12年目の開幕戦は厳しい結果となった佐藤琢磨「テレメトリーが壊れなければ2ストップもできたが......」
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨にとって参戦12年目となるNTTインディカー・シリーズの開幕戦がアラバマ州のバーバー・モータースポーツパークで行われた。
昨年はコロナの影響でバーバーのレースは中止され、2年ぶりの開催。2019年のレースは佐藤琢磨がポール・トゥ・ウインで優勝していた。
また今年はF1からロマン・グロージャンがデイル・コイン・レーシング・ウィズ・RWRから参戦。NASCARチャンピオンのジミー・ジョンソンがチップ・ガナッシ・レーシングから、チーム・ペンスキーもオーストラリアンV8チャンピオンのスコット・マクラフランを起用するなど話題豊富な開幕戦となった。
2月のバーバーのテストでは路面の舗装が変わり大幅にタイムアップしていたというが、そのテストに参加した琢磨も、それ以来バーバーのセットアップに苦しんでいたと語る。今年は2デイに日程変更されていたが、そのタイトなスケジュール変更も琢磨とチームには逆風だった。
45分のプラクティスが2回の後すぐに予選となり、大きな変更マシン変更がしづらい土曜日となる。
そして悪い予感が的中したように1回目のプラクティスが1分7秒5349で20番手、2回目のプラクティスが、1分7秒2764と後方に沈んでしまった。
上位陣のガナッシやアンドレッティオートスポーツ勢は1分6秒台前半のタイムを刻んでいることを思うと1秒以上のギャップがあったのだ。それはチームメイトのグラハム・レイホールも同様だ。
予選はグループ1に割り振られた琢磨は、レッドタイヤを履いて1分7秒1026でグループ10番手、総合でも19番手と厳しいグリッドになった。
「マシンは少しづつ良くなっているんですけど、もうちょっとリヤのスタビリティが安定しないとレースも厳しくなりそう。レッドを履いたら少しは良くなるとは思っていたんだけど……。明日の決勝は少し違う方向性も試さないといけないでしょう」と振り返る。
昨年からRLLのチームはロードコースのセッティングに苦しんできたが、なかなかその光明を見出せないでいる。
日曜の朝は、30分のウォームアップが設けられていた。そこで劇的な改善は見られなかったものの、琢磨は「少しは良くなってきました。レースは2ストップか3ストップになるかわからないけど、無難に考えたら3ストップの方がタイヤ交換のウインドウをフレキシブルに考えられるから、そのほうが何があっても対応できると思う」と決勝への期待を語った。
そしてその期待通りに、レースはスタート直後にイエローコーションが発生する事態となった。
スタートをうまく決めてターン1〜2と切り返していった琢磨は前のライアン・ハンター-レイ、シモン・パジェノーらをかわしていたが、ヘアピンへの侵入でジョゼフ・ニューガーデンがランオフエリアからスピン。これにフェリックス・ローゼンクヴィスト、コルトン・ハータらを巻き込んだ多重クラッシュが発生。すぐさまイエローコーションとなった。
琢磨はアクシデントをうまく切り抜けてポジションを12番手までアップしていたものの、実はスタート直前からマシンのテレメトリーに問題が発生しており、正確な燃料の量やエンジンの温度管理をするメーターに異常が発生していた。
このため琢磨のピットボックスは安全のために3ストップの戦略を取らざるを得なかった。
しかしアクシデントの発生直後に、コーションが長かったために2ストップに切り替えるチームも多く、琢磨も「もし2ストップに切り替えられていたら、もっと上位に行けていたかも……」と話す。
実際に優勝したアレックス・パロウ、2位のウイル・パワー、3位のスコット・ディクソンは2ストップだったし、琢磨のチームメイトのグラハム・レイホールも最初のアクシデントでピットインした後は、2回のピットに切り替えて18番手スタートから7位でフィニッシュしている。
テレメトリーのトラブルさえなければ、2ストップで行くこともできたが、それは後の祭りだ。
それでもペンスキーのパジェノーやマクラフランとのバトルを満喫してポジションを6つ上げて13位でフィニッシュ。ポイントを獲得した。
「テレメトリーが壊れなければ、ピットも2ストップの判断もできたかもしれないし、グラハムやセバスチャン・ブルデーとか、僕の後ろを走っていたドライバーが上位にフィニッシュしているのだから、そのチャンスはありましたよね」
「でもパジェノーとかマクラフランとかペンスキーのドライバたちとバトルできるくらいにハンドリングも良くなってました。来週のセントピータースバーグは僕も好きなコースだし、マシンの仕様もタイヤもまったく違うので、楽しみにしています」
次戦のセントピータースバーグは3月の開幕戦の予定だったが、1カ月延期された。だが琢磨はかつてポールポジションを取ったサーキットでもあるし、昨年の最終戦では良いレースをしている。上位入賞を期待したいところだ。
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