好調ノッティンガム・フォレストの野望【プレミアリーグ2024/25】
プレミアリーグ2024/25シーズンは全体の30%ほどが終了した。上位争いは混沌を極めている。僅か1敗のリバプールが頭一つ抜け、マンチェスター・シティが5ポイント差の2位。2位から4ポイント差の3位から11位がたったの3ポイントと非常に詰まっている。
競っているのはチェルシーやアーセナルなどの強豪クラブや、アストン・ビラなど力を付けてきた中堅クラブだ。そんな中に見慣れないクラブが混ざっている。それが、現在5位につけているノッティンガム・フォレストだ。
昨2023/24シーズンは17位だったフォレスト。昇格してきたチームが軒並みプレミアリーグの適応に苦しんだおかげで、何とか残留を果たした。そんなチームが、アーセナルやチェルシーとしのぎを削っている。未だ3割ほどしか日程を消化していないにしても、ここまで5勝4分2敗の19ポイント。3位のチェルシー、4位のアーセナルと同ポイントで、わずかに得失点差で劣っている状況だ。
フォレストは1979年、1980年、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)の前身であるUEFAチャンピオンズカップを連覇した古豪としても知られている。好調な今シーズンは古豪復活の一歩となるだろうか。フォレストのこれからを見る。
パンチの効いたオーナー、マリナキス氏
フォレストのオーナーを務めるのは、ギリシャ人実業家エヴァンゲロス・マリナキス氏だ。海運王とも呼ばれるマリナキス氏はフォレストだけでなく、ギリシャのオリンピアコス、ポルトガルのリオ・アヴェなど複数のクラブを保有している。
マリナキス氏は、今年9月28日のフラム戦(0-1)後、審判団がトンネル内で通り過ぎる際唾を床に吐いたとして5試合の入場禁止処分を受けていた。この話だけであれば、ちょっと行き過ぎる激情家と言えるかもしれないが、このオーナーの名前は度々ヘッドラインにあがる。特に強烈な話題で。例えば、2トン余りの麻薬密輸の疑いであったり、もしくはオリンピアコスでの八百長疑惑であったり。控えめに表現しても、刺激的な人物であることは間違いない。
サッカークラブのオーナーとしてのマリナキス氏は、よくも悪くも大胆に動くタイプのようだ。フォレストのオーナーになった2017年から現在まで、10人の監督がフォレストを率いてきた。しかし、2年以上続けて指揮を執った監督はスティーブン・クーパー監督、ただ1人。彼も、昨シーズン解任された。
2022/23シーズンの超大型補強
また、マリナキス氏の大胆な補強も大きな話題を呼んだ。マリナキス氏がオーナーに就任した当時2部リーグに所属していたフォレストは約5年(2022/23シーズン)でプレミアリーグに昇格した。ちなみに、当時チーム内得点王だったのが、今はトッテナム・ホットスパーにいるFWブレナン・ジョンソンだ。
昇格したてのフォレストはいきなり、超大型補強を行う。現在は主力のMFモーガン・ギブス=ホワイトなどを含む20選手以上を2億ユーロ近くかけ獲得。この金額はその年、世界トップ3に入る規模だった。昇格したばかりのクラブが世界トップクラブ以上に、お金を使っていたわけである。
文字通り、全く別のチームになったフォレスト。同シーズンの結果は16位。ギリギリの残留だった。さらに翌2023/24シーズンも積極的に動き、FWアンソニー・エランガ、FWクリス・ウッドなどを獲得。結果は前述したように17位。またしても、苦い結果だった。さらに、フォレストは大胆過ぎる補強によって、プレミアリーグの収益性および持続可能性規則(PSR)に違反し4ポイントの剥奪を受けた。ルートン・タウンを始めとした昇格組が思った以上に苦戦していなければ、今年プレミアリーグにいたかはかなり怪しい。
今シーズンのフォレストの飛躍は、この大型補強によって加入した選手たちにまとまりが生まれ、新たに加入したMFエリオット・アンダーソンやDFアレックス・モレノなどが上手くはまったからというのもあるだろう。
マルチクラブオーナーシップの利点
前述したように、マリナキス氏はフォレストだけでなく複数のサッカークラブを保有している。マルチクラブオーナーシップと呼ばれるこのアプローチは今やサッカー界では当たり前になりつつある。
横浜F・マリノスが入っていることでも知られている、シティを頂点とするシティ・フットボール・グループ。最近、大宮アルディージャを買収したことで話題となったレッドブル・グループなどが有名だ。プレミアリーグでは他に、マンチェスター・ユナイテッド、ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン、ボーンマス、サウサンプトンなどのチームがこのアプローチをとっている。
このアプローチの利点は多岐にわたるが、重要なポイントの一つがスカウティングと選手育成だろう。世界中のクラブを保有することで、スカウト網が強化されるだけでなく、複数のレベルのクラブを保有することで選手育成も効果的に行うことができる。その一例がサウサンプトンに移籍したMF松木玖生だ。
サウサンプトンに移籍した松木は労働ビザの問題で1年間、トルコ1部ギョズテペにレンタルで出されることになった。このギョズテペがサウサンプトンのオーナーが保有するクラブである。松木については労働ビザの問題だったが、一定のレベルに達していないと判断された選手をレンタルに出すのは一般的なことだ。この時、情報を共有しやすい保有するクラブに貸し出すことで、選手を管理しやすく効率的に育成することができる。
ブラジルとの繋がり強化も
マリナキス氏はさらに新たなクラブの買収に動くようだ。『The Telegraph』によると、マリナキス氏はブラジルのヴァスコ・ダ・ガマとの交渉に既に入っているらしい。そして、このプロジェクトで重要な役割を担うだろうと予想されているのが、今月4日にアーセナルのスポーツディレクターを辞任したブラジル人エドゥ氏である。
ブラジルのコリンチャンスから加入したDFムリージョは守備を牽引する存在であるだけでなく、多くのビッグクラブから注目を集める人気選手でもある。他にも、MFダニーロなどブラジルからの選手はフォレストにとって、幾つかのポジティブな結果をもたらしてきた。さらなる、ブラジルとの繋がりの強化は多くの才能ある選手をフォレストにもたらすことになるだろう。
これからのフォレスト
今シーズンの結果にもよるが、フォレストも長期的なプロジェクトがより重要になってくると考えられる。大型補強によるチーム強化に限界があるのは、見てきた通りだ。
さらに、中堅もしくはそれより下のクラブにとっての問題は、常に選手が引き抜かれることである。例えば、攻撃の中核を担うギブス=ホワイト、守備の中心人物ムリージョの移籍の噂は絶えない。引き抜かれるのは時間の問題だろう。
しかし、引き抜かれた時、同じくらいのクオリティの選手を毎回獲得するのは現実的ではない。であるならば、スカウトと育成のシステムによって、タレントを生み出すことが重要になる。それが、言うほど簡単ではないことは百も承知だが、エドゥ氏の存在やマルチクラブオーナーシップの可能性に期待したい。また、これらのプロジェクトには、マリナキス氏にこれまで見られなかった忍耐力が重要になる。その点についても注目したい。
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