから5Gまでの各技術に接続している時間の割合を示している。日本の場合は 3G、4G、5Gの利用率が調べられている。
●多くの項目でauが1位を獲得
 レポートについて、同社の主席アナリスト、ロバート・ヴィルジコウスキー氏が説明した。
 SNSやオンラインTV、配信動画の体感を調査したビデオエクスペリエンスでは、auが5Gの場合も、3G、4G、5Gを合わせた全体の体感でも1位を獲得した。ちなみに前回、2024年11月のレポートでは、5Gビデオエクスペリエンスではソフトバンクと同点だった。
 ヴィルジコウスキー氏の説明によると、5Gビデオエクスペリエンスでは、「デバイスの組み合わせ、デバイスの設定、バッテリー寿命、データ消費量、ビデオ性能のバランスをとる携帯電話事業者の努力など、いくつかの要因が最終結果に大きな影響を与える可能性がある」という。
 スポーツ中継やゲームのストリーミング、コンサートなどライブ中継の体感を調べるライブ・ビデオエクスペリエンスでも、auが5G、全体とも1位となった。
 事業者のネットワークで、ユーザーがマルチプレイヤー・モバイルゲームをどのように体験するか測定するゲームエクスペリエンスでも、auが1位を獲得した。
 LINEやWhatsAppなど、OTTの音声通話の体感を調べる音声アプリエクスペリエンスも、auが5G、全体とも1位となっている。
 5Gダウンロードスピードが最も速かったのはドコモで平均168.0Mbps。スコアが前回より14%アップし、前回1位の楽天モバイルを抑えた。
 全体のダウンロードスピードで1位となったのはauで平均55.8Mbps。なお、スコアが最も伸びたのはソフトバンクで、25%アップしたという。
 アップロードスピードは、5G、全体とも楽天モバイルが他を大きく引き離して1位となった。
 5G利用率はソフトバンクが1位になった。ソフトバンクのスコア(16.2%)は、同社のネットワークを利用する5Gユーザーが16%以上の時間をアクティブな5G接続に費やしたことを意味する。ちなみに、前回はソフトバンクとauが同率1位だった。
 全体の利用率は、ドコモとauが99.7%で同率1位となった。
 カバレッジは今回もドコモが、5G、全体とも1位をキープ。このスコアは、「ドコモが日本の携帯電話会社の中で、全体的なカバレッジと人口密集地での5Gカバレッジにおいて、最も広く、最も大きな地理的フットプリントを有する」(ヴィルジコウスキー氏)ことを意味する。
 ユーザーがモバイルネットワークに接続し、タスクを問題なく遂行できるかどうかを示した信頼性エクスペリエンスは、auが前回に続き1位を獲得した。
 成績を表でまとめると、auの好成績が際立っている。Opensignalは日本の8つの地域でも調査を行っており、その結果でもauが最も多く1位を獲得しているという。
●調査方法変更のため「一貫した品質」の結果はなし
 なお、今回のレポートでは「一貫した品質」の結果が省かれている。一貫した品質の算出方法が変更され、日本市場の特性を考慮して算出することになったという。しかし、データの収集期間に算出方法が変更されたため、「皆さんに紹介する上で、一貫性を担保するために、今回のレポートでは一貫した品質は省くという判断をした」とヴィルジコウスキー氏は説明した。
 また、同社のAPAC バイスプレジデント、ロブ・ラーナー氏は、「端末のOSバージョンが変わる際に、新機能の搭載や機能の変更が行われ、私たちのような調査会社が測定するために使えるデータも変わっていく。そのため、私たちは定期的にテスト方法を更新し、最新のOSやデバイスに対応する必要がある」と、算出方法を変更する理由を説明した。
 一貫した品質については、ドコモの前田社長が2024年度中に1位獲得を目指すと話していたが、今回、調査結果が公開されなかったことで、ドコモの1位獲得挑戦は次回、2025年11月に持ち越しとなった。
●日本のキャリアは「世界でもトップレベルの通信を誇っている」
 日本のモバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポートの他に、Opensignalはさまざまなレポートを公表している。今回は4つのレポートが紹介された。
 1つ目は、ユーザーに最高の体験を提供した世界中のモバイルネットワークを毎年表彰する「Opensignal Global Awards」。2025年のGlobal Awardsでは、large land area group部門で日本の事業者が大健闘した。auは、信頼性エクスペリエンス、ゲームエクスペリエンス、音声アプリエクスペリエンスでGlobal Winnerを受賞。他3キャリアもいくつかの分野でGlobal Leaderを受賞しており、「世界でもトップレベルの通信を誇っている」(ヴィルジコウスキー氏)。
 2つ目は東京・山の手線のユーザー体感調査の結果だ。山の手線は「世界で最も混雑している鉄道路線の1つ」(ヴィルジコウスキー氏)であり、何百万人もの通勤客に高速で快適なネットワークを提供するため、山手線周辺に5Gインフラを配備している。
 5G利用率はソフトバンクが他社をリード。ソフトバンクユーザーは40%以上の時間を5Gで接続していることを意味する。auも全体的に好成績だ。
 大阪・関西万博が開催されている夢洲、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンがある大阪市此花区のネットワーク品質についても公表されている。ダウンロードスピードはソフトバンク、アップロードスピードは楽天モバイルがトップ。また、5G利用率はソフトバンクが約55%と最も高い。ちなみに、「4キャリアとも、此花区における5G利用率のスコアは、全国的な結果と比べて約3倍から4倍高い」(ヴィルジコウスキー氏)という。
 4つ目は、5月に発表予定となっている「Rural-urban experience in Japan(日本の都市部と地方部におけるモバイルネットワークの体感の比較)」レポートから一部先出しされたものだ。
 地方の方が、都市部より通信速度、信頼性も低い結果となっている。特に低かったのが、ダウンロードスピード、アップロードスピード、信頼性エクスペリエンスだ。また、地方では電波の利用率も低い。電波のない時間(Time with no signal)は、都市部の0.4%に対し、地方では0.9%と2倍以上ある。
 また、地方ではモバイル通信の依存度が都市部より高い。Wi-Fi接続時間が地方の方が都市部より大幅に短いことも示されている。
 ヴィルジコウスキー氏は、「ドコモは地方で優れていて、auは都市部で非常に優れている」と評した。5月に公開されるレポートで詳細な情報が公表される。

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