核攻撃から生き延びる方法とは! 屋内では〇〇に避難するのがベスト

tocana2023年1月29日(日)11時0分

 最悪の近未来シナリオの1つである核戦争が勃発したとして、運悪く“グラウンドゼロ”の周囲にいた場合は助かるはずもなく、凄まじい熱で瞬時に身体は蒸発してしまうだろう。では爆心地からある程度離れた場所にいた場合、どうすれば生き延びることができるのだろうか。


核攻撃時に屋内にいた人々への影響

 長引くウクライナ情勢もあってか、日本を含めて世界各地で「避難訓練」がにわかに盛んになっているようだ。


 東西冷戦中の1950年代と1960年代のアメリカの学校では「ダック・アンド・カバー(Duck and Cover)」と呼ばれる核攻撃に備えた非難訓令が義務付けられていた。授業中に抜き打ちで行われる訓練で、生徒たちは素早く机の下に身を隠してうずくまり(ダック)、周囲にあるものをなんでも使って後頭部を覆う(カバー)することが求められたのだ。


 1980年代に入ってこのダック・アンド・カバーは義務ではなくなったということだが、今改めてこの核攻撃に備えた避難訓練が見直されているという。当然ながら今日の不穏な世界情勢を反映してのことだ。



 キプロス・ニコシア大学の研究チームが先日に「Physics of Fluids」で発表した研究では、核爆発の爆心地からある程度離れた場所にある建物の屋内にいる人々がどのような被害を受けるのかをシミュレーションしている。都市部への核攻撃で爆心地周辺の人々は残念なことにはなるが、そこから少し離れたエリアで建物の屋内にいた人々にはどのような被害が及ぶのだろうか。


「核爆弾が爆発した時に、いても良い場所はありません。近すぎるものはすぐに蒸発し、放射線は遠くからでも深刻な健康被害をもたらす可能性があります。さらにその間にも別の危険があります。爆発によって生成された爆風は、人を空中に持ち上げるのに十分な対気速度(airspeed)を生み出し、重傷を負う可能性があります」(研究チーム)


 研究の目的は核爆発から十分に離れた場所にいる人々が生き延びられるように支援することであり、核攻撃によって具体的どのようなことが起こるのかを検証することである。


「私たちが調査する前は、爆風に耐えるコンクリートで補強された建物内の人々への危険性は不明でした。私たちの調査によると、(核爆発による)高い対気速度は依然としてかなりの危険であり、重傷や死亡につながる可能性があります」(研究チーム)


窓やサッシのないコーナーに素早く避難

「戦術核兵器の威力は5~15キロトンです。しかし研究では、750キロトンの核弾頭を想定しました。これは(ロシア軍の)RS-28 Sarmat (Satan2) などの複数の独立して目標を設定できる再突入体 (MIRV) の上限値の極端なシナリオに対応するためです 」(研究チーム)


 研究によるとこのタイプの爆発は地上で半径約4.6kmの範囲にわたって爆風を発生させ、最大過圧は7psi(ポンド・スクエア・インチ)をわずかに超えるとされている。5psiの過圧は、木造建築物の倒壊、「普遍的な」負傷、広範な死亡者数などの「中程度の」爆風被害を引き起こすという。


 つまり生き残るチャンスを得るのに最適な場所は、鉄筋コンクリートの建物内にあるということだ。この調査では、部屋、窓、出入り口、廊下をシミュレートし、爆風による空気の速度を計算し、建物内の最適な場所と最悪の場所を特定することができた。


「避けなければならない最も危険な屋内の場所は、窓、廊下、ドアです。人々はこれらの場所から離れ、すぐに避難する必要があります。爆発に面した部屋であっても、爆風に面した壁の隅に移動すれば、高い対気速度から安全に身を守ることができます」(研究チーム)


 つまり核攻撃を確認した場合、その建物で爆風を浴びるであろう壁面の内側のコーナーに逃げ込むのがベストということになる。部屋の奥に逃げても窓を突き破ってきた爆風と放射能に晒されやすくなるのである。



 さらに時間もきわめて重要である。爆発から爆風が到達するまでの時間はわずか数秒であり、したがって短時間ですぐ移動できる場所でなければならないが、その点でも部屋の壁のコーナーに移動するのは理に適っている。したがってそのような窓やサッシのない壁のコーナーには家具などを置かないほうがよさそうだ。


 コーナーに身を潜ませることにより、爆風から身を守ることができ、窓、ガラス、飛んでいる破片、その他の危険を遠ざけることができるのだ。最悪なのは壁の大部分がガラス張りのオフィスや、さらに危険なのは半円型に張り出しているような日当たりを良くするように設計された部屋である。


 次善の策は「ダック・アンド・カバー」を思い出して、机やテーブルの下または後ろに隠れて頭を衣服で覆うことである(何もなければ手と腕で覆う)。


 幸いなことに鉄筋コンクリートの建物の屋内にいて、なんとかコーナーにたどり着き、風、騒音、熱波が止んだら、その次はどうしたらよいのだろうか。


「さらに放射線レベルの上昇、建物の損壊、送電線やガス管の損傷、火災が発生するでしょう。人々は上記のすべてについて心配し、すぐに緊急支援を求める必要があります」(研究チーム)


 仕方のないことではあるが、生き残った人々にとって事態はかなり厄介で暗澹たるものになる。これから建設する鉄筋コンクリートの建物は爆風に耐えられる強度を考慮しなくてはならないのは言うまでもない。そしてもう一度、学校や施設で「ダック・アンド・カバー」の訓練を再開すべき時に来ているとも言えそうだ。



参考:「Mysterious Universe」ほか

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