シンプル&楽しいカメラで使いやすさがアップした「Xperia 10 VI」を試す

2024年5月15日(水)18時27分 マイナビニュース

「Xperia 10 VI」は、ソニーのXperiaシリーズの中でも、手に取りやすい価格と使いやすさにフォーカスしたモデルです。ディスプレイは6.1インチFHD+の有機ELで、SoCにはミドルレンジ向けのクアルコム製「Snapdragon 6 Gen 1 Mobile Platform」を採用。メモリーは8GB、ストレージは128GBとなっています。発売は7月上旬以降の予定で、キャリア各社からのほか、オープンマーケット向けにも販売されます。オープンマーケット向けの価格は、前モデル発売時よりも少し値上げされて、70,000円前後になる見込み。1週間ほど試用する機会を得たので、使ってみた印象をレポートします。
「Xperia 10 VI」を手にしてまず実感するのは、その軽さと持ちやすさです。前モデル「Xperia 10 V」の約159gと比べると5gほど重くなってはいるものの、164gという重さは、6インチ以上でバッテリー5,000mAhのスマホでは引き続き最軽量クラス。縦に長いアスペクト比21:9のディスプレイを搭載することもあり、サイズも高さ155×幅68×厚さ8.3 mmと、特に横幅がとてもスリムでぎゅっと握れます。普段、大きく重たいスマホに慣れている筆者からすると、ちょっとうらやましくなる軽さと持ちやすさです。
このサイズでバッテリーは5,000mAhを搭載。かつ「2日持ち」とアピールしています。ソニーによればこの「2日持ち」とは、「Xperiaユーザーのバッテリー使用プロファイル標準値から、インターネット閲覧・動画閲覧・ゲーム・その他の機能を1日あたり360分利用(1,080分の待機時間)することを想定したテストで、48時間利用してもバッテリーが残ることを意味する」とのこと。今回は残念ながら、バッテリー駆動時間のテストができなかったのですが、朝から1日写真を撮りまくっても、帰宅時にまだ70%以上バッテリーが残っていました。高精細な動画を視聴しても、電池が一気に減るようなことはなかったので、スペックどおり2日くらいは余裕で持ちそうではあります。
生体認証は今回も指紋認証のみで、指紋センサーを兼ねた電源ボタンを押すことで、電源オンと同時にロック解除が可能。サイズ感や形状も前モデルから大きく変わりません。
一方で大きな変更を加えられたのがカメラです。前モデルでは広角/超広角/望遠の3眼でしたが、望遠がなくなって、約4800万画素/F値1.8/26mm相当の広角メインカメラと、約800万画素/F値2.2/16mm相当の超広角カメラの2眼になりました。
約4,800万画素のメインカメラは、4つのピクセルをまとめてより多くの光を取り込む「ピクセルビニング」を採用。写真として実際に記録される画素数は、1/4の1,200万画素になります。「Xperia 10 VI」では標準の26mmだけでなく、2倍にあたる52mmでも、元の約4,800万画素から画質を劣化させることなく、1,200万画素での切り出しが可能。望遠カメラが搭載されていなくても、光学2倍相当のズーム撮影をサポートしています。0.6倍/1倍/2倍をワンタッチで切り替えられるほか、画質は劣化しますが、ピンチ操作で最大6倍までのデジタルズームも可能です。以下はズームの撮影例です。
ズームの撮影例
前モデル「Xperia 10 V」でも、その前のモデルからカメラのUIが変わっていましたが、今回もまたカメラのUIが変更されています。頻繁なUIの変更は旧モデルからの乗り換えユーザーが戸惑うと思うのですが、今回の変更では同時に発表された上位モデルの「Xperia 1 VI」シリーズとUIを統一したとのこと。ただし本機は「Xperia 1」シリーズに比べて機能が少ないので、その分だけ操作がシンプルになっています。たとえば撮影モードは、「パノラマ」「ぼけ」「写真」「動画」「スロー」を横にスライドさせることで切り替え可能です。
「ぼけ」とはいわゆるポートレートモードで、被写体の背面のボケ味の具合をスライドバーで調整できます。「写真」だけでなくこの「ぼけ」や「動画」でも、9種類の設定から好みの色味で撮影できる「ルック」機能が利用できるようになっています。一度好みの「ルック」を設定しておけば、次からもその設定で撮影ができるので、いちいち設定をしなおす必要がありません。「ルック」は約800万画素でF値2.0、焦点距離26mm相当のフロントカメラでも利用できます。
いわゆるマニュアルモードやプロモードに該当するものありませんが、設定の「マニュアル調整」で「フォーカス」や「シャッタースピード」をオンにすれば、これらを自分でカスタマイズして撮影することも可能。とはいえせっかくシンプルなUIになっているので、このスマホではあれこれ考えずに気軽にシャッターを押す、スナップ撮影を楽しむ方が良さそうです。以下は、モードを「写真」や「ぼけ」にしてシャッターを押しただけの写真です。
撮影例
標準の写真アプリには、引き続きシンプルに「Googleフォト」。さらに動画向けには、これまでは上位モデルにのみ提供されていた、ショート動画を簡単に作成できる「Video Creator」もインストールされています。試しに作ってみましたが、「おまかせ編集」の場合は、素材を選ぶだけで驚くほど簡単に動画作成が可能。動画の長さや音楽を指定するだけで、あっという間にショート動画ができあがり、すぐにSNSにシェアできます。
その動画を再生した際に、スピーカーから思いの外、迫力のある音が鳴ったのも驚かされたポイントでした。ソニーによれば、フロントステレオスピーカーの最大音圧レベルが、前モデルよりも約12%向上しているとのこと。低音域は70%以上、高音域で40%以上も音圧がアップしているそうです。音楽だけでなく、映画視聴時にはセリフも聞き取りやすいと感じました。オーディオは前モデル同様、ワイヤレスでもハイレゾが楽しめる「LDAC」や、圧縮音源をハイレゾ相当に持ち上げる「DSEE Ultimate」をサポート。「360 Reality Audio」の再生も可能となっています。
このほか、21:9と縦長のディスプレイはマルチタスクにも向いています。Xperiaシリーズには「サイドセンス」と呼ばれるランチャー機能が用意されていて、ここにあらかじめアプリをペアで登録しておくと、常に2画面表示で呼び出すことができます。筆者の場合、地図とWEBブラウザは割とよく使う組み合わせ。お店の場所を調べつつ、詳しいメニューを見たりするのに便利です。
「Xperia 10 VI」はぶっちゃけていうと、前モデルの「Xperia 10 V」から劇的に進化したというわけではありません。しかし、軽さとバッテリー持ちの良さ、必要十分なスペック、ソニーらしいディスプレイやサウンド性能に、今回、上位モデルと統一されたカメラUIや動画編集アプリも加わって、スマホとしての楽しさと使いやすさのバランスは、さらに向上したように思います。またIPX5/IPX8をサポートする防水性能に、バッテリーを長持ちさせる「いたわり充電」機能、2回のOSアップデートと4年のセキュリティアップデート保証など、安心して使える要素も揃っています。一方で、昨今の状況を考えれば値上げもやむを得ないとはいえ、従来モデルに比べて価格にはやや割高感があります。キャリア向けモデルのキャンペーンや、購入プログラムで一体いくらになるかに期待したいところです。
著者 : 太田百合子 おおたゆりこ テックライター、エディター。インターネット黎明期よりWebディレクションやインターネット関連のフリーペーパー、情報誌の立ち上げに携わる。以降パソコン、携帯電話、スマートフォンからウェアラブルデバイス、IoT機器まで、身近なデジタルガジェットと、それら通じて利用できる様々なサービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆活動を続けている。 この著者の記事一覧はこちら

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