視野角がグンと広がり暗視性能も強化 Ringの屋外用ネットワークカメラ「Outdoor Cam Plus」を既存モデルと比較して分かったこと

2025年4月30日(水)16時5分 ITmedia PC USER

Amazonで販売中の「Ring Outdoor Cam Plus」。実売価格は1万2980円だ。今回紹介するバッテリーモデルに加え、電源アダプターモデルも用意されている

 Ringの屋外用カメラに新製品「Outdoor Cam Plus」が登場した。同社の屋外用カメラはこれまで、センサーライトを搭載しバッテリーを2個内蔵可能な上位モデル「Spotlight Cam Plus」と、標準モデル「Stick Up Cam Battery」があったが、本製品はその中間を埋める存在だ。
 本製品はバッテリーモデルと電源アダプターモデルがあり、今回は筆者が購入したバッテリーモデル(ホワイト)について試用レポートをお届けする。
 なお以下の機能紹介は有料プラン契約済みであることを前提としているので、ご了承いただきたい。
●従来モデルより一回り大型化
 本製品の外観は、下位にあたる標準モデルであるStick Up Cam Batteryとほぼ同一だ。底面と背面に付け替えられるスタンドを搭載していることや、交換式バッテリーを採用するのも同様である。
 しかし、サイズやスペックなどは大きく変化している。まずボディーサイズは一回り大きくなり、直径は約6cmから約6.7cmになり、高さは約9.7cmだったのが約12.8cmと、約3cmも大きくなっている。
 従来なかったギミックとして、スタンドに伸縮機構が追加された。従来モデルで、本体とスタンドをつなぐボールジョイントで変えられる角度がほんのわずかだったが、本製品はこの伸縮機構を併用することで、ダイナミックに上や下に向けられる。固定方法にやや難があるものの(詳細は後述)、可動範囲の狭さがこれで解消されたことになる。
 またオプションのソーラーパネルを接続する本体の給電用ポートが、専用形状からUSB Type-Cへと改められた。これまでは変換アダプターを用いてソーラーパネルのUSB Type-Cを専用コネクターに変換していたので、それが不要になったことでシンプルな配線が可能になっている。
 交換式バッテリーは従来と共通の規格で、相互に入れ替えも可能だ。本製品と同時に発表されたドアベル「Ring Battery Doorbell」はバッテリーが内蔵式に変更されていたが、本製品で採用されているのを見る限り、規格自体がなくなるわけではなさそうで、既存モデルのユーザーは一安心だ。
 もっとも、バッテリーの充電ポートはUSB microBのままで変わらない。USB Type-Cにモデルチェンジするとなると他製品にも影響するので簡単ではないだろうが、本製品は本体側の給電ポートがUSB Type-Cに差し替わっているので、1の製品にUSB Type-CとUSB microBが共存するというおかしな状態になっている。そろそろ潮時ではないかと感じるのは、筆者だけではないだろう。
●取り付け方法は従来と同じ 伸縮可能なスタンドは微妙?
 取り付け方法について見ていこう。本製品は据え置きでの設置にも対応するが、屋外に設置するとなると壁面取り付けがベターだろう。この場合、底面にあるネジを外してスタンドを取り外し、背面の穴に付け替える必要がある。後はスタンド底面のプレートを先に壁面にネジ止めし、そこにはめ込めばよい。
 なお、本製品は前述のようにスタンドに伸縮機構が追加されたため、より角度調整の自由度が増している。とはいえ決まった角度で保持するのは難しく、ネジでしっかり締めても、自重でじわじわと角度が変わることもしばしばだ。イタズラなどでも簡単に向きを変えられてしまうため、このスタンドにあまり頼らずに設置を済ませられれば、それに越したことはないだろう。
●新たに「車」の検知に対応
 セットアップは従来と同じくRingアプリを使って行う。試した限りでは従来と大きく異なるフローはなく、数分もすればスマホから映像が見られるようになる。このセットアップの時点では詳細な設定までは完了しておらず、追加で設定が必要になる点なども、既存のモデルと同様だ。
 この設定画面を見た限りでは、Stick Up Cam Batteryとの大きな相違点は2つある。1つはスマートアラートの区分で、「人物」と「その他のモーション」に加えて「車」が追加されたことだ。上位モデルのSpotlight Cam Plusでは既に搭載されていたが、同じく屋外用である本製品も併せて対応したことになる。録画した映像を絞り込むイベントタイプにも同様に「車」が追加されている。
 ビデオでは新たにHDRに対応したことから、その有効と無効とを切り替えるスイッチが追加されている。これ以外では、対応アクセサリの一覧に電源アダプターが追加されているといった細かい違いを除けば、基本的には同一だ。
 余談だが、これらの設定画面には、本製品のことを“Stick Up Cam”と記載している箇所がいくつかある。もしかすると本製品は当初はStick Up Camの新モデルという位置づけだったのが、リリース直前に別型番へと変更されたのかもしれない。Amazonでは過去にFireタブレットでもこうした事例があったので、可能性はありそうだ。
●視野角が広がり暗視性能も強化
 さて、機能面について見ていこう。まず何といっても一目瞭然なのが視野角の広さだ。従来は水平110度/垂直57度だったのが、本製品は水平140度/垂直80度へとより広い範囲が映るよう改善されている。標準モデルのStick Up Camは上位モデルのSpotlight Cam Plusより視野角が狭いモデルという位置付けだったが、本製品で追いついた格好だ。
 同じ場所に設置して撮影すると、その違いは明らか。自宅周囲を監視するのに、これまでは2台を使わなければカバーできなかった範囲が、本製品であれば1台だけでカバーできるケースもあるだろう。敷地が狭く、足元まで捉えたい場合にも有効だ。
 本製品はローライトサイト機能という、街灯程度の明るさでもカラーで撮影可能な機能を新たに搭載している。確かに、薄暗い環境では従来モデルがカラーナイトビジョンをオンにしていてもほぼモノクロなのに対して、本製品はしっかりとカラーで描写される場合がある。ただし画質はややザラつくので、好き嫌いはあるかもしれない。
 一方で2K対応や、HDRへの対応も追加されているが、筆者環境では帯域の関係もあってか、従来のStick Up Camと比べて極端な違いは見受けられなかった。どちらかというと、細かいパターンがベタ塗りになってしまうなど、ディティールが省略される様子が見られるのが気になった。
 いずれにしても感じるのは、同じメーカーのカメラとは思えないほど、画作りの方向性が変わっているということだ。全体としては間違いなく進化しているのだが、既存モデルを使い込んでいたユーザーからすると、戸惑いがあるかもしれない。
 他にも、双方向の音声でのやり取り、サイレン機能はもちろん、Echoデバイスからの映像視聴といった機能は、従来のStick Up Cam Batteryと変わらない。ざっと確認した限りでは、Stick Up Cam Batteryにあって、本製品で省かれた機能はないようだ。
 その他の変更点としては、従来は非対応だった5GHz帯のWi-Fiに対応したことが挙げられる。日本では電波法の関係で屋外では利用できないが(5GHz帯の中でもどの帯域なのかは記載がなく不明)、屋内利用時は恩恵を受けられるだろう。同じ場所に設置した従来モデルと比較すると、Wi-FiのRSSI値もいくらか高く出るようだ。
 この他、防水防じんはIP55から上位モデルのSpotlight Cam Plusと同じIP65へと強化され、より過酷な環境で使えるようになっている。
●屋外利用時はライト非搭載であることに注意
 以上のように、画質を中心に全体的に機能のアップグレードが図られている。実売価格は1万2980円と、Stick Up Camの8980円からはかなり値上がりしているが、これだけの機能/性能の強化で3千円アップにとどめたのはむしろ健闘している方だろう。
 また上位モデルにあたるSpotlight Cam Plusは2万4980円とかなりの価格差があり、かつ本稿執筆時点ではStick Up Camも併売されているので、ラインアップが2モデルから3モデルに増えたと考えれば、各製品の価格帯のバランスも悪くない。
 ラインアップ内での位置付けについてもチェックしておこう。
 本製品は屋内利用にも対応するが、屋内向けとしては格安のIndoor Camに加えて、本製品より5千円安いにもかかわらずパンチルトに対応したPan-Tilt Indoor Camもあるので、やや宝の持ち腐れという印象がある。どうしても高解像度のモデルが必要な場合などに限られるだろう。
 屋外利用においては、上位のSpotlight Cam Plusにあって本製品にない機能、具体的にはLEDセンサーライトを必要とするかで判断するとよい。防犯用途ではライトがあった方が望ましいので、本当に必要ないのかは確認しておきたいところだ。また本製品は電源アダプターモデルも用意されているので、選ぶにあたってはその存在も頭に入れておきたいところだ。

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